0.概要

2022年製のIdeaPad Flexが起動しなくなりました。

症状としては、EscキーとCapsLockキーのみ点灯して起動しない状態。

色々調べた結果、BIOS更新失敗の典型症状であることが分かりました。

ROMライターによりBIOS書き換えを行ったところ直ったので、手順を記載します。

 

 1.環境

・機種:Lenovo ideapad Flex 5 14ALC05

・モデル:82HU

・CPU:AMD Ryzen7 5700U

・RAM:16GB

・OS:Windows11 21H2

 

 2.症状

・電源ボタンを押すと、キーボードが数秒間点灯し、消灯

・EscキーとCapsLockキーだけ点灯

・ファンも数秒間回転して停止する

 

 3.対処法:BIOS書き換え

起動しないため、起動ディスクによるBIOS更新は不可能。そこで、ROMライターCH341Aを購入して、直接書き込みました。大まかな手順は以下の通り。
3-1:書き込み用BIOSの準備
3-2:ROMライターの接続
3-3:BIOSの書き込み
 

  3-1:書き込み用BIOSの準備

ここでは、BIOS更新用の実行ファイルexeから、書き込み用のバイナリファイルbinを抽出します。

 

まず、Lenovoの公式サイトからBIOS更新用exeをダウンロードします。

自分の環境の場合、↓のサイトから"gjcn34ww.exe"をダウンロードしました。

 

次に、この.exeを.capファイルに変換します。

使用するのは、innoextractで、以下からダウンロードできます。

テキトーに展開して、"innoextract.exe"と”gjcn34ww.exe”を同一ディレクトリに入れ、cmdで以下のコマンドを実行します。

innoextract gjcn34ww.exe

すると、📁code$GetExtractPathフォルダ内に中身が展開され、”GJCN34WW.cap”が生成されました。

 

最後に、生成された"GJCN34WW.cap"からバイナリファイル.binを抽出します。

使用するのはUEFIToolで、以下↓からダウンロードできます。

(自分は”UEFITool_NE_A72_win64.zip”を使用しました。)

UEFIToolを実行し、先ほどのGJCN34WW.capを開きます。

”Subtype”列が、”Raw”のファイルが出てくるまで、▶を押して展開します。

これを右クリックし、”Extract_body”で適当な名前のbinファイルとして保存します。

これで書き込み用BIOSファイルの準備は完了です。

 

  3-2:ROMライターの接続

ROMライターはAmazonやアリエクで売っている、CH341Aを用いました。

※IdeaPadのBIOSチップの型番は”W74M12JW”で1.8V動作なので、左下のレベルシフタ付きのものを購入してください。

IdeaPadのBIOSチップは↓の位置に配置されてます。

 

BIOSチップは24系と25系があり、それぞれでCH341Aとの接続方法が異なるのですが、W74M12JWに関する情報が少なく、どう接続したら良いか分かりませんでした。

悩んでいたところ、↓のスレッドを発見。(神)

 

どうやら、W74M12JWは、CH341Aで”W25Q128FW”として認識されるとのことです。

そこで、下の写真のように、25系の設定で接続しました。

もちろん、1.8Vのレベルシフタを入れるのをお忘れなく。

 

CH341Aの準備ができたらICクリップでBIOSチップと接続します。

※接続はPCのバッテリーを外してから行ってください。

BIOSチップ上の〇と、リボンケーブルの赤色が揃うようにクリップで挟みます(ライタの番号とチップのピン番号が揃うように)。後述しますが、ICクリップの接触が結構シビアなので、接触が悪い場合は何度かトライしてください。

これで接続は完了です。

 

  3-3:BIOSの書き込み

ここでは、書き込みツールのダウンロードから、既存BIOSのバックアップ、新BIOSの書き込みまでを行います。

CH341Aの書き込みツールには様々な種類がありますが、私は以下のアーカイブから、”NeoProgrammer V2.2.0.7_20210408.rar”をダウンロードしました。

 

最初に、同梱されている📁Driversフォルダ内のCH341Aのドライバをインストールしてから、NeoProgrammerを起動します。

 

赤丸で囲んだ”Detect Chip”を選択すると、”W25Q128FW”として認識されます。

もし読み取りエラーが出る場合は、クリップをずらしたりして、何度かトライしてください。かなりシビアなので、めちゃくちゃ時間かかりました...。(素直に取り外して、テスト基板にはんだ付けしたほうが楽だったかも笑)

 

チップが特定出来たら、”Read IC”を押して、既存のBIOSを吸い出します。

読み取りが完了したら、File->Saveで適当な名前を付けて保存しておきましょう。

この時、3-1で作成した書き込み用バイナリファイルと同じくらいの容量になっていることを確認しましょう。私の環境では、どちらも16,777,216Byteでした。

 

新BIOSを書き込みます。

File->Openから、3-1で作成した新BIOSを読み込みます(※吸い出した旧BIOSを読み込まないように注意)。

Programm ICの横の▼を押して、すべての項目にチェックを入れてください。

デフォルトのWriteとVerifyだけ実施したら上手く書き込めませんでした。

Programm ICを押して書き込みを実施。

 

順調に行けば、下の画像の様に各工程がSuccessになり、書き込みが完了します。

 

 4.ドキドキの瞬間

バッテリーや蓋を元に戻し、緊張の瞬間...

 

スイッチオン!

やったね✌