けむしのムー
ぼくは けむしいつも ひとりぼっちでも さみしくなんかないよだって ぼくにはまっかなたいようとあおい あおい おそらとそれから それからだいすきな みどりのはっぱが あるからねあるひ ぼくは みたことのないおおきなおおきな きをみつけたよたかいたかい おそらのちかくにはまんまるぴんくの なにかがぶらさがっているよとてもとても あまいにおいがするぼくは いっしょうけんめいこのきを のぼることにした「よいしょ よいしょ」おそらに おほしさまが かおをだしたころやっと まんまるぴんくに たどりついたぼくは はなしかけてみることにした「こんなところで なにをしているんだい?とっても あまいにおいが するけれどきみの なまえは なあに?」すると まんまるぴんくのきみはゆらゆらゆれながら にっこりとわらって こたえた「もも」「もも? へえ すてきな なまえだね」それから ぼくはまいにち まんまるぴんくのきみに あいにいった「きょうは たいようが げんきだねきみも げんきかい?」「きょうは おそらが ないているねどうしたのかな?」ももというなまえの まんまるぴんくのきみはいつもにっこりとわらってぼくのはなしを たのしそうにきいていたぼくも そんなきみといて たのしかった「きみといると なんだかしあわせぼくは ずっとひとりぼっちだったけれどきみと いっしょにいるのは なんだかいいなずっと きみと いっしょにいたいなどうしたら きみとおんなじ まんまるぴんくに なれるのかな?」いつものように ぼくがきみにあいにいくときみは なんだかかなしそうに ゆらゆらゆれていた「どうしたんだい?」「もうすぐ おわかれなの」「え? どうしてだい? …ぼくが まんまるぴんくじゃないからかい?」「ちがうわ でも もうすぐおわかれなのまた いつか あいましょう」「いつかって いつだい?」「あしたの あしたの そのまたあしたのあしたの あしたの そのまたあした…」きみは またかなしそうに ゆらゆらゆれていた「あしたの あしたの そのまたあしたのあしたの あしたの そのまたあした…いくつあしたをまてば また きみにあえるんだろう…」つぎのひ ぼくは きみにあいにいったけれど きみは もう そこにはいなかった「あしたの あした…」それからもまいにち ぼくは きみがいたきに のぼったぼくの だいすきなはっぱが ゆうひいろにそまった「きみのいろは ぼくのだいすきな たいようのいろだねでも しっているかい?ぴんくいろって すごくきれいないろを しているんだ」ゆうひいろのはっぱたちが ひらひらひらひらおちてきみのいたきは まっしろなぼうしを かぶった「へえ きみのぼうしは すてきないろをしているねでも しっているかい?ぴんくいろって もっとすてきないろを しているんだ」まっしろなぼうしが きらきらとけて かおをだしたのはちいさな ちいさな みどりのはっぱ「あ ぼく きみのこと しっているよきみは ぼくの だいすきな みどりのはっぱだねでも やっぱり ぴんくにはかなわないや」ぼくは きみのいたきに のぼりつづけたちいさな ちいさな みどりのはっぱはみるみる たいようの ひかりをあびておおきな おおきな みどりのはっぱになった「ふぅ なんだか おなかがすいてきたな」ぼくは だいすきなみどりのはっぱを ひとくち たべることにした「むしゃむしゃむしゃ」すると…「あれ?」なんだか とてもあまいにおいがするぼくは もうひとくち おおきなみどりのはっぱを たべた「むしゃむしゃむしゃ…やっぱり!きみのにおいがするよでも…なぜだい?きみは みどりのはっぱなのにどうしてきみの においがするんだい?」なつかしい きみのにおいぴんくいろは していないけれど ぼくは うれしくなった「あしたの あしたは とてもながかったけれどきみを まっていたら とてもきれいなあしたが たくさん たくさん まっていたよ」ぼくは あのひからの あしたを たくさん たくさんきみのにおいのするはっぱに はなしたまっかなたいように おはようをした あさからおつきさまに おやすみをする よるまでずっとずっと はなしつづけた「ね きれいでしょぼくは ぴんくいろの きみもすきだけれどあまいにおいのする みどりのきみも すきだよ」そういいながら ぼくは ねむってしまったきがつくと きみとであった あのひのようなまっかなたいようと あおいおそらが ひろがっていた「…あれ?」ぼくは じぶんのからだに おどろいた「ぼくのだいすきな ぴんくいろきみと おんなじ ぴんくいろしてるぞ!」ふと となりをみるとあのひとおんなじ にっこりとわらった きみがゆらゆらゆらゆら ぼくのとなりで ゆれていた「きみは… きみは ももだね? ももなんだね?ぼくたち やっと あえたんだね!ずっと ずっと きみをまっていたよ!」まんまるぴんくのきみは また にっこりとわらった「…ところでぼく なぜか ぴんくいろをしているんだいったい なにに なったんだい?」きみは こたえた「またあえるって しんじていたわわたしたち おんなじねわたしたち これから ずっといっしょね」ぼくは きみとおんなじ ももになったこんどは きみとふたり となりどうしでなかよく ゆらゆらゆらゆら かぜにゆれたぼくは ももきみとおんなじ まんまるぴんくのももとても とても あまいにおいがするよあしたの あしたは ぴんくいろまっかなたいようも あおいあおいおそらも だいすきだけれどもっとだいすきなのは きみひとりぼっちは さみしくないけれどふたりぼっちって とってもしあわせねえ しってた?