がさがさ、
ごそごそ、
僕の寝ている横で、物音がする。
カラカラ………、
窓を開ける音がなったと同時に、花の香りがふわりと漂う。
さぁ…………、
風に揺らされて葉が擦れる音が耳を掠り、長細い指で頭を撫でられる。
君は何をしているの?
気になるけど、僕が寝ていると思いこんでいる君を驚かせたくて、まだ目を開けない。
がさがさ、
びりッ
「あっ!」
紙が破ける音と彼が驚く声がして、ビックリして思わず体を動かしてしまった。
だけど、彼がすぐに僕の様子を見に来たから、僕もすぐに寝ているふりをする。
僕が起きてなくてホッとしたのか、すぐに彼が僕から離れてまた作業を始める音がした。
ほんとに、何してるんだろう?
「……できた!」
小さく喜ぶ声が後ろで聞こえる。
「ふふ、喜んでくれるかな?」
彼が僕にもう一度近づいてきて、横向きで寝てる僕の肩にそっと手を添えると、頬にやわらかい感触が押される。
………それだけ?
そう思うのと同時に、唇を重ねられた。
まだ触れるだけのタオからのキス。
我慢できずに離れてく手を掴んで引き寄せて、ベッドに倒した。
「わわっ!?セフナ?!お、起きてたの?!!」
吃驚した顔で下から僕を見るタオに頷くと、今度は僕から唇を重ねた。
タオのとは違う、深いキス。
「んん、セ、フナぁ、んゥ、」
甘い花の香りに包まれたなかで、タオの甘い苦しそうな声が耳に届いてふわふわした気分になる。
唇を離すと、タオの吐息がかかり、鼻先が触れ合う。
「お、おはよう、セフナ。」
「おはよう、タオ。さっきから何してたの?」
悪戯っぽく笑って見せると、更に目を見開いて顔を真っ赤に染めるタオ。
ふふ、可愛い
見られたくないのか、恥ずかしそうに両手で顔を隠した。
窓を見てみると外からピンク色の花びらがはらはらと部屋に入いる。
ベッドのすぐ横には大きな同じピンク色の袋が置いてあった。
「タオ、これ、なに?」
袋に手を伸ばして持ち上げると、見た目よりもやわらかくて軽かった。
破けてできた穴から黒い動物の足が見えてる。
ああ、びりッてこれか。
「開けてい?」
上半身だけ起きて僕の様子を見てるタオに聞くと、満面の笑顔で頷く。
丁寧に縛られたリボンをほどいて、中身を取り出す。
すぐに黒い耳が出てきて、すぐにわかった。
「パンダだ……。」
タオは恥ずかしそうに僕の持つパンダの頭に顔を半分埋めて、上目遣いで僕を見つめた。
「誕生日、おめでと、セフナ。」
「ありがとう、タオ。このパンダは?」
顔を近づけて聞くと、目を伏せて照れはじめる。
「これ、タオってこと?」
パンダの首に着いているリボンの先に"TAO"と、書かれていた。
タオが頷いたのを確認して、パンダごとタオを抱き締めた。
ふわふわとやわらかいパンダは僕らに挟まれて潰れてしまってるけど、タオはそのことには怒らずに素直に僕に抱きついた。
可愛いタオにもう一度キスをした。
「ありがとう、タオ。」
「ン、セフナ、、もっと、」
「うん。」
いいよ。
何度もしてあげる。
僕だけのパンダに。
甘いプレゼントのお返しに。
~おまけ~
あ、そろそろ起こしてあげなきゃ。
「タオ、セフン、起き、、。」
部屋のドアを開けた瞬間、タオをベッドに押し倒してキスするセフンが視界に入り、慌てて扉を閉めた。
何も反応もないから気づかれてはいないけど、気まずくて、ふと目に入ったカレンダーを見て思い出した。
ああ、そうだ。
今日はセフンの誕生日だ。
!
先程、タオがバカデカいパンダの縫いぐるみを抱いて部屋に戻ったのを見ていた。
「ギョンス?マンネ、起こさないの?」
マンネ組の部屋の前にいる僕に首を傾げるレイヒョンに、僕は口にひと指し指を充てて静かにするようにジェスチャーして見せた。
「自分たちで出てくるまで待とっか。」
?マークをいっぱいつけるレイヒョンを連れてふたりの部屋から離れた。
今夜、マネヒョンに頼んでケーキ買ってもらわないとね。
ただし、早く出てきたらの話だけど。