この人物は組織に忠実だった。
それ故に長い時間困惑していたに違いない。
組織の命令に背けばその後の業務に支障がでてしまう。
しかしアイルトン・セナの事故原因を隠蔽して全てを丸くおさめてしまうような組織でこれ以上働きたいとも思わなかったはずだ。
今自分に出来ることは何か?
組織の命令に従い、尚且つ証拠となるものを残す方法は何か。
それがあのレコードラインからはずれた瞬間に途切れる映像となったのだろう。
組織の人間はもう一度この映像を確認することはない。
この人物にはそういった確信があった。
あとは疑われず公開される日を待つだけだった。
自分のしていることに理解はしていた。
ただ目の前にある映像を消してしまえばおそらく永遠に謎に包まれてしまうだろう。
本当にそれは正しい事なのだろうか。
この人物の中で激しい葛藤があったにちがいない。