FabCine☆Kpop(ファブシネ・ケーポップ)~おすすめ映画と韓流、ときどき演劇~

FabCine☆Kpop(ファブシネ・ケーポップ)~おすすめ映画と韓流、ときどき演劇~

ライターのちびっこOh!が、おすすめの映画や、一度見始めたら止まらない韓国ドラマ、Kpopネタ、観劇した舞台の感想などを、気が向くままに書いています。

こんにちわ。

FabCine☆Kpop(ファブシネ・ケーポップ)です。

 

今日は、6月13日から沖縄で先行公開され、

7月25日から全国公開中

映画「木の上の軍隊」を紹介します。

 

出演:

堤真一 山田裕貴
津波竜斗 玉代勢圭司 尚玄 岸本尚泰 城間やよい 川田広樹(ガレッジセール)  
玉城凜(子役) 西平寿久 花城清長 吉田大駕 (子役) 大湾文子 小橋川建 蓬莱つくし 新垣李珠 真栄城美鈴/山西 惇

監督・脚本:平一紘
原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案 井上ひさし)
主題歌:Anly「ニヌファブシ」


企画:横澤匡広 プロデューサー:横澤匡広 小西啓介 井上麻矢 大城賢吾
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ

©2025「木の上の軍隊」製作委員会

2025年/日本/上映時間:128分

公式HP

 

<ストーリー>

太平洋戦争末期、戦況が悪化の一途を辿る1945年。宮崎から派兵された厳格な少尉・山下一雄(堤真一)と、沖縄出身の新兵・安慶名(あげな)セイジュン(山田裕貴)は、敵の激しい銃撃を逃れ、命からがら大きなガジュマルの樹の上で身を潜めることに。戦闘経験が豊富で国家への忠誠心が強い山下は、上官として長期戦を覚悟し、援軍が来るまでその場で待機する決断をするが…。

 

 

 

 

私は、いわゆる「戦争映画」が大の苦手です。

主演が堤真一と山田裕貴でなかったら

この映画も観ていなかったと、思います。

 

2人の演技は、

「すごい」というより、

「すさまじく」

その演技を超えた“人間味”や、

ふとしたやり取りの“おかしみ”が、

作品のテーマでもある「希望」や「救い」

つながっているなと感じました。

 

 

「終戦を知らずに2年間、
ガジュマルの木の上で
生き抜いた日本兵の
実話に基づく物語。」

 

2人が演じるのは、伊江島での沖縄戦を

奇跡的に生き延びた2人の兵士です。

 

アメリカ軍の激しい攻撃のさなか、

ガジュマルの樹上に逃れ、終戦を知らないまま、

その上で2年間を生き抜いたという、

沖縄県うるま市出身の

佐次田秀順(さしだ しゅうじゅん)さんと、

宮崎県小林市出身の

山口静雄(やまぐちしずお)さんの

実話をもとにしています。

 

原作は、この実話に着想を得て

作家・井上ひさしが書き残した

2行のメモを原案とした同名舞台です。

(こまつ座/作:蓬莱竜太 演出:栗山民也)

 

舞台の初演は2013年で、

出演は藤原竜也、山西惇、 片平なぎさ。

2016年、2019年の再演では

山西惇と松下洸平が、

山下と安慶名を演じています。

 

2019年に沖縄でも上演されたこの舞台を、

沖縄在住のプロデューサー・横澤匡広と、

沖縄出身の監督・平一紘

(『ミラクルシティコザ』2022年)をはじめとする

沖縄主導の制作チーム

で映画化したのが本作です。

 


沖縄の映画人たちが、

本気で向き合った沖縄戦

 

ちょっと意外ですが、沖縄の映画人による

「沖縄戦」の映画は、これまでなかったそう。

 

戦争の傷跡を身近に感じているからこそ、

生半可な気持ちでは描けないという思いが、

沖縄の若い映画人にはあったと言います。

 

「沖縄戦」を沖縄県民の目線から描くため、

平監督は、横澤プロデューサーとともに、

伊江島での沖縄戦の資料にできる限り目を通し、

すでに他界されたモデルのお2人のご家族や

多くの戦争体験者に取材を行ったそう。

 

そうして聞いた生の声が、

この映画のリアルさと力強さに

つながっているのだと思います。

 

 

“沖縄戦の縮図”とも言われる

伊江島の悲劇

 

江島(伊江村)は、沖縄本島北部から北西9キロの

海上に浮かぶ美しい島。

 

