アメリカのロック・バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの13thアルバムで、ジョン復帰後2枚目の“Return of the Dream Canteen”。

 

 

楽曲のクオリティ云々よりも、ギターフレーズ、コーラス等あちこちにジョン印が刻まれていて、やっと今作でジョンが復活したんだと実感できた。前作“Unlimited Love”と同時期のレコーディングとのことだが、正直“Unlimited Love”ではそういったジョン印をあまり感じることができなかったため、嬉しかった。

 

 

1."Tippa My Tongue" 

ファンキーだけどめちゃサイケでチルアウト、でもメロディはキャッチャーな、今までにありそうでなかった新生レッチリに相応しい楽曲!

 

2."Peace and Love"

このギターカッティング、サビでのこの多重美麗コーラス!何年も待ってました!と、この曲でジョンの復帰をやっと実感できた。

 

3."Reach Out"

レッチリ風ファンク・グランジ!やはりここでもサビでジョンのコーラスが引っ張る引っ張る!前作の“These”や、国内盤ボーナス・トラック“”の延長といったところか。

 

4."Eddie"

はい来た!久々の誰もが納得の名曲!こんな楽曲を何年待ったことか…涙腺崩壊の名バラード!ジョンの歌うような哀愁ギターがイントロから全編に渡って炸裂しまくっている。アウトロの、ディストーションで歪ませた長尺ギター・ソロは圧巻で、一音一音に魂が込められているというのはこのことだと思える素晴らしい大団円!それに呼応するチャドのドラミングもなんとも言えない…。CDにこんなに熱量って込められるのか!

ライブ中、顔で弾きまくるジョンの姿が浮かぶ!

 

5."Fake as Fu@k" 

今作中最もファンキーで、転調してからのフリーのベースラインのカッコよさと言ったら…。チャドのドラムも時にはジャジーに、時にはボトムを効かせて支える。というか主役級だな。ジャムから生まれた楽曲だとすぐに分かる3人のケミストリーを感じられる楽曲!

 

6."Bella" 

ゆったりとしたグルーヴに、アンソニーの緩やかなボーカルが乗っかる比較的地味な楽曲。ジョンのコーラスがゴージャスに添えられているし、ホーンもいいアクセントになっている。

 

7."Roulette" 

イントロから、ヒレル・スロヴァク在籍時を思い起こさせるギターワーク!過去のやんちゃさと現在の落ち着きとをうまくミックスしている。サビでは珍しくリズムにアコースティック・ギターが取り入れられていて新鮮だ!アウトロのちょっとしたギター・ソロの小技が素晴らしい。

 

8."My Cigarette" 

打ち込みを使用したミドルテンポの楽曲だが、突出した部分は特になく、捨て曲とまではいかないが中弛みの原因になっているような気がしてならない。中盤にコレ持ってこられたらキツイ(笑)

 

9."Afterlife" 

7."Roulette"同様、やんちゃな時期を思わせるアンソニーの不敵な笑い声からのラップで始まるが、サビではジョンの美麗コーラスも相まって、まるでベルベットのような滑らかな仕上がりに!アウトロのサビは圧巻!

 

10."Shoot Me a Smile" 

クリアなギターの音色が心地良いミドルテンポの楽曲。アンソニーも、まるで波に乗るサーファーのように、リズム隊に乗りながら歌っており聴いていて心地良い。サビでのジョンのコーラスを存分に堪能することができる。これを聴くために今作を聴いていると言っても過言ではない(笑)所々に挟まれるギターフレーズの凝り様が半端ない!

 

11."Handful"

静かに揺蕩うようなリズムにアンソニーの歌声が乗る。中盤のギターソロと、チャドのジャズっぽいドラミングが聴きどころ。曲自体はやや地味目か。

 

12."The Drummer" 

シンセとベースラインがニューウェーブっぽい、今作中最もキャッチャーでアップテンポな楽曲。メロディは明るく分かりやすいが、ジョンのコーラスが入るとどこか懐かしいような郷愁感が沸き起こり、哀愁がダダ漏れする。ラストのサビで入ってくる哀愁のギターフレーズも素晴らしい!名曲!

 

13."Bag of Grins"

今作中、最もサイケ感が強い楽曲。しかしサビではディストーション・ギターで激しい展開へ。単曲で聴くと悪くないが、トータルで見るとアルバム後半のモタってくる要因になってるかな…(笑)

 

14."La La La La La La La La"

レッチリとしては初であろう、どストレートなバラード。フリーがピアノで書き上げたそうな。なかなか様になっており、トランペットも哀愁度アップに貢献している。

 

15. "Copperbelly"

ブルージーなイントロから始まり、サビでの爆発から、“These Are the Ways”を少しテンポ落として演奏した感じと言ったら分かりやすいだろうか。中盤のベースソロからのヘヴィなギターソロに痺れる!

 

16. "Carry Me Home"

ディストーションがかかったギターソロで始まる、こちらも激渋な楽曲。4."Eddie"同様、リズム隊に身を任せ、自由に奏でるジョン入魂のギターソロがこれでもかと堪能できる。

 

17."In the Snow"

ラストは、打ち込みにミドルテンポの楽曲で、ほんのりダークさもあり、このちょっとした宅録感、ジョンのソロ作に収録されていても違和感がない。

 

国内盤ボーナス・トラック"The Shape I'm Takin'"の出来が素晴らしく、こちらを本編と差し替えても良かったのでは?と思うほど。グレイテスト・ヒッツに収録の“Fortune Faded”っぽい、軽快でキャッチーな楽曲。

 

 

彼らの作品は70分強の作品が多いため、通して聴くにはなかなか時間と勇気がいる。よって聴き始めるまで躊躇したり慎重になってしまう。

かと言って途中で聴くのを止めるのも作品の流れをぶち壊したくないしで困ってしまう。悩んだ結果、時間が取れないときはレコードのA面、B面感覚で半々にして聴いたりする(笑)

 

ボリュームが凄いため、一回聴いただけでは全容が分からず何回も繰り返し聴がなければ理解できなかったりして、なかなかすぐにレビューもできない(笑)

 

前作より明らかに刺激的でジョンの復帰を感じることができる好作品!

チャド・スミスのドラムにテイラー・ホーキンスの名前か入っているのにグッとくる!

 

 

オススメ曲

4."Eddie"

レッチリには数多くの名バラードがあるが、こちらもその仲間入りを果たしたと言ってもいいだろう。近作になかった、感情を揺さぶる王道の泣きメロ、ストレートなメロディラインに思わず涙!

 

12."The Drummer" 

ありそうでなかったレッチリ風超絶キャッチー・ニューウェーブ!シンセが引っ張り、ギターは割と引っ込んでいて、バックでカッティングをしている。それでもラストにかけては、やはりジョン!哀愁の単音ギターで心を鷲掴みにしてくれる!そしてやはり、ジョンのコーラスは最強と再認識!

 

評価★★★★(星5つが満点)