電子書籍で本を読むということにどうしても慣れない。絶版の本であっても、電子書籍を利用すれば読むことができるのだけれども、長い文章をスマートフォンで読むのがどうしても難しい。

 

 

たとえば、文庫本にして上中下とある長編小説などをスマートフォンで読むのは、自分には実に困難である。というより、不可能とさえいってもいい。

 

 

しかし、私が欲しているのはある程度の長さがあるテキストばかりなので、結局、古本屋などを巡り巡って絶版本を探したりする羽目になる。そして、そのあまりに高騰した驚愕の価格に眼をひんむきながらその場で卒倒しそうにもなる。

 

 

電子書籍さえ読めたら!喉から手が出て、手が叫ぶ。絶版本の途方もない金額を前にした私の寄生獣が人間らしい慨嘆というものを学んでいる。喉から出た手はしばらく引っ込むことがない。

 

 

手にふさがれて、うまく呼吸もできないし、舌がうまく動かせないので呂律もまわらないので、私は喉から飛び出した手の寄生獣がしゃべるのに耳を傾けることしかできない。耳が傾くと、じゃらじゃらと凄まじい音を立てながら小銭がこぼれ落ちた。

 

 

ロボトミー手術の額の手術跡に毎日ねじ込んでいた500円玉貯金が頭蓋骨から溢れ出た瞬間であった。それは高騰した絶版本を購入できるほどの貯金額に到達していた。http://climbing4health.com/