気づいたら目で追っていた
いつも気だるそうなキミ
でも友達といると楽しそうに
顔をくしゃっとして笑う
そんなキミに惚れる子は多くて
学年問わず人気で噂のキミ
同じ時代を生きているのに
僕とは全く違う世界にいる人
廊下ですれ違ったり、遠目から見かけることはよくあった
だから、いつの間にか密かにキミの姿を捜すのが日課になっていた
僕らの学校は不思議な間取りで、玄関ホール横に図書室があり、そこからはグランドとホールがよく見える
広くて眺めもよく、本の種類は豊富なところなのに人気がほとんどない図書室が僕のお気に入りの場所だ
僕の定位置は受付カウンターで、ホールがよく見える場所だ
キミがいるグループはよくホールで屯っており、遠くから見る日課がついてしまったのも仕方ないのだが、僕は図書員でもあるから本の貸し借りの受付をしなければいけないため、これもどうしようもないのもある
それにここは僕の憩いの場所であるから自然と定位置になったのもある
僕は進んで図書員になり、1学年の頃から自分の場所をずっとキープしている
だから司書教諭とは顔見知りだ
テスト期間中や授業で本を借りる必要がある時などは時々人が集まることがあるけれど、それでも疎らだし、みんなすぐに図書室からいなくなる
その時の僕がすることは、貸し借りの受付だけだからすぐに終わるし、自分の時間を過ごせる
だから、今回もいつもどおりだと思っていた
午前最後の授業が自習だった為、課題をすぐに終わらせて教壇上の提出用のカゴに出して、お弁当袋を持って図書室に来ていた
もちろん、授業中だから生徒は僕以外に居なくて静かだ
定位置の受付の椅子に座って本を読んでいた
すると、扉が開いてぞろぞろとグループが入ってきた
その顔ぶれにまさかと思うがそれは的中していてグループの最後尾に例のキミが現れた
僕はなぜかどきっとしたけど、本に目を戻して気づかないフリをした
彼らが来ることはほとんどなくて、1学年はじめの頃に学校巡りみたいな時と授業で利用するときくらいしか見たことがない
まぁそんな時に図書室にいた僕はサボっていたわけではなく、自習が重なっていて偶然だったんだけど
奥の本棚へ進む人もいれば、すぐに席に座って喋る人もいた
テスト期間までまだ1ヶ月以上はあるし、勉強しに来たわけではないなら・・・・・・サボりかな?
まぁでも喋っていても小声だし、非常識に騒ぎ立てるわけでもないようだからいいかな
と気にしないで居たかったんだけど・・・・・・
すごく視線が痛いくて、本の内容が全く頭に入ってこない
それになぜか動悸がどくどくと耳元でうるさくて、次第に顔に熱が上がってくる
それもキミのせいだ
なぜか遠くの席から例のキミがじっと見てくる
耐えきれず顔を向けると、机に上半身を流して腕枕で口元を隠すようにして顔を上げてこちらを見てくるキム・ジョンインと目が合った
話したこともない、ましてや僕が一方的に知ってるだけで知り合いでもないのに、なぜキミはこっちを見ているんだ?
もしかして、、、僕じゃなくて僕がいる方向に気になるものでもあるのかな?僕の自意識過剰?
それでも、僕が目を逸らしてしまってもう一度キミを見ても、目が合ってしまう
キミは遠くに居るし、ここで大きい声を出すわけにもいかないし、、、耳まで赤くなるのを感じつつも声は出さずに口元だけ動かしてみた
「何か用ですか?」と
すると、キム・ジョンインは目を丸くして驚くと、あの、だれをも虜にしてしまう笑顔でくしゃっと笑いかけてきた
あれ?その反応ってやっぱり、僕を見ていたわけではない?
急に恥ずかしくなってきて、ぶわっと顔全体に熱を感じて彼に背を向けて逸らした
アアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!
すっごい恥ずかしすぎるんだけど!
その場から逃げ出そうとした時、終礼のチャイムがなった
本当は(本来はダメだけど司書室でなら許可をもらってるから)ここでお昼を食べたかったけど、今は無理だ
お弁当袋を持ち立ち上がると、さっきよりも近くにキム・ジョンインが居て、思わず後ろに飛び退いた
そんな僕がおかしかった様で、声に出して笑うキミ
「いつもここにいるよね」
「え?!なんで知って、、」
「なんでだろうね(笑)」
まさかの発言と対面して言葉をやりとりしている現状に驚くのと同時に、質問しても含みのある回答で僕の反応を楽しんでる様子になんだかムッとする
「ねぇ名前なんてゆーの?」
「·····ギョンスです」
「俺はジョンイン。ねぇ、昼食べるなら一緒に食べようよ」
「え?!」
思わぬ誘いに戸惑っていると、ここで待っててと彼はグループの中のひとりを呼んで購買の方へと行ってしまった
え?うそでしょ?
何が起きた?
今はじめて会話したのに一緒にお昼食べるって、、、急展開過ぎない?!
僕が困惑する中で僕らの一部始終を彼のグループに見られているなんて、その時の僕は状況整理で頭パンクしていて気づきもしなかった
… … … 𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