大麻事業で大成功を収めたミッキーは、若かりし頃の血気盛んな闘争心を失い、妻と安定した生活を送るため事業を売却し引退を考えていた。

総額500億円の利権が絡んだ事業の売却の噂は瞬く間に広がり、ユダヤ人の大富豪や中国人マフィアが我が物にしようと動き始める。そんな中、大麻製造所が何者かに襲われ大量の大麻が強奪される。

それぞれの私利私欲が絡み、事態は思わぬ方向に転がっていく・・・というクライム・サスペンス。

 

 

ガイ・リッチー監督の最高傑作は、“スナッチ”だと言い張りたい。クエンティン・タランティーノに影響を受けたであろう、多くの登場人物、意味のない会話シーン、過去と現在を同時進行で描くところ、音楽、スタイリッシュな展開などなど。そのすべてにおいてMAXの値を叩き出している。

 

その後の彼の作品は、ネタ切れ感があるし、剃刀のような切れ味が損なわれていたように感じる。

 

そして今作、“スナッチ”以降では、最も楽しめた作品だった。

そりゃあ代表作“ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ”、“スナッチ”には遠く及ばない!それは仕方ない(笑)

双方の作品に出演のジェイソン・ステイサムを主演に迎えての“リボルバー”はパッとしないし、“キャッシュトラック”は中盤までなかなか楽しめたが、トータル普通で惜しいところ止まりだった(笑)

 

大麻王マシュー・マコノヒー演じる主人公ミッキーが、自身が経営するパブで電話していると、後ろから黒ずくめの男が背後から銃をバンッ、ビールが血に染まってからのオープニングという最高にスタイリッシュな展開!まさかの主人公死ぬの!?期待が膨らみまくる!

 

 

物語の語り手は、ヒュー・グラント演じる金に強欲な私立探偵フレッチャー。その聞き手として、チャーリー・ハナム演じる大麻王ミッキーの部下でインテリ顎鬚イケメンのレイ。

この二人、誰かに似ているなあ・・・と思ったら、久しぶりに見たヒュー様、めちゃくちゃ老けて渋くなり最近のアル・パチーノみたいに変貌!チャーリー・ハナムは江口洋介にクリソツ!

 

 

その他登場人物も曲者だらけで、上下ぴちぴちジャージの喧嘩激強ボクシングコーチ(コリン・ファレル)や、敏腕社長でスタイル抜群の美しきミッキーの妻、ミッキーの会社を乗っ取ろうと企む上昇志向の強い中国マフィアのドライ・アイ、ほんの些細なことを根に持ちミッキーを失墜させようと企む編集長ビッグ・デイヴなどなど。

全員曲者だらけのオンパレード(笑)

 

 

自分の推しは、ファッションダサダサだが生徒思いで、出てくるキャラほぼ後ろめたい奴らばかりの中、最も善キャラ?でクールなコリン・ファレル!怪しい風貌から何からカッコよすぎる!

ヤバいとは知らず、ミッキーの工場から大麻を大量に強奪した生徒たちの「やったったでラップ」もイケてる(笑)

コーチにとっては、こいつらのせいで大麻抗争に巻き込まれ、レイの危険な命令に従わざるを得ない状況になるのだが・・・。

 

 

私立探偵フレッチャーによって、ミッキーが成り上がるまで→大麻事業の売却計画等の経緯が、彼の先入観とかなりの誇張と時々大嘘あり(笑)で、次々と語り明かされていく。

挿入される過去のダイジェストと、嘘くさいフレッチャーの話にイライラしながらも、ちゃんとツッコミを忘れず付き合うチャーリーの掛け合いを軸にストーリーは展開していく。

 

そんなダイジェスト・シーンの中でも、チャーリーが誤って青年をマンションから突き落として殺してしまい、それをガキんちょ3人組にスマホで激撮され、追いかけまわるシーンは笑える。

しかも、常に冷静沈着なインテリ男チャーリーが、ただの生意気なガキに最終手段でマシンガンで脅しにかかるという必死ぶり(笑)

 

 

そんなこんなで、終盤になってやっと現在が舞台となる。そこからもどんでん返しの連続と、おまけでスマホ(殺害の証拠)の回収、青年の死体処理を済ませて一件落着かと思っていたチャーリーの失態が、青年が実は大物実業家の息子だったということで、さらなるドタバタ劇へ発展していくのもサイコーだ!

 

何気にキャストも豪華で、イギリス独特のユーモアやセンスと登場人物の騙し騙されあい劇、二転三転するストーリーで観る者を最後まで楽しませてくれる良質なエンタメ作品!

 

評価★★★(星5つが満点)