「べらぼう」の語源についての考察を叙述します。
国語辞典によれば、ベラボウは江戸時代の寛文年間に見世物にでた「全身が真っ黒で、頭はとんがり、真っ赤な目をした猿のような奇人」の名前とされています。
ベラボウは漢字で「便乱坊」や「箆棒」と書かれ、人をののしっていう語とされ「バカ、アホウ、タワケ」などのこととされています。
人や物の名称は、普通には、その意味を考えて付けられるものですが、いったいどういう意味なのでしょうか。
バカ、アホウ、タワケなどのことというのですから、ベラボウの「ベ」は、その意味の「笨」と思われます。一音節読みで笨はベンと読み「バカ、アホウ、タワケ」などの意味です。漢語では「ばか!」というときは「笨蛋(ベンタン)!」といいます。ベラボウには、他の意味はないようなので、ベラボウの「ラ」はそのように読む単なる語気助詞の「了」のことと思われます。
ベラボウの「ボウ」は、当て字として「坊」が使われますが、一音節読みでバオと読む「包」のことであり、包には性格や性質が「まったくそのようであるさま」を表現するときに使われます。例えば、けちん坊、きかん坊、食いしん坊、朝寝坊、風来坊などがあります。したがって、坊のついた言葉においては「まったく」という意味があることになります。
つまり、ベラボウは「笨了包」の多少の訛り読みであり、下字から直訳すると「まったくのバカ、アホウ、タワケ(な奴)」の意味になり、これがこの言葉の語源と思われます。
なお、別意として「ベラボウな値段」「ベラボウな寒さ」などのようにいい、程度が甚だしいことを指すときの「とても、非常に、著しく」などの意味でも使われますが、このように意味が極端に乖離(かいり)しているときは語源が異なるのです。つまり、同音異義語になるのです。
一音節読みで、偏はピエンと読み「偏っている」、濫はランと読み「濫(みだ)りである」の意味です。暴はバオと読み「大き過ぎる」の意味で暴利や暴風などの熟語があります。つまり、この場合のベラボウは「偏濫暴」の多少の訛り読みであり、直訳すると「偏っていて、濫りで、大き過ぎる」の意味になり、これがこの場合のこの言葉の語源と思われます。
最新の広辞林と広辞苑には、次のように書いてあります。
広辞林(第六版):「べらぼう〔箆棒〕(一)人をののしっていう称。ばか。たわけ。(二)㊀ばかげていること。㊁程度がはなはだしいこと。あまりにもひどいこと」。
広辞苑(第七版):「べらぼう【便乱坊。可坊】(➀奇人の名称)➁人をののしりあざける時に言う語。ばか。たわけ。あほう。③異常なさま。はなはだしくて、信じがたいさま」。
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