ああ、どうしよう?
君を見るたび
ドキドキが止まらない。
特に踊ってるときなんか見とれてしまう。
もう、ほんとに、どうしちゃったんだろ?
side D
「ギョンス、なんかあった?」
椅子に座りこんでいると新しく仲良くなったベッキョンに尋ねられる。
「なんで?」
「悩んでるみたいだから。いっつもなんか考え込んでるし。」
仲良くなってあんまりたってないのに、よく見てるなあ。
「うん、ちょっとね。」
「あ!もしかして、ストーカーとか?前はやたらここまで来てお前のこと見てたよなあ。」
「え?違うよ。なんの話し?僕のこと見てるって、なにそれ?怖いんだけど。」
「あ、なんだ。違うのか。最近はまったく見なくなったけど、前に窓越しにギョンスを見る奴が居たんだよ。すーげーお前のことガン見しててさ。まあ、今は全然ないし、関係ないなら大丈夫だろ。」
う~わ~…………なにそれ?
すっごく怖いんだけど。
大丈夫って、全然大丈夫じゃないよね。
「……その人だれ?」
「知らないけど。なあ、あれって、また新たなストーカーかなんか?」
ベッキョンが指差す先には、練習室の窓越しで僕を探しているジョンインがいた。
僕は意味もなくドキッとしちゃって、思わず立ち上がった。
「ジョンイン!」
「なんだ。知り合いなのか。」
なんでか残念そうなベッキョンを横で見てからジョンインに視線を戻す。
ジョンインが僕を見つけると嬉しそうに手を振ってこっちにきてと手招きしていた。
僕はそれに従って駆け込んで練習室のドアを開けた。
「ごめん、いきなり来て。練習中だった?」
「ううん。ちょうど休憩してたとこだよ。珍しいね、ここに来るなんて。」
僕らが会うのはいつもダンスレッスンのときだけで、このあとそっちに行くんだけどな。
こうして来てくれた嬉しさが大きくて、なぜか期待しちゃう。
「うん。あのさ、ギョンス、来週の日曜空いてる?」
「ん~?空いてるーとは思う。」
「あのさ。姉貴から遊園地のチケット貰ったからふたりで行かない?」
「え、」
休日に"ふたりで"しかも"遊園地"って……それって、なんだか………
「だめ?」
可愛く首を傾げてお願いされたらダメなんて言えないし、特に断ることもないし、いいかな?
なんだか、ちょっと引っ掛かるところはあるけど気にしないことにしよう。
たまにはあるよね?男友だちふたりで遊園地っていうのも。
「いいよ。行こう。」
「やった!」
めちゃめちゃ嬉しそうに目の前でガッツポーズするジョンイン。
そんなに嬉しがられるなんて、なんだか、照れるな。
「ふふ。もしかして、このことで来てくれたの?」
「うん。ギョンスと行きたかったからはやく誘おうと思って来た。」
どきんッ
ああ、まただ。
「そ、そうなんだ。このあと練習でそっちに行くのに。」
最近ジョンインはこうやって
「いいの!はやく会いたかったから来たんだ。」
ストレートに思ってることを言うから、期待しちゃう。
「ギョンスは嫌だった?」
「そんなことしないよ!嬉しいよ!」
「そ、ならよかった!あ。俺、もう行かなきゃ。じゃあまた後でね。」
「うん。」
ジョンインが行ってしまった後も僕はその場でぼーっとして小さくなる後ろ姿を見ていた。
ドキドキと鳴る鼓動が耳まで響いて聞こえる。
ジョンインと話すだけでもこんなにドキドキするのに、遊園地って。
しかも、ふたりでって。
ああ、ほら。
僕ってばなんで期待してるんだよ。
ほんとに、なにに期待してるんだか。
「ギョンス、いつまでそこにいんの?」
ベッキョンがドアに挟まってる僕をなかにいれる。
なんか、今の僕、すごくカッコ悪いね。
「ギョンスってばいつまでときめいてるつもり?どんだけあいつに惚れてんだよ。」
「な、?!なに言ってんだよ!」
呆れつつも笑って言ったベッキョンの言葉に焦る。
惚れてって??!
「見てればわかるって。ギョンスってばあんな顔もすんのな。知ってる?あいつ見てるときのギョンス、嬉しそうに甘~い笑顔してんだよ。」
「んな?!そんなわけないだろ!」
僕が?ジョンインに??
まさか
そんなことないって!