サレ妻の怒り、
積もり積もった恨みの末の怒り
依頼者であるサレ妻の表情は、既に
まるで世捨て人のような
表情をしていた
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これ以上、夫の好きにさせないし、
もう我慢はしません。
昨年、オリンピックが開催されていれば
6回目の不倫。
不倫が発覚した翌年は互いに気遣う、
いわゆる冷戦状態1年間続く。
翌２年目、五輪の終わった翌年は
サレ妻にとって、夫を疑わなくても
良い年だ。
しかし、実質わずか8ヶ月程度の平穏、
その年の年末には不倫夫の不倫の虫が
湧いてくるのだ。
それは決まって、年末のイベントごと
あたりから。
あからさまほど子供たちへの対応に
変化があり、経費削減とばかりに
クリスマスプレゼントが簡素なものとなり、
お正月も夫のみが帰省しない。
そして3年目、帰省しない夫を疑うと
予想通りお花畑になっている不倫夫と
その夫と我が物顔で腕を組む不倫相手が
いた。
証拠を押さえるのに4日程度、
調査期間は前後するが、不倫相手の氏名
から勤務先までが調査報告。
サレ妻はその調査結果を元に不倫夫に
問い詰める。
いつものように不倫がバレると
いつものように逆ギレ、弁明ができない
不倫夫はそこから数日はビジネスホテルに
宿泊し、サレ妻の様子を伺う。
これが3年目の春は、不倫夫は宿泊生活を
サレ妻の許しが得るまで続ける。
これまで最長で1ヶ月、平均すると
２週間程度。
毎回、10日ほどで反省し、泣きを
入れるのがいつもの事。
その10日間にサレ妻は調査会社の
調査報告をもとに、不倫相手に
内容証明の書面を送付したり、
直接、自宅や勤務先へ行き、不倫相手に
要求を突きつける。
運のいい事に不倫相手も抵抗がなく、
慰謝料を支払っていた。
要求額は５０万。
相手も既婚者であり、夫にバレない
負担のかからない金額を配慮したと
言う。
不倫が発覚するたびに、不倫相手からは
５０万、そして不倫夫から100万の回収
あの男の不倫は治らないんです。
そう諦めていたんですが、今年はそうも
いかなかった。
去年、オリンピック延期になり、
義父の介護もあり、不倫夫を許せる環境
に変化が出てきました。
サレ妻自身が精神的に義父の介護といつも
より一年以上続いた長かった不倫騒動に
疲弊してしまった。
不倫を疑い、発覚し、別居し、修復して
冷却期間ののち平穏な生活を取り戻す。
コロナ禍で別居が思うようにできず、
修復どころか、疑心暗鬼のままの同居と
介護の時間が続き、サレ妻の気持ちが
限界に達してしまった。
絶対にダメですからっとアドバイスを
受けていたサレ妻自らが、全てを放棄して
ホテル暮らしを始めてしまった。
職場と義父の世話のみをする毎日。
不倫夫とのやり取りも、不倫相手への
請求の気力も失せてしまったサレ妻
もう、この生活はうんざり。
サレ妻がそう呟いた。
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