アトピー性皮膚炎との闘い
うちの子供たちは、アトピーでした。皮膚がかゆくてかきむしり、布団や洋服が血だらけでした。息子は大人になった今でも皮膚科に通って塗り薬をもらっています。でも、随分良くなりました。アトピーと戦った経験で学んだことは、
1、アトピーの患者に「かいてはだめ」と言ってはいけないこと
2、ステロイドをうまく使うこと
3、医者を選ぶ時は、きちんと話を聞いてくれる人を選ぶこと。「うちが一番」とか 言ってる所は要注意。
【かくな!と言わずに代わりにかいてあげる】
かゆい人に、「かくな」と言っったら、もっとかゆくなります。とにかくかゆいのですから、かかずにはいられない、仕方がないのです。私は過去に、ダニにかまれて2週間程、苦しんだ経験があります。死ぬ程かゆい!いてもたってもいられない!毎日、医者に通って、恥ずかしげもなく、すっぽんぽんになって、薬を体中に塗りまくりました。あれが何か月も、何年も続くのがアトピーです。
じゃ、どうすればいいの?
一緒にかいてあげましょう。
きれいに爪を切って、やすりでつるつるにした指の先で、ゆっくりと、なでるように、優しく、関節や肌をかいてあげましょう。そうすると、かゆみはおさまります。
以前勤めていた保育園でアトピーの子がいました。担任の先生が「かいちゃだめでしょ!」と言ったところ、その子は泣ぎだして、もっとかきむしりました。先生が去った後、私が抱っこして「かゆいよね、いやだよね」と声をかけ、代わりに優しくかいてあげたら泣き止みました。かくのもやめました。後で看護師にそのことを話して、全体ミーティングの時に先生たちに理解を促してもらいました。
保育士でも、経験がないとわからないものです。
ご自分の子供がアトピーで保育園や幼稚園、学童に入れる場合、親は、先生たちに、このことを伝えておくと良いと思います。
それから、「又かいてるの?」と責めたりせずに、「かゆいの?辛いよね。」など、優しい言葉をかけてあげましょう。そして、面白い話や相手が興味のある話をして、かゆみから気をそらしてあげるといいと思います。
【ステロイドを賢く使う】
アトピーでは、肌がかゆくなるので、それをおさえる為に、ステロイドという成分が入った塗り薬を塗ります。
このステロイドはとても強い成分なので、かゆみをすぐに抑えることが出来ます。しかし、長く使うと副作用が出ます。それを怖がって全くステロイドを使わないと、かゆみはおさまらず、寝不足やイライラが増して通常の生活ができなくなります。
ですから、あまりひどい肌の状態の時は少し強めの薬を1週間位使って、良くなってきたらもっと弱いステロイドの薬や他の薬に切り替えます。お医者さんがいろいろと調合してくれるので、よく相談して様子を見ながら薬を変えていくと良いです。
【きちんと診てくれる医者を選ふ】
ある時、アトピー専門の有名な先生がいる、と聞いたので、東京都江戸川区にある皮膚科に行きました。ここの先生はアトピーの本も書いてます。ところが、ちょっと子供の体を見ただけで、ろくに話も聞いてくれず、血液検査をさせられました。そして、ダニを外に逃がさないという、ものすごく高額な布団シーツのカタログを渡されました。その日の診察料が、2万円位だと言われて、びっくりした私は、「そんなに持ってきていないんですが、、、」と言うと、「じゃ、後で振り込んで下さい」と言われました。又、何か所か針を入れて血液を採った為、すっごく痛くて泣いている娘に、受付の女性が、「そんなに泣いたら、もっとかゆくなるよ!」と、吐き捨てるように言いました。ひどい!先生も先生なら、部下も部下だ!
