私がカナダ🇨🇦のバンクーバーを訪れた際、衝撃を受けた。街のいたるところにホームレスの人が寝ていたからだ。観光地なのに、治安が良いと聞いていたのに。駅前では、いつも同じ人が「Please money」と通行人に声をかける。店内でも、ホームレスと思われる人が何かつぶやきながら徘徊している。ペットを連れた人。楽器を演奏している人。日本では考えられない光景だった。
ネットで詳しく調べてみると、「カナダ政府はホームレスの人にシェルターやお金、食事を提供している」そして、「ドラッグやタバコに使われる可能性があるから、ホームレスの人にお金を渡してはいけない」と書かれていた。それから私は、ホームレスの人を冷たい目で見るようになった。
本当にお金がないのだろうか?
わざと服を着ていないのでは?
ペットを使って同情を買っている?
ホームレスのふりをしている?
できるだけ避けて道を歩き、遭遇しても素通りした。
そんな時、足を失った女性が「help me」と書かれた段ボールを首からさげているのが目に留まった。1m移動するのも大変そうで、辛そうな表情をしていた。これまでとは違い、自分の中で「助けたい」という思いが芽生えた。物乞いをしているからには、皆それぞれ事情があるのだろう。
「彼女も本当に国からお金を貰っているのだろうか。寝る場所はあるのだろうか。」結局何もできなかったが、ベッドに入っても彼女の顔が忘れられなくて、心配だった。
彼女だけでなく、他にも「力になりたい」と思うホームレスの人が何人もいらっしゃった。食べ物ならあげてもいいのではないか、と考えた。
ただ、問題がある。
①もし彼(彼女)らが国からお金を貰っていた場合、私が食べ物をあげることで、そのお金をドラッグやタバコに使う可能性がある。
②もし彼(彼女)らがナイフなどを持っていた場合、近づいた私が脅迫される可能性がある。

ときどき、ホームレスの人にお金を渡す人を見かける。日本人の間では、お金を渡した人が「偽善者だ。貧乏人をバカにして優越感に浸っている。」と捉えられることもある。しかし私は、周りの目を気にせずリスクを恐れない彼らの勇気に感動した。(お金を渡すことが正しいかは別として)
〈ずっとこの問題について考えた私の結論〉
カナダ政府はお金を一切支給せず、食事を用意してその場で食べてもらう。洋服も、あえて新品でないものを渡せば良いと思う。ホームレスの人専用の診療所をつくり、病人の治療はそこで無料で行う。麻薬中毒者にはとにかく治療に専念してもらう。
ホームレスの方に何か支給すると、それを売って得たお金でドラッグを購入してしまうかもしれない。ドラッグは身体を壊してしまう毒でしかない。
就職支援を積極的に行う。路上生活の根本的な解決法は、社会復帰だと考える。障害を負った人、高齢者など肉体労働が不可能な人でも、留学生の為の英語教師ならできるかもしれない。

そんなに単純な問題ではないのかもしれないが、お金を支給してしまったら終わりだと思う。働かなくてもお金が手に入る社会では、真面目に勉強や仕事をしようというモチベーションが下がってしまいかねない。
私はこれから「どうしても支援したい」と思う人を見かけたら、食べ物を渡したいと思う。自己判断、自己責任で。だが、どんなに頼まれてもお金は渡さないつもりだ。
1人でも多くの人が楽しく暮らせる世界になることを心から祈っている