医師のネイト・サミュエルズは、亡くなって間もない妻の故郷である南アフリカへ二人の娘を連れて旅行に来ていた。

友人であり現地の狩猟禁止保護区を管理するマーティンと再会し、サバンナを案内してもらっていたが、密猟者に仲間を殺され復讐の鬼と化したモンスターライオンに襲われる。

生き延びるため、凶暴なライオンに立ち向かう家族の姿を描いたパニック&サバイバル・スリラー。

 

 

正直、今作に出てくる殺人ライオン、見た目全然怖くないしそこまで迫力もない。

しかし、そこは敢えてリアルさを重視した結果だろう。CGもリアルで安っぽさは微塵もないし、あまりにもモンスター感がありすぎると、シンプルなストーリーゆえに陳腐になりかねない。

ライオンが人間を襲う理由が、密猟者に容赦なく仲間を殺された復讐であることから、基本パニック映画ではあるが、今作のテーマは、密猟者による動物たちの殺戮に対する批判であることは明白である。

 

 

しかし、やはりそこはパニック映画!ツッコミどころはちゃんと用意してくれている(笑)

 

まず、娘たち!車から出るなって言われたら出るな(笑) 父親とマーティンを助けたい一心なのは分かるが・・・何回父親の制止振り切ってんねん!

しかし、ガイドにちょっと教わっただけなのに、麻酔銃の組み立て方よく覚えたな(笑)

 

 

マーティンは文字通り命を燃やして、ライオンを撃退したかと思いきや、一切の深手を負っていないという殺人ライオンの無敵さ!マーティンよ・・・完全なる無駄死(笑)

実はマーティン、動物たちを守るため、密猟者を殺害する反密猟者だったのだ。(本当にそういった人達は存在するのだろうか・・・)

本来尊ぶべき自然と動物たちを、お金に換えるために容赦なく殺戮していく密猟者は罰すべきではあるが、それを理由に人間が人間を殺しても良い理由にはならない。

心優しきマーティン、誰よりも自然を愛するがゆえの行動だろうが許さることではない。彼の死は、ある意味では自業自得であり、これまでのおこないの罰なのかもしれない。

 

 

ネイトは、本当に医者だよねっと疑いたくなるほど、なぜか異常にサバイバル術に長けているのだ。

木に登ってライオンから身を隠したり、危うく蛇に噛まれそうになったところを、まさかの素手で首根っこを掴んだり(笑)

 

そしてラスト、ネイトと殺人ライオンとの一騎打ち!これはさすがにナイフのみ(途中からは素手・・・)で立ち向かうのは無理あるだろっ、それにあれだけ噛まれたら死ぬだろっ(笑)

 

そんな瀕死のネイトを、マーティンが優しく見守ってきたライオンたちが助太刀!最凶の殺人ライオンに次々と立ち向かっていく。これ、完全にジュラシック・ワールドのラストだな(笑)

ただし、こちらは実はライオンの習性を利用したネイトの作戦。

 

 

なんかこれだけ突っ込んでしまったら作品をけなしているように感じてしまうかもしれないが、これは愛のあるイジりであって(笑)、B級映画にありがちなチープさは一切なく、パニック映画でありながら、いろいろと考えさせられた。

 

パニック映画は観たいけど、90%は超えていると思われる有象無象のハズレ映画に行き当たることを恐れている方は、こちらは安心して観られること請け合い!

ただし、この一定のクオリティと誰でも安心して観られる安定感を保証する代わりに、刺激や+αが一切ないのもまた事実・・・。まるで、誰の舌にも受け入れられるとんこつラーメンの人気チェーン店のようだ(笑)

ひっそりと佇む知る人ぞ知る隠れた名店をお探しの方には向かないかもしれないが、1時間半でサクッと観れるため、観て損はなし!

 

評価★★★(星5つが満点)