それでも、薬をもらって、次に来る日は診察前に30分間、栄養の先生と、食事について相談をする約束を取りました。
ところが、当日、先生が遅刻して、次の約束があるからと、相談時間が短くなったにも関わらず、30分分の相談料、1000円を払わされました。遅れてきたのに、一言も謝らない先生でした。
それどころか、私なりに一生懸命食物アレルギーについて調べたことを相談し始めたところ、「随分と調べてきているようですが、子供さんがこんなにひどい状態ということは、栄養失調なんじゃないですかね?」と、まるで私がきちんと食べさせていないかのように、いやみを言ってきたんです。
その後、診察を受けたのですが、医者は、子供たちの体を全く見ることもしないで、「薬を出しときますから」と言って終わり。私が、紙に書いてきたことを質問しようとすると、「まだいたの?」と、面倒くさそうに言われました。
ショックでした。2時間かけて来ているのに!この先生、本では「患者さんの気持ちに寄り添いましょう」とか書いているのに、全く態度が違う!
それで、もう、来るのはやめようと思って、「近くの医者に紹介状を書いてほしいのですが」と頼むと、「他の医者で、大丈夫かね?」と言ってました。看護婦さんにも頼んだたら、「他のお医者さんではここの薬より良い物はないと思いますが、、、」とか言われました。こうやって、自分の所が一番良いみたいに言ううんです。
もういいや、と思って帰りました。2度とそこには行きませんでした。
後で、近くの大学病院に行ってそのことを医者に話したら、「本を書いてそれが売れて、患者が集まってくるだけですよ。でも、どうせ、そんな態度なら、にわか患者のカルテだけ残って、長く続く人はいないでしょう」ですって。
数日後、あの、ひどい医者のことを個人的に知っている人と会ったのですが、その人が言うには、本を書く前は、あの医者は研究熱心で良い医者だったそうです。それが、本が売れて、有名になった途端に患者が押し寄せて、鼻高になってしまったようです。
アトピーはすぐに治ることはほとんどないので、続けられる範囲のお金と距離におさまる病院を見つける方が良いのかもしれません。患者を「金のなる木」と考えているような、不親切で欲張りな医者には通うのはやめましょう。
●我が家のアトピーとの闘い●
娘が4歳の時、アトピーを発症しました。息子は1歳でした。症状が軽くなるまで、4年間かかりました。
●夜眠れない
娘は夜、寝付いた後、3時間すると「ギャー!!!」と、ものすごい声で泣いてかきむしります。それに起こされて、私は娘を抱っこして、マンションの最上階の7階までエレベーターで昇り、そこからゆっくりと娘の背中をトントンしながら、廊下を歩き、階段を下りて一階まで歩きます。それから、エレベーターで7階までもう一度昇り、同じことを3回繰り返します。すると、娘はやっと眠るので、部屋に帰って来て、布団に寝かします。
ところが、3時間すると、又、「ギャー!!」と泣くので、抱っこして同じことを繰り返します。
毎晩、これを約3回繰り返すと朝になります。
眠たくて、なかなか起きれなくて、毎日、幼稚園のバスに間に合わず、自転車に乗せて私が送って行きました。
息子も夜中に起きるのですが、大きな声では泣きません。でも、ものすごい勢いで首をひっかくので、その音で私は目を覚まします。
それで、きれいに切って、やすりをかけてある私の指で、優しく、息子の首や足、腕の関節をなでるようにかいてあげるのです。こうすると、気持ちが良いらしく、いつの間にか眠ります。なかなか寝ない時は、息子の好きな恐竜のビデオなどを見せながらかいてあげると、眠ります。
たまに、二人が同時に泣いた時は、近所の人に抱いてもらったりして、本当に皆さんに助けてもらいました。
主人は寝れないと仕事にならないので、毎晩私が二人の面倒を見ていた為、昼間は眠くて、眠くて、ぼーっとしながら家事や子育てしてました。公園にも連れて行ったし、今思えば良くやったな、若かったんだな、と思います。
●添加物の少ない物を使うようになった
二人とも、朝と夜、無添加石鹸で体を洗います。タオルは使わずに、私の手に石鹸を泡立て、優しくなでるように子供たちの体を洗ってから、シャワーで洗い流します。
体を拭きますが、少ししめっている状態で体中に薬を塗り、両腕と両足に包帯を巻きます。日中や夜中に包帯が取れてしまったら、その都度、巻きなおします。
シャンプーや石鹸、洗剤は、全て無添加の物に切り替えました。ちょっと値段が高いのですが、そうでないのを使うと、刺激が強くて肌が荒れます。
