厚労省は、臨床研修を終えた直後に美容医療の病院で働き始める若手医師に歯止めをかけます。


こうした医師が毎年9,000人の医師免許取得者のうち200人規模にのぼると見られます。


一般的に美容医療は、公的保険が適用されない保険外診療が多くなっています。


健康保険法を改正し、保険医療機関の管理者となるためには、一定期間保険診療経験を持つことが加わります。


規制が実現すれば、将来クリニックを開業しても、全額自己負担の保険外診療しか行えなくなります。


厚労省は、キャリアの選択肢を狭めたくない若手医師が保険医療に携わることを期待します。


美容医療に携わる医師は、急増しています。


美容外科が主な勤務先である医師は2022年末に約1,200人と2008年末比で3倍強に増えました。


社会的価値観の変化で、美容医療が身近になり、一部の診療所チェーンが若手医師に高額な報酬を提示していることが大きく、20~30歳代が半数を占めます。


厚労省は、二つの弊害が起きていると考えています。


ひとつが医師の偏在です。


医師は都市部に集中し、特に外科や産婦人科にはなり手が少なく、美容医療人気がこういった傾向に拍車をかけています。


ふたつめは医療事故です。


2023年度、国民生活センターなどに、美容医療でけがを負ったなどの相談が約800件寄せられました。


2018年度から2倍に増えました。


医師の経験が浅く、技術が未熟なことから事故が増えている恐れがあります。


健康被害を受けた患者への治療は保険診療となるため、医療財政全体にかかわる問題でもあります。


美容医療業界では、医師以外による医療行為や勤務していない医師の名前を使う名義借りなどの法令違反が起きています。


思いがけずに意に反して高額の契約を結ばされるといったトラブルも絶えません。


厚労省は、年内をめどにを保険医制度を含めた対策をまとめます。