ニューヨークで乞食に間違えられた?

家族でニューヨークに住んでいた時、ダウンタウンのとあるハンバーガー屋さんで、99セントのハンバーガーを買おうと列に並んでいました。小銭がいっぱいあって重かったので、小学生の息子の手に小銭をたくさん握らせて待っていました。
 
 すると、後ろに並んでいたアジア系の女性がいきなり、息子に5ドル紙幣を差し出して、言いました。
 「大変なんでしょう?これ、使ってね。」
私はあわてて、お金は十分あると説明したのですが、彼女は
「苦しいときはお互い様よ」と言って、引きません。5ドル札を息子のもう片方の手に握らせてしまいました。
 Tシャツに半ズボンでリュックをしょった私たちを見て、この女性は私たちを浮浪者だと思ったのでしょう。道で一生懸命拾った小銭でバーガーを買いに来た、貧しい親子だ、と。
 どう考えても、裕福な人には見えなかったけれど、はちきれんばかりの笑顔の彼女に根負けして、私たちは5ドル札を頂いてそれでハンバーガーを買いました。
 「だから、小銭なんか出さないでよ、って言ったでしょ!」
と後で息子にしかられました。この女性に良いことが起こりますように、と祈ってやまない私でした。
 日本では、こんなことしたら、かえって相手に失礼だと思って、声をかけられないんじゃないかな。アメリカ人って、ためらうことなく、人助けをするんだな、とびっくりしました。
 彼女のこと、時々思い出します。どうしてるかな?幸せに暮らしているといいな。