受験勉強を始めてから、１年ほど経った。
成績は驚くほどに上がった。
一番下だったクラスは、一番上になり、
周りの生徒たちは、日比谷高校、雙葉、東京女学館・・・
有名な新学校の生徒たちに囲まれるようになった。
とにかく、何も決めずに受験勉強を始めた私は、志望校というものがなかった。
そろそろ、全国模試でちゃんと志望校を書く時期になってきていた。
どこの大学を目指す？
何学部を目指す？
東京大学、慶応大学、早稲田大学、明治大学、青山学院大学、中央大学。
知っている大学はいくつもあった。
でもどうやって決める？
商学部って何？経済学部って何？経営学部と何が違うの？
周りに、大学受験をする友達が全くいなかった私には、
何がどう違うのか、全然わからなかった。
塾のチューターにも言われた。
「そろそろ志望校を決めないと。」
志望校・・・
あんなに馬鹿で、塾のチューターにも全く相手にされなかった自分が、
志望校を決める時が来たのか・・・
恥ずかしいけれど、やっぱり一流と呼ばれる大学を志望してみようか・・・
せっかく受験するのだから、誰もが頑張ったと認めてくれるような、誰もが知ってるような
私を馬鹿にしている全ての人を見返せるような
そんな大学に行きたい。
そう思った。
科目が多く、リカバリーが不可能だったので、国立は最初からあきらめていた。
私立のトップ・・・
慶応？早稲田？
慶応は、親が離婚している自分には、合わないのではないかと、なんとなく思った。
慶応に行ったら、お金持ちのいい家の子ばかりがいるのかもしれない。
そうしたら、子供の頃に、
「あの子と仲良くするのはやめなさい、友達は選びなさい。」
そう親に言われたとおりの世界がそこにあるのではないか？
なんとなく、そう思ってしまった。
しかも、自分は、親が離婚している。
慶応大学の生徒に、親が離婚しているこなんているんだろうか？
自分がまったく気にしていないと思っていた、「親の離婚」という事実。
親が離婚してくれていたことは本当に良かったと思っていたけれど、
まさか志望校選びの時にこんなに気になるとは、自分でもびっくりしたのだった。