お前はきっと知らないだろうな
今じゃ遠い昔のこと
だけど
今でもずっと
気持ちは胸のなかにある
夏休みが近づいた頃
ふたりで廊下で騒いでて
先生に見つかって怒られて
ふたりして教室の前で立たされた
だけど、なんでか楽しくて
目が合うと僕らは声を堪えて笑いあった
それから夏休みはずっとふたりで過ごした
海や川で遊んだり
暑いのを我慢して宿題をやって
休憩のときにはかき氷を半分こ
どこへ行くにも
何をするにも
いつもふたりでいた
でも
楽しかったこのときから
芽生えたこの気持ちは
お前に伝えることはできなかった
この関係が崩れると思うと
こわくてできなかったんだ………
夏休みが終わる、最後の日
夜眠れなくてベッドを抜け出して家を出た
真夜中の海辺でぼーっと座っていると
「……ギョンス？」
僕と同じで家を出てきたらしいキミ
ほんとに僕らはふたご座のようだ
僕はキミで
キミは僕
そんな錯覚に陥ってしまう
「ジョンイナが寝れないなんて珍しいね。TPO 関係なくどこでも寝てンのに。今日のお昼寝過ぎた？」
「からかうなよ、ギョンス～」
こんな他愛ない話ができるのが嬉しい
「ねぇ、ギョンス。歌って」
「えー？突然なんで？」
「……いいから、歌って、お願い」
「ぅ……そのお願いは狡いぞ！」
ジョンイナはへへっと笑うと
僕の肩に頭を預けて
またお願いと言うから
僕は深呼吸して歌い始めた
英語ならキミにはわからないと思ったから
キミを密かに想ってる、と
歌は夜の海に吸い込まれていった
歌い終わると
いつまにか僕らは手を握っていて
ジョンイナは目を閉じて寝息をたてていた
「お前はこのままでいて……」
静かに眠るジョンイナを頭を撫でて呟いた
月日は流れて
もう次の日は
僕は卒業する
あの夏がとても恋しい
僕はなんだか寂しくなって涙を溢したけど
笑ってそれを拭うお前につられて笑顔になる
卒業当日
壇上に上がり、賞状をもらう
くるりと後ろに振り返ってお辞儀をするとき
一瞬見えたキミの瞳には
うっすらと涙の痕
気のせい？
でも、式が終わって門出を出る直前
じっと僕を見つめるその瞳が
赤くなっていたのを覚えてる
キミは知らない僕の秘密
あの時のキミを想う僕は
大好きなキミの隣で笑顔で
どの写真もふたりは手を繋いでいる
もう、僕らは
あの卒業から手放した
高校はダンスの強いところへ行ったキミ
淡い期待を抱いていた自分が
とても恥ずかしかった
家は隣だったけど
ジョンイナの入った高校は寮制で
僕は自分の部屋から
だれもいない部屋を
眺めて高校時代を過ごした
そして、今、僕は大学生になった
僕はこのままじゃ引き摺ると思って
大学の近くで一人暮らしを始めた
過ごしてる内にキミを思い出すことは少なくなったけど
やっぱり、夏は僕を苦しめた
また今年も春がきた
今度こそキミを立ち切ろうと
実家に帰ってアルバムを広げる
もう、忘れなくちゃいけないんだ
このままじゃダメなんだ
哀しくて
辛くて
苦しくて
涙がボロボロ流れるけど
これで最後だと自分に言い聞かせて
キミとのアルバムを抱きかかえた
「……ごめん、すきでごめん」
ひとりで住む家に帰る電車を待つ
田舎の駅には僕だけ
大丈夫
ここまでだってひとりで来れたんだ
またひとりで歩ける
電車が来て乗り込んだ瞬間
「ギョンス！」
背中から聞こえた愛しい声
振り替えると
走ってきたのか息を切らしたジョンイナ
もうあの頃とは違って
均整のとれた身体に
大人な顔付き
幼い子どものキミはもういない
お前と出会えてよかった
お前とあの夏過ごせてよかった
お前を……すきになってよかった
この気持ちを伝えることはなかったけど
悔いはないよ
キミには秘密
「バイバイ、ジョンイナ」
どうか幸せでいて………
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雑でごめんなさいぃm(。_。)m
Good bye summer 聞いてて咄嗟に思いつきで書きました