食べ物も、添加物をなるべく取らない様にしました。ハムやベーコン、ウィンナーには発色剤(亜硝酸Na)が使われています。肉の色をきれいに保つ・風味を良くする・賞味期限を長くする為に使われる発色剤ですが、体に悪い!だから、これが入っていない「無塩せき」のハムなどをを買うようにしました。
マーガリンも良くないとわかったので、バターを使うようにしました。
アレルギーの人には、合成着色料が特に良くないので、お菓子やゼリーを買う時は、「赤5号」「黄3号」といったものが書いていない物を選びました。
そうは言っても、完全に無添加というのは難しいので、出来る範囲でやりました。
●食物アレルギー
病院で血液検査をしてもらいました。大豆や卵に反応しました。卵は180度以上で加熱した物は食べれました。オーブンで焼いたケーキはOKでした。あとは、卵を入れないクッキーを焼きました。ラーメンも、スープからめんまで、手作りしました。
大豆油がしみついているので、今まで使っていた鍋を全部買い替えました。醤油は発酵調味料で大丈夫ですが、納豆や豆腐は食べれません。
外食はほとんどせず、アイスクリームも手作りでした。
毎日何を食べたか、日記を書きます。これを食べたらかゆくなった、とわかるようにです。でも、何をしても、なかなか良くなりませんでしたが。
娘が小学生になった時、給食は食べないで、私が弁当を作って持って行きました。かわいそうですが、仕方なかったです。そういえば、お米がだめかも、と思って代わりに麦を弁当に入れてたこともありました。これが、おいしくない!
ただ、小さい子供の多くが卵や牛乳にはアレルギー反応を表します。これは、大きくなるにつれ、なくなっていくことが多いので、様子を見るようにしましょう。
ある時、知り合いの人が娘にキャンディをくれました。私はそこにいなかったのですが、娘が飴をなめているのを見て、「何食べてんの!」と、すごい勢いで取り上げました。主人が後で、「キャンディくれた人、びっくりしてたよ」と言ったので、私もやり過ぎた、と反省したのですが、主人は止めもしない、ま、あんまり家にいないし、夜中に起きても私が対処してるので、娘の鳴き声もほとんど聞こえないから、私の真剣さがわからないんだろうな、と思いました。
もし、アトピーの子供がいるお母さんがキリキリしてたら、「大変なんだろうなー」と多めに見てあげて下さい。
●ダニは大きなアレルゲン
アトピーや喘息の患者は、ダニに敏感だと言われています。
死んだダニは、体がバラバラになるので、それを吸い込むとアレルギー反応が出てかゆくなります。だから、布団は毎日掃除機をかけます。ゆっくりゆっくり時間をかけて吸い取ります。
ダニはほこりの中にいるので、よく掃除をしました。カビの胞子が飛ぶと、それもアレルゲンとなります。カビはガンも引き起こすので、健康な人も、カビ対策はしっかりやった方が良いです。
しょっちゅう、布団乾燥機をかけて、高温でダニを殺し、そしてその死骸を掃除機で吸いました。
ダニが繁殖しにくい布団をいくつか試してみました。結構値段が高いです。
今は、子供たちは、ダニが100%こない、という布団で寝ています。3万円しましたが、なかなか良いみたいです。
●創価学会の人に勧められて困ったことがあった
ある時、公園で、アトピーの子供を持つお母さんと会いました。一回会っただけなのに、うちに手作りの餃子を作って持って来てくれました。良い人だな、と思ったら、「私、どんなアトピーでも治す医者を知っているのよ、うちの子も治ったの。」ともすごく勧めるので、通ってみたのですが、小さい容器に入った薬が5万円もしました!又、肉を一切食べてはいけない、と言われ、それも大変で、5万円した薬は全く効かないどころか、状態は悪化しました。
その創価学会の人は、「もう一回行って、違う薬を調合してもらったら、きっと治るわよ」と言い、そんでもって、毎月2000円出して聖教新聞まで買ってくれ、とサンプルまで持って来た!「池田先生の言葉できっと元気が出るわよ!」と、しつこい!最後は居留守を使って縁を切りました。
実は私はこの時、バリバリのモルモン教の信者でした。今は脱会しましたが、振り返って思うと、モルモン教も創価学会と同じですね。
どちらも、「うちの宗教が一番正しい」を唄い文句にしているので、それが、生活のあらゆる所に出てしまいます。
「この薬は全ての人を治せる。」と信じ切ってしまうのも、「うちの宗教は全ての人を救うんだ」と言っているのと同じ。でも、そんな薬は存在しないし、そんな宗教も存在しない。創価学会やモルモン教で幸せになっている人もいれば、教えが合わなくてやめる人もたくさんいる。
●自分に合う薬を見つけよう!
