夢の中の彼 | EXO's World 。… .:*:・'°☆

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カメ更新ですが気長によろしくお願いします



白いカーテンがゆらゆら揺れて


窓からは眩しい光が射し込んでて


半袖から白く細い腕をのばして


本棚に寄りかかるその人は


俺を見るとふわりと微笑んだ


顔は思い出せないけど


笑うとハートの形になる唇だけは覚えてる








目が覚めると彼の姿はなく、悲惨な状況が広がるだけ。


食べかけのポップコーンが入ったボールにクラッカーを鳴らした後の残骸、いくつかビール缶のゴミが床に散らばっていて、テーブルの上にひっくり返ったビール缶の先から漏れる中身で濡れた新品のカーペットはもう染みになってしまっている。


あ〜・・・・・・そういや、昨日サッカー観戦してめっちゃ盛り上がって・・・・・・・・・あれ?結局どっちが勝ったんだっけ?


末っ子のセフンはぶっ格好な姿で酔い潰れていて、髪の毛にポップコーンのカスが絡まってるとは知らずに夢の中。


「あれ?ルハニヒョン?」


見渡しても見えないヒョンを探す。
キッチン、寝室、バスルーム。
どこを捜しても見あたらない。


玄関を見るとヒョンの靴がひとつ無かった。
買い物にでも行ったのかな?


外に出たのだとわかり、水を飲んで一息つく。


セフンを起こす気力もなく片付ける気も起きなくて、陽射しが差し込む窓に誘われるようにテラスへ出る。


気持ちいいくらいの晴天に、あたり一面に広がる桜。
ぐうっと背伸びをして春の空気を肺いっぱいに吸い込み吐き出す。


朝は苦手な方だけどたまにこうして目覚めるのはすきだ。



「あ、、おはようございます」




声をかけられ振り向くと、隣人の男の人がフェンスに寄りかかり顔をちょこんと倒していた。


どうしてかはわからないけど、その人の雰囲気がどこか懐かしい気がする。


「はじめまして。隣の部屋のド・ギョンスです。これからよろしくお願いします」


ふわりと微笑んだその唇がハート型になって、ドキッとした。


あれ?俺ってまだ寝てるのか?
まだ夢の中?


「ふふ、眠そうですね。起きたばかりですか?」


その人の言葉によるとどうやら現実らしい。


「・・・すみません。朝は弱いんで。えっと、、昨日隣に引っ越してきたジョンインです」

「ジョンインさん。目覚めには珈琲がオススメですよ。実は兄が自分の喫茶店でバリスタをしてますので、家にはいろんな豆があるんです。よろしければ皆さんで召し上がってください」


そう言うとがさごそと音がして、隣のフェンスからひょっこりと紙袋を持った手が現れた。


受け取ると手は引っ込み、また同じようにギョンスさんの顔がちょんと出てきた。


・・・・首を傾げるのは彼の癖なのだろうか。



紙袋を開くと、同時にふんわりと豆の香りが広がる。


「いい匂い」

「今朝焚いたばかりなので美味しいですよ」

「ありがとうございます。いただきます」

「こちらこそ、ありがとうございます。これからよろしくお願いします」


ギョンスさんはふんわりと微笑むと部屋の中へと消えてしまった。


俺は今朝の夢とギョンスさんの笑った唇が頭から離れなくて。


ただその場で立ちつくしていた。





何度も夢で見た彼は


今度は現実にも現れてきて


彼がくれた珈琲豆が証拠として


俺に渡された



・・・・・・ようなきがした。