状況は混沌としていただろう。
あまりのショックと罪深くする思いはその場を沈黙させるには十分だった。
もう議論するエネルギーも残されていない。この状況下で何を議論すれば良いのか?そんな空気が漂っていたに違いない。
そして自分たちが関与したもので人が死んでしまった恐怖が全身をおそい始めていたのだろう。
重く冷たい空気は時間が逆転できないものであることを実感させた。
そんな静寂を破っていたのは日差しを浴びて温かくなった部屋のテーブルに置かれたグラスから、水滴が滴る音だけだった。
「もういい。これ以上は無意味だ。明日以降の動きで判断していこう。」
耐えきれず、誰かがこの極秘でおこなわれたミーティングを打ち切った。
そして映像を消去するという決定だけが残った。
誰もが真相を究明したかったはずだ。
そして誰もがアイルトン・セナの最後をこんな形で終わらせたくはなかったはずだ。
にもかかわらず、彼の最後を自分たちでこの世界から抹殺しようとしている。
とても言葉では表現できない複雑な感情でとても悲しい判断だったのだろう。