※この話はシリーズ構成になっているので、初めて見に来てくださった方は以下のブログからお読みください![]()
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手術、決定!
(ここからは両親からのちに聞いた話を基に書いています)
S先生に連れられ、両親はナースステーション近くの個室へと入った。
そこには白衣を着た医師がすでに1人座っていて、この病院の心臓血管外科医(以下、N先生)であると名乗った。
医師2人に促されて両親が椅子に座ると、N先生がテーブルの横に設置されたテレビの画面を指し示した。
「見えますか?この白いところ」
画面には私の心臓らしき画像が映し出されており、一部がモヤがかかったように白くなっていた。
さらに医師は私の脳のCT画像も示した。
「ここが白いのは、ウイルスが巣を作っているからです。このウイルスが脳まで飛んで脳梗塞を引き起こし、発熱させたわけです」
「脳梗塞…」
父も母も言葉を失ったという。
18年間、ろくに風邪も引かなかったあの子が、と。
「一応、手術をしなくても薬の投与での治療は可能です。しかしこのウイルスは、いつ脳のどこに飛ぶか予想できません。薬を投与している間に飛んだら最悪の場合、言語障害が残る可能性があります。」
絶句する両親に、先生は残酷な事実をいくつも突きつけた。
まとめると以下である。
・手術を行えば脳に飛ぶことはまずない。
・手術中に弁に傷がつくことがあれば弁を取り替えなければならない。
・取替えの場合、人工弁なら10年後再手術、生理弁なら再手術は必要ないが、2度と妊娠はできない。
「時間がありません。手術をするかしないか、今ここで決めてください」
ここですぐ決められるわけがなかった。
娘はまだ18歳。
これから大学で恋愛もして、いつか結婚もしたいと思っているに違いない。
そんな子に、一生消えない手術跡がつく。
しかも胸元。
でも、薬での治療では言語障害が残るかもしれないし、もちろん放っておけば死んでしまう。
「お父さん…」
と母が横に目をやると、父は嗚咽しておりとてもじゃないが会話できる様子ではなかった。
その時母は「私が決めるしかない」と決心したらしい。
「娘がなんと言うかですが…私たちとしては…
手術してください」
医師も「その方がいい」と深くうなずいたという。
その後両親と担当医は病室に帰ってきて、私に今聞いた話をおおまかに説明してくれた。
自分が置かれた状況の重大さに、そこでやっと気がついた。
「手術するかしないか、あなたが決めていいのよ」
母はそう言ってくれたが、病室内にいる大人たちの表情で、私がどう答えるべきかを察した。
「うん、手術しよう」
胸に大きな傷が残る。
手術すればしばらくは退院できない。
妊娠だってしたいから、弁に傷がついたら人工弁にするつもりだった。
そしたら10年後、再手術だ。
怖い。すごく怖い。
でも、そこにいる両親の気持ちを考えたら、確実に私が生き残れる方法を取るのが得策だとしか思えなかった。
