働いて3ヶ月した頃から仕事に行く前に必ず涙がぽろぽろと溢れ出てくるようになった。前は声を上げて泣いていたけど、最近はしくしく泣くようになった。泣いてしまうことにも慣れた。

必ず涙が出てしまうのは、ナース服を着たとき。

せっかく看護学校いって免許をとったのに、自分でなりたいと思ってなったはずなのに。今は苦しくて苦しくて仕方ない。

今日も怒られにいくんだ。と思ってしまう。今日も赤ちゃんみなきゃ、とか、お仕事しに行かなきゃ、とかじゃない。

出来ることが少ない。
物品補充、ゴミ集め、環境整備、片付け、準備・・・。看護助手さんがしていることを私もする。看護師免許って何だろう。

私は免許を持ったら、学生の時に出来なかった採血やルート確保、点滴とか、看護師の特権だと思ってた。あとは、色んな職種の人とカンファレンスしてその人の退院後の支援やケアをどうしたらいいのかとか間に入って考える役目を担うと思ってた。

私が今していることは看護師がしなくてはいけないものなのか?もちろん看護助手さんがいない時は周りに誰もする人がいないからやらないといけない。だけど、看護助手さん
がいてその人の仕事を奪ってまでする必要があるのか。

もっと他にすることはあるのではないか。

十分に人がいて点滴作成に余裕があるなら私はいらない。私の勤務する理由はなに?ミルク作成のために毎日勤務をしている。赤ちゃんをみるためじゃない。言われたことを淡々とこなし、使いっぱなしの物品を片づけ、時間になったらミルクを作る。

最近は、いつ成人病棟に戻ってもいいように看護技術の勉強をするようになった。疾患も勉強している。まるで国家試験を受けるかのように。

成人病棟からNICUに行けても、NICUから成人病棟は通用しない。

この世界でやりがいを感じていたら私は成人の勉強なんてする必要はなかった。
仕事を辞められるなら今すぐに辞めたい。
できないなら赤ちゃんから成人病棟に移動したい。

しんどい、しんどい、しんどい。

張り詰めた空気、殺伐とした空間、淡々とした先輩。
私が思っていたNICUは、そんな中でも温かみのある空間で看護師さんたちが家族さんに安心してもらえるように努力する場所だと思っていた。だけど、全然違う。

働いてみて全然違う。大切にしていた何かが壊れる。
私の心が壊れそうになる。

赤ちゃんはとっても可愛い。私たちが赤ちゃんの運動手段となって赤ちゃんの成長を促していく。とてもやりがいを感じるし、その中でも観察して変化を捉えていく。とても大切なことをさせて貰っている。

だけど、私は成長できているのだろうか?

病態に関しては範囲が狭くて且つ深くて文献探すのも必死。
赤ちゃんのことは大好きだから勉強したいけど、なかなか見つからない。だけど成人と同じように考えたら違うこともあるから一緒に考えてはいけない・・・。

成人病棟に勤めている友人は、先輩看護師から『この人はこういう病態だから、こういうところやあんなところも観察していかないといけないね。』『今は自分のことで精一杯だよね。全員のバイタルサイン回れた?スケジュールは順調?今日も定時に終われるように頑張ろうね。』場所によって違うけど、羨ましいって思ってしまう。

『もっと周り見て行動して』

周りをみて行動するようにした。誰も使わなくなったであろう体重計、ミルクの時間、点滴作成・・・。色々なものが見えてきた。

『体重計片付けてもいいですか?』
『ミルク作りに行かせて頂いてもいいですか?』
『ミルク持ってきた方がいいですか?』

確認するようにした。ミルクを作りに行ったらフロアに人が少なくなるから。体重計も、もしかしたら使う人がいるかもしれないから。赤ちゃんに温かいミルクをあげたかったから。

『そんなの周り見たらわかるよね?』
『一々、相談しないとできないの?自分で判断できないの?』
『オムツ変えたらミルクに決まってるのに黙ってできないの?』

どうして?ミルク作る前にそれよりも優先することはないの?オムツ変えたけどその後、エコーや採血ないの?私が確認するからダメなんだ・・・。

『すみませんでした・・・。』

謝ることしか出来ない。

『ミルク持ってきました』
『体重計片付けに行ってきます』

黙って判断した。どっちなんだろうなって思いながら。

『どうして勝手に行動するの?相談もできないの?勝手に行動したらインシデントに繋がるけれどそういうの分かって動いてるの?』

『すみませんでした・・・。』

私の思いなんて、もうどこか遠くに置いてきた。何も考えられないくらいに無心になった。私は相談せずに自分で勝手に動く信頼を失った新人看護師。

そのような私にさせたのは誰?

私が仕事を辞めたい理由。
それは矛盾のある指導。
赤ちゃんに関しては慣れと教えられてしまうこと。
壊れそうになるまで頑張ったその先に何も見えないこと。