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『俺は不貞をしていない』
離婚はサレ妻も不貞夫も合意しているにも
関わらず、既に5人目の弁護士の受任通知が
届いたサレ妻。
『不貞はゴネた者勝ち?』と
思いたくなる。
地獄に突き落とされたのは、
サレ妻なのか、それとも不貞夫なのか。
離婚裁判になり、大学の後輩の裁判官に
窘められ、不満が噴出、結局、
裁判も取り下げ、生活費も入れずに逃避。
いくらゴネてもゴネ得という事が、
不貞をした者にはあってはならない事。
悪あがきもここまでくれば、可愛く見える?
だって、サレ妻からは三下り半。
既に、不貞女性には飽きられ、捨てられた。
不貞女性と絶頂期に、サレ妻に離婚宣言し
別居を敢行、マンションの最上階に
不貞女性と同棲を始めたまでは良かったの
だが・・
唯一、やりとりしてくれるのは
離婚協議中のサレ妻だけ。
弁護士を変えながら、何がなんでも
『不貞の事実』
だけは容認したくない。
その理由は、ただ、寂しく一人でいるのが
イヤだから。
そんな、ある医療従事者の話です。
不貞夫のお相手、不貞女は今も同じ職場の
同僚、そして、サレ妻は元職場の同僚であり、
不貞女の先輩にあたる。
不貞夫は、医師の家庭に生まれながらも、
家族の中で唯一の医療従事者、
つまり医師ではなかった。
3浪するも希望する医学部への入学は果たせず
屈折したその性格を知らずに結婚したサレ妻。
実家の隣に親の100%出資で家を建て、
大学病院の医療従事者として、勤務して
いながら、夜な夜な徘徊する夜の街では
『医師』として身分を偽っていた。
生活費に必要な固定費は、実態の不確かな口座
ドップリと不貞夫の実家の甘い汁に浸って
いたサレ妻も、義母の豹変ぶりにただならぬ
危機感を感じた。
その予想は、的中。
生活費の負担を告知された翌月、家族カードの
使用は変わらないが、息子夫婦に提供した
はずの建物に関して、明け渡し、そして転居を
考えるように通告してきたのだった。
勤務先に近い場所にマンションを購入し、
そこに居を構えなさいと勧める義母。
不貞夫も母親の突然の通告には承知している
様子で異論も唱えない。
まるで、サレ妻にここを出て行けと言わん
ばかりの通告。
転居に関して、サレ妻が拒絶の意向を示すと
さらに義母からの風当たりが強くなる。
義母の様子から明らかにサレ妻を排除したい、
という意図が見える。
サレ妻は、女性の存在を疑うものの、確証が
なく、義母の態度の意図が予測できなかった。
それまでとは一変、関係が悪化する嫁と姑。
その後、何度となく続いた嫁と姑のやりとり。
サレ妻は不貞夫に対して、調査をする事を
決めた。
調査を決めたきっかけ、それは義母の一言。
『貴女では、病院を継がせる孫は
期待できないじゃない。』
この一言で、サレ妻は、
『女がいて、もしかして妊娠?』と
疑い始めたのだった。
数週間後、不貞夫の代理人を名乗る弁護士
から、婚姻費用並びに離婚についても
協議をしたいとの主旨で受任通知が届いた。
『同居中にも関わらず、婚姻費用並びに
離婚についても協議をしたいって、
明らかに義母の差し金でしょ。
絶対に何か思惑がありますよね。』と
先手を打ち、弁護士名で諦めると踏んだ
つもりだったのか。
弁護士からの通知と義母の態度に不審を
感じたサレ妻は、調査依頼をする事に。
調査を始めた頃は、まだ、自宅から
通っていた。
弁護士に委任した事は、サレ妻が
聞いても、
『弁護士に話すなと言われている』と
答える素振りもない。
『ここは親から俺がもらった家だから、
できれば出て行ってくれないか?』
と日増しに横柄な態度になる。
『息子にしがみついていないで、
お互い次の人生を考えた方が良いのよ。
この家はあの子に買ったものだから、
離婚したら、貴女が出て行きなさいよ』
『婚姻後でもあるし、一部私も負担
してますから。』
自宅からの退去を頑なに拒否する。
不貞女の存在が明らかになったのは、
義母からの退去宣告があってから3日後
だった。
調査会社からの報告を受け、それから
我慢する事、1週間が経過した。
不貞夫が不貞女との数回にわたる密会を
重ねる様子、食事後手を繋いで
歩く様子などを撮影した報告書を
受け取り、サレ妻が向かったのは探偵の元
だった。
探偵は調査会社の調査報告書からサレ妻に
数点の指摘をし、さらなる情報収集を提案
した。
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