死霊館にドハマりし、アナベルから死霊館のシスター、ラ・ヨローナ等関連するシリーズはすべて観尽くしてしまった。
そして、この怖くないのにホラーとしてもサスペンスとしても成り立っている絶妙なバランスの素晴らしさ、他にもないものかと探していたところ、本ドラマにたどり着いた。
これがまさかの、死霊館越えの面白さだったので驚愕!尋常じゃなくハードルが上がっていたのに、それを軽く超えてきたのだ(笑)
死霊館との共通点は以下
・悪魔祓い師が主役
・怖くない(笑)
・人間ドラマ&サスペンスとして秀逸
1973年に公開された映画“エクソシスト”の40年後を描いた作品。
トマス神父は、教区内の信者アンジェラから、娘の様子がおかしく、悪魔が取り憑いているとの相談を受ける、そんな中ある日、知らない神父が男の子を悪魔祓い中に失敗し亡くなってしまう夢を見る。
夢に出てきた神父を突き止めたトマス神父は、その男マーカス神父とともに、アンジェラの娘の悪魔祓いをおこなうこととなるのだが・・・というストーリー。
1話目のラスト、屋根裏部屋での悪魔に取り憑かれた次女ケイシーの、なんかクネクネして全身が伸びたような違和感のある姿は恐ろしかった!でも怖さはここまで(笑)
それ以降は、やはり怖くない。それでもトマスとマーカス、二人の欲望との葛藤や苦悩を前面に押し出した人間ドラマと、サスペンスとしての次めちゃ気になる感で、観る者を途中退場させない!
それだけにとどまらず、まさかの映画“エクソシスト”ファンをも納得させるサプライズが用意されているというあざとさ!
母アンジェラは、まさかの映画“エクソシスト”の主役の少女だったのだ!名前を変えた経緯や、母との確執も丁寧に描かれており、無理やり感は一切なく、あ~なるほど、だからか~と様々な伏線が回収され、観る者を納得させてしまう力業(笑)
後半は、一家の悪魔祓いという密室的なストーリーから、ヴァチカンの教皇暗殺計画というスケールの大きな展開へ突入し、ますます目が離せなくなる!
どこまで視聴者の心をわし鷲掴みにすんねん(笑)
そんな脚本の素晴らしさに加えて、登場人物が相当魅力的に描かれている。
やはり何といっても、主役のエクソシスト(悪魔祓い師)二人の人間的魅力に尽きる!
ベン・ダニエルズ演じる不良なマーカス神父の激渋度120%の男前さと、真面目で、でも欲望に負けそうになる少し情けないトマス神父。この不良&真面目のコントラスト・コンビの漫才のような掛け合いから生まれる独特な空気感!ずっと浸かっていたい(笑)
一話目の冒頭、暗闇の中ハットを目深に被ったマーカスが登場し、あの超有名な映画“エクソシスト”のテーマが流れるシーンは鳥肌もののカッコよさだ!
マーカスの旧友で良き理解者であるベネット神父も、暴走するマーカスを冷たくあしらったかと思えば、人が良いのかつい手助けしてしまう人の好さ(笑)で憎めない。
ヴァチカンの闇を暴き出し複数の男たちに取り囲まれて殺されそうになるシーンは、思わず「死なないで!」と願わずにはいられない。
そして、母アンジェラを演じる整形失敗ド派手顔の名優ジーナ・ディヴィスをも凌駕する、次女ケイシーを演じるハンナ・カスルカ(今作を観るまで全然知らなかった・・・)の演技が素晴らしい!
アイドル的ルックスにも関わらず、涎垂れ流しまくるわ汚い言葉を吐きまくったりと、絶対に日本の若手女優には真似できない体を張りまくった狂気の演技!!
彼女の怪演がなかったら、ストーリーにここまでのリアルさと説得力は生まれなかったはず!
また、父ヘンリーの家族を守る優しさと健気さにも感動する。事故で心身ともに思うように言うことを利かなくなっても、一貫して家族を守る姿勢は一家の大黒柱の鏡!
ローラ似の長女キャサリンは、特に無し(笑)できた父を無能呼ばわりするわ、せっかくケイシーの悪魔祓いが終盤に差し掛かっていたのに、警察に通報してしまうという空気の読めなさは腹立たしい(笑)
そのせいで、ケイシーは警察に保護されたふりをし、多くの警察官が彼女の犠牲となる・・・。
無事悪魔祓いに成功し家族は解放されるが、悪魔に取り憑かれていたとはいえケイシーは複数の罪なき人々を殺めている。そんな彼ら家族の逃亡生活?が気になるところ。
次々と繰り出される謎と、登場人物に誰もが魅了されるはず!タイトルを見て、あ~ホラーね・・・と食わず嫌いするにはあまりにもったいない!
ホラーマニアだけにとどまらず、ヒューマンドラマ好き・サスペンス好きにもぜひ観ていただきたい、広くお勧めできる良作!
評価★★★★(星5つが満点)