その地形のすばらしさゆえに、

陸軍航空本部は、村と村民の協力を要請し、

1943年から飛行場の建設に着手。

4500名もの軍が駐屯し、沖縄戦開戦直前には

“東洋一の規模”といわれる飛行場が

完成していたと言います。

しかし、米軍の空襲を受け、航空不能に。

 

映画は、空港修復のため、

兵士と村民たちが過酷な労働を強いられる

シーンから始まります。

 

自然豊かな故郷の島を、

戦場に変えられた島民たちの怒りや悲しみ。

そんなことなど気にもとめず、

「国家への忠誠」や「正義」を振りかざす軍人たち。

しかし、激しい米軍の爆撃は、

甚大な被害を広げつつ

軍人・島民を問わず、多くの命を奪っていきます。

 

1945年4月16日、米軍が上陸。

6日間の激しい戦闘が続いた後、

日本軍は組織的抵抗を断念。

続く、米軍による徹底的な敗残兵掃討の結果、

慶良間列島へ移送された住民は2100名。

軍民の戦没者数は、軍人2000名、

村民1500にものぼったと言われます。

 

 

原作の精神を

堤真一と山田裕貴が体現

平監督は、本作の映画化に

チャレンジしようと思った理由を、

舞台の持つ「ユーモアとエンタメ性」と、

現代にもつながる「対立と相互理解」という

テーマに惹かれたからだと語っています。

 

そのテーマを見事に体現しているのが、

堤真一と山田裕貴です。

 

正直、この2人でなければ

この「ユーモアとエンタメ性」を

成立させられたかどうか…。

 

主人公・山下一雄と安慶名セイジュンは、

親子ほどの年の差がある「上官」と「新兵」、

「本土出身の兵士」と「島出身の兵士」として、

ガジュマルの樹の上での共同生活を始めます。

 

「死んでも日本兵としての

面目を守りたい」という山下と、

まずは「生き伸びるのが先決」と考える安慶名。

価値観も立場も違う2人の

葛藤が前半の見どころです

 

そして、戦場でのサバイバルから、

自然の中でのサバイバルへ。

状況が変化していく中で、

2人の関係性も少しづつ変化していきます。

 

 

本物のガジュマルの樹の上で撮影

 

本作のもう1つの主役ともいえるのが、

2人が暮らすガジュマルの樹です。

 

何の予備知識もなく観たので、

さすがに「ガジュマルの樹はセットだろう」

と思い込んでいたら、

なんと、数カ月かけて伊江島ミースィ公園

に移植された本物のガジュマルの樹の上で、

撮影を行ったのだとか。

 

このガジュマルの樹は、撮影後の今も

ミースィ公園に残っているそうですよ。

 

そして、佐次田さんと山口さんが住んでいた

(命を救ったというべきか)のガジュマルも、

『ニーバンガズィマール』と呼ばれ、

ミースィ公園の近くに現存しているとか。

 

伊江島に行く機会があれば、

この2か所を聖地巡りをすると、

なんだかご利益がありそうです!

 

 

すべてを内包する伊江島の

美しさと、たくましさ

 

この映画は、沖縄本島で撮影された一部を除き、

ほとんどのシーンが伊江島で撮影されています。

 

伊江島は、沖縄本島北部の本部港から

フェリーで30分と、気軽に行ける離島

として人気の島だそうです。

 

美しい海、生命力あふれる

亜熱帯の森林。

人間の生も死も、平和も戦争も、

すべてを内包するかのように息づく

自然の力強さには、観ていて圧倒されました。

 

米軍上陸の前に、安慶名と

親友・与那嶺が訪れる、与那嶺ビーチ。

ラストシーンの舞台となる

伊江島グリーンビーチ(イシャラ浜)。

映画にも、美しいビーチが印象的に登場します。

 

そんな伊江島ですが、島の北西部には、

在日米軍の伊江島補助飛行場があり、

現在も島の面積の35%は

米軍基地になっているそうです。

 

そんな事実も、この映画を観て、

資料を読むまでは全然知りませんでした…。

 

今年は、太平洋戦争終結から80年。

8月は「原爆の日」や「終戦の日」もあり、
戦争について、考える機会も多い季節です。

 

憲法9条の価値や重みが揺るがされたり、

「日本人ファースト」なんて言葉が

もてはやされたりする時代だからこそ

日本で実際に起こった戦争の歴史に、

無関心にならず、目をそらさず、

向き合わなければならない、

と思わせてくれた映画でした。

 

(余談)

本作のモデルの1人、山口さんは、

なんとちびっこOh!と同郷

 

自分からは全然遠いと思っていた戦争の実話が、

自分と同郷の方の身に起こったことだったなんて、

戦争の歴史って、他人事じゃない」、

と身につまされたちびっこOh!でした…