ある時、結構年上の奥さんからびわの葉のエキスで作ったという、塗り薬を頂きました。「うちの子のアトピーは、これで治りました。少しだけおすそわけしますね。でも、あなたのお子さんに合うかどうかわわかりません。合わなかったら、捨てちゃってください。もし、効くようだったら、作り方を教えますのでおっしゃって下さい」
結果は、うちの子には効かなかったのですが、合わないかもしれないから、と初めに言ってくれていたので、こちらもすっごく気持ちが楽でした。
この奥さんは無神論者でした。この経験で学んだことは、薬も、宗教も、人によって合う・合わないがある、ということです。私はモルモン教会こそが全ての人を救う、と教えられてそう信じてきましたが、それは間違っていた、と気付きました。
●宗教やりながらアトピーはきつい
モルモン教会は、日曜日の集会が3時間と長い(最近は2時間になったらしいが)し、
日曜学校の先生とか子供のクラスの先生とかの役が回ってきて、大変です。私は聖餐会の伴奏者でしたが、朝眠くて起きられず、遅れて行ったらそれが父親にばれてひどく叱られました。
大変なのに助けてもらえるどころか責められ、くったくたに疲れてしまいました。教会に行くのが怖くなったこともあります。
又、少し具合の悪い娘を教会へ連れて行ったら、肺炎をおこしてぜんそくを発症し、その日のうちに入院しました。モルモンの神様は守ってくれなかった。
モルモンでもアレルギー患者用のお菓子を持ってきてくれたり、食事を持ってきてくれた人もいましたが、多くの人が私たちの苦労をわかってくれなくて、「責任をしろ」とか、「集会に来い」と言って来ました。
本来、困っている人を助けるはずの宗教なのに、反対に戒めを守っていないといって、責め、苦しめてしまうことがあります。モルモン教はそれが非常に多いので、カルトと言われてしまうのです。私も若い時は、大変な人のことが理解できなくて、責めてました。教えが、人に哀れみを示すことよりも、ルールを守ることに重きを置いている為、どうしても、こうなってしまうのです。
あとは、病院に通うだけでもお金がかかるのに、モルモン教会では収入の10%を納めなければなりません。これもとてもきついです。
●今でもアトピーは完治してないけど
娘も息子も、ぜんそくも発症しました。胸がボコん、ボコんと動いて、死んじゃうんじゃないか、と恐怖を感じましたが、なんとか良くなりました。
今ではぜんそくはおさまっています。娘は近所の皮膚科が調合してくれた薬がやっと効いて、良くなりました。息子は年齢が大きくなるにつれ、少しずつ良くなりました。でも、息子は成人した今でも、時々皮膚科に通っています。
大人になって発症する人は、仕事をやめる程ひどくなることもあります。本当に大変な病気なので、周りの人は是非、理解するようにしてあげて下さい。
あと、モルモンに限らず、宗教をやっている人でアトピーの患者を抱えている人、無理して集会に行くことはありません。疲れている子供を無理に連れて行くこともしなくて良いんです。仕事には行かないと生活は出来ませんから、仕事は行って、宗教は少しお休みさせてもらうか、ゆっくりやりましょう。長い信仰生活です、疲れたら、休んで良いんですよ、きっと神様もわかってくれるでしょう。