ダサいとか言わないで!邦楽ロックの名盤!

 

日本の4人組ロック・バンド、ラルク・アン・シエルによる8th“REAL(リアル)”

 

 

小学生の時に“Pieces”を朝の情報番組か何かで聴き、シングルを購入したことが、ラルクを知ったきかっけだった。それからというもの、シングルが出るたび購入し、大ファンになった。

アルバムは小遣いが少なくて買えなかったため、“ark”と“ray”を近くのTSUTAYAでレンタルしてカセットテープに録音し聴きまくっていた。(今思えばシングル買わずにアルバム買えばよかったな・・・)

 

中学に入って洋楽にのめり込むようになると、いつしか邦楽ダセー!となり、あれほどハマっていた彼らの音楽を全く聴かなくなっていった。決定的だったのが、9th“SMILE”だったように思う。メロディの弱さが際立ち、特にロックを渇望していた自分としては、リズム隊の軽さ、特にyukihiroのドラミングの軽さ(ミックスのせいでもあるが・・・)にどうしようもないダサさを感じてしまったのだ。(今改めて聴き返してみると、“Time goes on”と“瞳の住人”は名曲!)

 

 

それから20年以上が経ち、邦楽もある程度フラットに聴ける耳を持つようになり、懐かしさから“ark”と“ray”を購入し聴いてみると、これがめちゃくちゃいい!当然楽曲は素晴らしいのだが、当時は気付けなかった演奏陣の素晴らしさといったら!!

ベースは唸りまくるし、ドラムはインダストリアル・ロックのように激しいわ、ギターは哀愁たっぷりでしかも超絶キャッチー!たまげた(笑)その流れで、当時購入していた“REAL”、“SMILE”を引っ張り出して聴いた次第である。

 

今作を聴いて感じたのが、まるでガレージ・ロックのように音がざらついて、かなりノイジーで分厚いサウンドになっているということ。彼らの作品の中でもここまでロックに吹っ切れた作品はないのではないかと思う。(たぶんこれからも・・・)

ラルクってヴィジュアル系でしょ?ダサいっしょ?邦楽なんてリズム隊クソだろっ!と先入観を持っている方にこそぜひとも聴いて欲しい!

かくいう自分も、ラルク離れのあとはそんなことを言ってバカにしていた。すみません・・・。今組んでいるバンド・メンバーも誰一人として、カバーしてくれない(笑)なんでや!

 

 

1.“get out from the shell – asian version -”

オープニングから新機軸で攻める!バンドサウンドとエレクトロをミックスした、ラルク流インダストリアル・ロック。機械的なドラムのリズムがクールで、サビ前のタメなんかEDMに通じる部分がある。

 

2.“THE NEPENTHES”

今作中最も狂暴なサウンド!音が鳴った瞬間、ぶっ飛ぶこと必至!ギターの音も鋭角で尖っていてグルーヴィーに攻める。この曲単体だったら、ここ最近のUS・UKロックにも圧勝できるのでは?

 

3.“NEO UNIVERSE”

こちらもありそうでなかったエレ・ポップサウンド!ただし、メロディのキャッチーさや壮大さはこれまでのラルクを継承しているため聴きやすい!

 

4.“bravery”

ギターのアルペジオに、うねりまくるベースが絡みつく哀愁のあるイントロから、耳を持っていかれる壮大なバラード!流麗なメロディに反して音が異常に重くノイジーなのが、ロック・バンドとしての立ち位置を表現しているようだ。

 

5,“LOVE FLIES”

まるでガレージ・バンドのように、今作中最もラフな音作りになっている。ギター・ベース・ドラムという必要最小限の音で鳴らされているところに好感が持てる。サビはコーラス含めてキャッチー。

 

6.“finale”

トラウマ映画となった“リング0 バースデイ”の主題歌。映画のじめっとした世界観を完璧に表現したダークなサウンドと、hydeの絡みつくような歌声。当時は重々しくてあまり好きになれなかったが、今聴くとサビも壮大で曲の耽美な世界観に一気に引きずり込まれる魅力に脱帽!途中に入るザクザク・ミュートギターは、当時流行していたリンキン・パークやリンプ・ビズキットなどのミクスチャー(ラップ・ロック)の影響か?

 

7.“STAY AWAY”

今作中最も明るく超絶キャッチーなラルク流ポップ・パンク!これほどまでにカラッとしたサウンド、何気に彼らの新機軸なのでは。シングル盤を購入した時に初回特典で付いてきたメンバーのフィギュアが懐かしい。kenが当たって欲しかったのに、yukihiroが当たりショックを受けたのをよく覚えている(笑)←ごめんなさい・・・。

 

8.“ROUTE666”

前曲から引き続き、テンション高めなガレージ・ロック。ギターは空間を生かしたプレイをしているのに音がスカスカにならずグルーヴィーに聴かせられるところに、リズム隊の素晴らしさを感じすにはいられない。サビ前のボーカルに被せるようにして奏でられる単音ギターがロックしている!

 

9.“TIME SLIP”

サビの裏声に哀愁ダダ洩れ警報が発令されるため注意が必要(笑)この裏声とメロディはhydeにしか歌いこなせない。終盤でこれほどまでにメロディアスな楽曲を配置できるのは流石!

 

10.“a silent letter”

これまでのラルクに通じるダークで耽美な世界観で聴かせる6分半のスロー・バラード。ラストに近づきつつあることを予感させてくれる静かな出だしから、徐々にバンドサウンドが入っていき盛り上げる。

 

11.“ALL YEAR AROUND FALLING IN LOVE”

ラストに相応しく、一筋の希望の光が見え隠れするようなミドルテンポのロック。前曲と異なり、カラッとしたギターとベースによる絡みから始まる。ガレージ・ロックかと思いきや、サビでは大陸的なアリーナ・ロックへ変貌する!

 

 

日本のMUSE?Mansun?かと思うくらい、独自のお耽美でダークな世界観とメロディを確立していることに加え、日本人受けするような音作りが一切されていないことに、今作に懸ける4人のロック・バンドとしての意気込みを感じることができ、洋楽ロック好きとしてはかなりの好感が持てる。

いや~、ホント洋楽好きにこそぜひ聴いて欲しい!!

 

評価★★★★(星5つが満点)

 

オススメ曲

2.“THE NEPENTHES”

キラーチューンは他にいくらでもあるが、この曲を選ばないわけにはいかない。ここで彼らは、世界基準のロック・バンドであることを高らかに宣言しているのだから!

 

4.“bravery”

哀愁あるメロディはもちろん、バンドとしても油がノリまくっていることがよく分かる演奏。バンドを揶揄するファンたちに向けた歌詞、hydeの歌声、どれを取ってもパーフェクトなロック・バラード!

ギター・パートが特に素晴らしく、完コピしたのに今組んでいるバンド・メンバーからカバーを拒否られているのが悲しすぎる・・・。