ロック・モードでさらなる高みへ!
イギリス出身のシンガー、ドミニク・ハリソンのソロ・プロジェクトであるヤングブラッドの2ndアルバム“Weird!”。
1stの“21st Century Liability”とは明らかに異なっているのが、まるでアリーナを意識したかのような壮大でキャッチーなサビ。そしてまさかの全編バンドサウンド!
1."Teresa"
クイーンや、2nd時のマイ・ケミカル・ロマンスのような壮大なマーチングバンド風オープニングで幕開け!
2."Cotton Candy"
耳に残るベースラインから始まる超絶ポップ曲!Candy繋がりで、ロビー・ウィリアムスのCandyと比較しても良いほど王道のポップサウンド!
3."Strawberry Lipstick"
クラッシュとかUKパンクなんかも想起させるロンドン・パンク。
4."Mars"
アコギから始まり、ヴァースか早口ラップ調で、サビで一気に哀愁を帯びるという一筋縄ではいかないヤングブラッド流ロック・バラード。前作でも出てきたが、カリフォルニアを歌詞に取り入れるの好きだなあ(笑)
5."Superdeadfriends"
やっとこさ前作からの延長系のサイバー・パンク。でもやはりここでもバンドサウンド!
6. "Love Song"
アコギから徐々に盛り上がっていく爽やかなバラード。切なく響くドミニクのエモヴォイスをこれでもかと堪能できる。
7."God Save Me, but Don't Drown Me Out"
エレキギターから始めるボーイズ・ライク・ガールズとU2が融合したようなエモ・ロックバラード!1stから遠い地平に来たことを実感する。
8."Ice Cream Man"
タイトルを叫びまくる超絶キャッチーなご機嫌ロック。今作中、最も何も考えず音に身を任せてノレる曲。
一聴時はつまらないと思っていたが、いつの間にかクセになっていた。
9."Weird!"
80年代風エレクトロサウンドに乗せて、サビでは壮大に盛り上げる疾走の泣きメロ!
10."Charity"
ヤングブラッド流ブリット・ポップ!エレキギターとボーカルの歌い出しから、うわっオアシスだってなるはず(笑)そしてその後ほブラーのリズム(笑)潔いほどの開き直りであの頃の90年代UKギターロックを切り取る!
11."It's Quiet in Beverly Hills"
どことなくカントリーをも思わせるアコースティック・バラード。
12."The Freak Show"
1.の流れを継ぐ、シアトリカルな楽曲。ヒップホップのリズムも取り入れ、転調も激しく今作中最もごった煮なサウンド。フィナーレに相応しく賑やかな狂騒とドミニクの絶唱で幕を閉じる。
1stのエレクトロを駆使したモダンサウンドからの、何のギミックもない王道バンドサウンドを高らかに鳴らすという大変化。
メロディーに自信がないと絶対にできないことだし、1stを愛聴したファンには丸くなったと批判をくらいそうだが、自分はこの変化は支持したい。
彼の声が活かされるサウンドは今作の方向性だと思うし、さらなるファンを獲得するには必要な選択だったのだろう。
というか単純に各曲の完成度が高い。
また、日本盤ボーナス・トラックが超豪華で、2019年発表のEP“The Underrated Youth”がまるまる収録! "Braindead!" 、"Waiting on the Weekend"はまんまアークティック・モンキーズ!前者のギターリフやリズムはまさにそうで、特に後者のアコギ・バラードでの粘っこい歌い回しは3rd以降のアレックス・ターナーにクリソツ(笑)
"Original Me" (featuring Dan Reynolds)は、こちらも完全にイマジン・ドラゴンズ色に飲み込まれている(笑)それでもヤングブラッドがブレイクするきっかけとなった作品だし聴いて損はなし!
同時購入したマシン・ガン・ケリーのポップ・パンク路線第一弾アルバムと合わせて、ロックミュージック、ギターミュージックのさらなる布教活動を願わずにはいられない(笑)
それにしても、ドミニクの声って、ザ・ユーズドのバート・マクラッケンとボーイズ・ライク・ガールズのマーティン・ジョンソンに似ていると思うのは自分だけ?
オススメ曲
6. "Love Song"
王道のロック・バラード。どストレートだからこそメロディとドミニクの声か際立つ。今作のプロダクションの中でも、最もシンプルで普遍的な名曲!
評価★★★★(星5つが満点)