怪我をした身体は寒くなると途端に不調が訪れる。
人間の身体は僅かな歪みでもどこかに負担が掛かるように出来ているので、結局全身の調子が悪くなる。
愚痴は言わない。
悪口も言わない。
上手に気持ちを転換して受け入れる。
そう決めて、身体の痛みと将来への不安をぐっと押し殺して生きている。
それはHに対しても同じことが言える。
Hを待ち続けて10年以上。
Hを想い続けて17年。
どんな結果になろうとも、Hの言った
「 俺の言葉だけ信じていればいい 」
を信じる事に徹している。
現れないHを待ち続けるのも、正直しんどい。
それでも決めたのだから貫き通す。
覚悟しているのだ。
同じ街に住んでいるのに、Hには全く会えない。
活動する時間帯が違うのは当然だけど、Hは確実にわたしを避けている。
わたしを呼んだのは自分なのに、こんな事になってしまったこと。
天職と言われた職業を奪われたこと。
そして助けられない自分。
八つ当たりまでしてしまったこと。
会っても言葉を交わせないから、なんて声を掛けて良いのか解らないから、そして惨めな自分を見せたくないから、言ったこととやっていることが一致しないから、彼はわたしを避ける。
ううん、それだけじゃない。
実際にわたしを恨んでいるかもしれない。
ならばそれら全てのHの感情を受け止めるのもわたし。
そうやって腹を括って生きている。
人を好きになるとは
愛するとは
相手を想う気持ちをしっかりと自分で抱き締めることで、この会えない時間は自分を成長させる為に与えられたと信じている。
簡単に揺らいでしまう気持ちなら、捨ててしまうのも簡単だろう。
今の状況を作ったのは誰でもない自分だ。
ならば自分で刈り取るしかない。
腹を括れないのなら、去るしかない。
そう言うことだ。