有機野菜を食べましょう!

         

  安全な食料を確保するために - 工業型農業から持続可能な農業へ

 

1.    工業型農業とは

工業型農業とは、農産物・畜産物・魚介類を産業的に生産する近代的な農業体系を指します。 工業型農業の用いる手法には、科学技術的・経済的・政治的なものが含まれ、この分野は、農業機械と農業技術のイノベーション・遺伝子工学・経済的生産規模拡大の技術・新しい消費市場の創造・遺伝子情報の特許権保護・国際貿易などを含みます。これらの手法は先進国にて幅広く普及しており、スーパーマーケットで販売されるような食肉・乳製品・卵・果実・野菜などの大部分は、これらの工業型農業の手法を用いて生産されています。

この工業型農業により安価に大量の食料生産が可能になったため、多くの人口を養う事が可能となりました。大まかな概要によると、

30,000 年前の狩猟採集社会では 600万人

3,000 年前の原始的農業では、6000万人

300 年前の集約農業では、6億人

今日の 工業型農業では、60億人を養う試みが続いています。

 

2.    工業型農業による弊害

 産業型農業は地球が直面する4つの環境破壊につながると言われています。それは生物多様性危機、気候変動による影響、土壌劣化、そして水源危機です。これらは互いにあいまって、「人新世絶滅」ともいわれる地球上6番目の大きな絶滅を引き起こすのではないかと言われています。現在絶滅に瀕している生物種 – 特にハチ、鳥類、カエル – の減少は、農業に使用される化学薬品によって繁殖力や免疫力が低下し、内分泌系に異常をきたし、発生障害やその他の健康被害を生じたためだと言われています。             

 2010年に発表された「開発に向けた農業の知識、科学、技術に関する国際的評価」(The International Assessment of Agricultural Knowledge, Science, and Technology for Development : IAASTD)という報告書は世界の農業の現状を示したこれまでで最も大規模な調査であり、国連機関であるFAO(Food and Agriculture Organization)やUNDP(United Nations Development Program)、WHO(World Health Organization)なども参加しています。そこには世界の農業の持続性を脅かす多数の環境問題が報告されています。

1.       土壌劣化と栄養分の喪失

-         土壌劣化が世界の農地の約30%で起こっている。

-         土壌劣化により農地の栄養分が失われ、窒素、リン、カリウムがそれぞれ59%、85%、90%の農地で不足。

-         これにより世界のおよそ11億3600万トンの農業生産を失っている。

-         結果的に世界の農地の19億ヘクタール、人口の26億人が土壌劣化の被害をすでに受けていることに。

2.       土壌の塩類化と酸化

世界農地の約10%で多量に使用される塩分の蓄積により塩類化という劣化がみられている。

3.       生物多様性の減少

原因として以下のことが挙げられています。

-         単一農産物の大量生産の繰り返し。

-         化学薬品の大量使用。

-         脆弱な環境への過剰な農地拡大。

-         農業生産を上げるための自然生物の過剰な駆除。

4.       水資源危機

-         50年前には川からの農業用水使用は現在の3分の1だった

-         農業用水は世界の真水使用の約75%を占める

5.       大気・水源・土壌の汚染進行

-         水資源の汚染は川・泉など農業用水の質の悪化につながっている

-         世界中での殺虫剤と化学肥料の使用が土壌・水・大気汚染の原因となっている。

-         人間の活動によって発せられるメタンの約60%、窒素酸化物のおよそ50%が農業によって発生している。

-         肥料の不適切使用により富栄養化が進み、近くの海や湖沼にデッドゾーン「死の海域」をきたしている。

-         殺虫剤の不適切使用により地下水汚染、健康被害、生物種の絶滅が起こっている。

このIAASTDの報告書では、現在の農業を持続させていくことは困難で、今後農業を変えていく必要があると結論づけています。

 現在、世界で摂取される全カロリーの95%が食料30品目で供給されており、しかもたった4品目 – トウモロコシ、コメ、小麦、ジャガイモ – だけで60%以上のカロリーを賄っています。このように少ない品目に頼る農業を続けていくことは、今後の気候変動に対応していくには不利であると容易にわかることでしょう。特定の地域で生産される多種の農産物はより耐性が強いと考えられ、今世界で摂取されている農産物を置き換えるべきものとされています。

 

3.    世界の有機農業の現状

世界に有機農業が広まり始めておよそ25年がたちますが、やはり環境問題などについて敏感なヨーロッパでの普及率が早期から高いようですが、ここ数年でオーストラリアにて一気に有機農業が広まったおかげで、オーストラリアが有機農業先進国の仲間入りを果たしたようです。実際には牧草地での有機化が比較的たやすいという理由によるようです。

工業型農業を盛んにすすめていたアメリカ合衆国やもともと食料自給率の低い日本はかなり遅れをとっています。

 

4.    日本の有機農業

日本国内の状況はどうなっているかと言いますと、農林水産省には「有機農産物」というタイトルで有機農産物とは何かを簡単な解説したパンフレットを紹介しています。

よくマスコミなどで有機野菜の話題になると味や栄養の話になり結局有機野菜は値段が高いからと敬遠されるようですが、さすがに農水省はきちんと「地球を守るための」有機農業を強調しています。残念なのはそれが広く国民に周知されていないこと。教育現場や公共の場でのPR活動が望まれるところです。

有意農産物を定期的に購入するには通販サイトが便利かと思われますので、是非検索してみてください。きっと見たこともない美味しい野菜が届きますよ。

 

 

Youtube 動画はこちらからどうぞ。