母は見もせずに切り捨てたんです。漫画ってだけで。
それが許せない。
そしてそんな母に私は否定された気がした。
だって母は、
私が読んで、死にたいと思うのはやめて、生きようと決心した、
傍らに置いて生きる糧にしようとした、
そんな大事な物語を拒否したから。
それが漫画ってだけで捨ててしまったから。

私の希望は捨てられてしまった。
ひとつの行事が終わった。

今回が高校生最後の体育祭だったのだ。知ってはいたけど、ほんとうに思い知ったのは体育祭の最中だった。なんでもない、競技中に声援をあげていた時である。

ありきたりだけど、寂しさを感じた。もう、グラウンドから保護者たちを見上げることはないのだ。チームのために走ることもないのだ。自分の軍を応援することも。

大人が学生時代を振り返るとき、あの頃は輝いていたとかいう。そうだろう。今この時ほど大声張り上げ走り勝利に歓声する、この一所懸命がどんなに気持ちいいか分かる時はないんだろう。

応援団の人たちは日に焼けた赤い顔をして、
…泣いていた。
そのとき私は何かを逃したことを悟った。予測できていたけど、自ら輝く機会を捨てて、やっぱり私は後悔していた。

大きな苦難があると分かっていてそれに立ち向かう勇気を、私は持たない。だから、逃げた。逃げて、トンネルのこちら側に残されたまま、同級生が去って行った前を見つめるだけで。

もう、前には進めない。