踊ってるときはあんなにキラキラしていたのに、俺が誘うと自信なさそうに揺れる瞳に、守ってあげたくなる。
自信もってよ。
あまり自分を卑下しないで。
声をかけると嬉しそうに微笑んでくれるその笑顔が可愛くて好きだ。
[ Jealous anger ]side L
俺の必死の誘いを受け入れてもらえて、数日が立った。
ミーちゃんはきちんとしてるけどどこか抜けてて、ひとつひとつの行動が可愛らしい。
冗談も言うし、ふざけたりもする。
怒るときはぷにぷにのほっぺをぷっくりと膨らませて下から睨む姿もめちゃめちゃ可愛くて、君にハマっていく。
だけど、唯一見たことがないのは、君が泣いた顔。
俯く姿は何度か見たことあるけど、泣きそうで泣かないギリギリな顔がときどき覗く。
知りたいけど、すぐに笑顔を向けられるから聞けない。
そんなことが多くなってきたこの頃。
♪ー♪ー♪
俺の携帯が練習室に鳴り響く。
♪ー♪ー♪
長いから着信か。こう何度もかけてくるのはあの女か。と寄ってくる女たちの一人を思い出す。(よく覚えいないけど)
♪ー♪ー♪
ミーちゃんは気になるのか動きを止めて携帯を凝視していた。
♪ー……………♪ー♪ー♪
「ああ!もう!うるさいなぁ!」
止まったと思ったら、しつこく何度もかけてくる相手に苛ついて電話に出て二度とかけてこないように言い放つ。
ミーちゃんが気にしていたから練習室を出て廊下で話す。
電話の向こうの女はいちばんしつこくて独占欲の強い女だ。はっきり言ってやんないとわかんないようだ。
「え、?」
ちらりと扉の向こうのミーちゃんを見ると、目を疑うような光景が飛び込んできて、とんかちで頭を殴られたような衝撃を受けた。
セフンが少し屈んでミーちゃんにキスしていた。
「は?どういうこと?」
ミーちゃんは拒みもしないで頭の上に添えられた手に自分の手を重ねて、そのやわらかな頬へと自ら持っていった。
それを見て俺のなかで何かがキレた。
通話中の電話を切って部屋に戻り、ミーちゃんの腕を掴んだ。
俺に気づいたセフンは添えた手を離した。
一方、なにが起こってるのか事態を把握できないミーちゃんは、目を見開いて俺を見るだけだった。
「なにしてんの?」
低く冷めた俺の声が部屋に響いた。
ただ驚くミーちゃんからセフンに視線を移す。セフンは無表情で俺をじっと見ているだけだった。
この男はなにを考えてるんだ?
「なにしてんのって聞いてんだけど?」
先程よりも強めに問いただす。
「なにもしてませんよ。」
セフンは飄々とした顔で答えた。
よくも、平気で嘘がつけるな。
俺が見てないとでも思ってるのか?
「ヒョンこそ突然どうしたんですか?ミンソギヒョン、痛がってますよ。」
言われてミーちゃんを見ると、顔を歪めて痛みに耐えていた。掴んでいた手を離すと、俺の手痕がはっきり残って痛々しく赤くなっていた。
ミーちゃんは恐怖と戸惑いに瞳を揺らせつつも俺から視線をそらさなかった。
なぜかはわからないけど、俺はそんな風に見られたことがショックで息が詰まった。
「ル、はッ!んん!?」
ムカついて、気づけばミーちゃんの唇に噛みついていた。
「や、め、ッ、ィタ!」
抵抗するミーちゃんの唇を尖ってる歯で引っ掻き肉を引き裂いた。
「ヒョン?!」
セフンが俺を引き離して、ミーちゃんの前に庇うように立つ。
ミーちゃんは目に涙を溜めて、震えていた。
「ミーちゃんは、俺には抵抗するんだね。」
俺はショックで泣きそうで、声を震わせながら言い放って、逃げるように部屋を飛び出した。
最低だ………。