創世記38:1-30の聖書本文はこちらから
【中心聖句】
「ユダはこれを見定めて言った。『あの女は私よりも正しい。私が彼女にわが子シェラを与えなかったことによるものだ。』それで彼は再び彼女を知ろうとはしなかった。(創38:26)」
【文脈の理解】
ヨセフは兄弟たちの嫉妬によってエジプトの奴隷として売られ、イスラエルの家族が崩壊していた。その中で、ユダはさらにイスラエルの家庭に打撃を与えていた。ユダは契約に無頓着で、兄弟たちから離れてカナン人とともに住み、カナン人の妻をめとった。
ユダは長男エル、次男オナン、三男シェラを生んだ。ユダは家庭を治めず、子どもに主の目に好ましいことを教えていなかった。ユダは長子エルにタマルという妻を迎えた。しかし、エルは主を怒らせていたので、エルは主に殺された。ユダが義弟の務めを果たすためにオナンをタマルに与えたが、オナンは子孫が死んだ兄のものとなることを知っていたので、精液を地に流し、タマルを妊娠させないようにした。このことも主を怒らせたので、主はオナンをも殺した。ユダは子どもたちが主を怒らせているとは気づかず、タマルと結婚すると夫は死んでしまうと迷信的に思った。それで、三男のシェラが成人するまでは父の家にやもめとしてとどまるようにタマルに言い、シェラをタマルに与えないようにした。ヤコブはヨセフの死を悲しみ悼んだが、ユダは子どもの死に対する感情は描かれておらず、対比的にユダの冷徹さや薄情さを伺うことができる。
かなり日が経って、ユダの妻が死んだ後(ユダが兄弟たちとエジプトのヨセフのもとに行く直前頃と考えられる)、ユダはアドラム人の友人とともに羊の毛を刈るためにティムナに上った。ユダが来ると聞きつけたタマルは、やもめの服を脱ぎ、遊女の格好をしてユダに近づいた。ユダは印形とひもをしるしとして遊女に与え、彼女と寝た。約三ヶ月後にタマルが売春で妊娠したことを聞きつけ、ユダはタマルを殺そうとした。しかし、タマルがユダの印形とひもを持っていたために、ユダは「私よりもタマルは正しい」と言った。
ユダはタマルにいつまで経ってもシェラを与えなかった。しかし、タマルはユダの家系に対して忠実であり、子孫を残そうとした。ヨセフはポティファルの妻の誘惑にのらなかったが、ユダは遊女と寝た。このナラティブの中で、ユダはあらゆる人物と対比して霊的な鈍感さ、不敬虔さ、冷徹さが描かれている。
ユダは父イスラエルをヨセフが死んだと騙したが、嫁タマルに遊女のふりをして騙され子どもを与えることになった。このことを通して、ユダは人格的な変革が起こっていき、後に兄弟を導くリーダーとなっていく。それは、タマルから生まれるユダの子どもがヤコブとエサウと同じ経緯をたどることによって、暗示されている。エサウはエドム(赤)と呼ばれ、長子の権利を赤い食物によって売った。ヤコブはエサウのかかとをつかんで生まれ、兄を騙し、押しのけ契約を受け継いだ。タマルの子どもは双子であった。長男ゼラフは先に手を出し、赤い糸を結び付けられた。しかし、弟ペレツが割り込んで先に胎から出て来た。
【著者の意図】
ユダは霊的に鈍感で、不敬虔で、冷徹な者であった。イスラエルの第一世代も神に反逆し、不平不満を言い続けた。しかし、主はイスラエルを荒野で整え、忠実なものへと変え、約束の地に入れようとしてくださっている。
【現代の私たちへのメッセージ】
主はユダを王として選んでいたが、ユダは不忠実な者であった。しかし、タマルのユダの家系への忠実さによって、ユダの家が滅びる危機を免れ、ユダの人格的な変革を与えた。このユダとタマルの系図がキリストに至る系図となった。
遊女のふりをしたタマルによってユダにペレツが与えられたように、売春婦ラハブによってボアズが生まれた。姦淫の民モアブ人ルツによってボアズにオベデが生まれた。ダビデとウリヤの妻との間にダビデの子ソロモンは生まれた。イエス・キリストはダビデの子としてヨセフと世間からは姦淫の女と思われていたマリヤとの間から生まれた。キリストは十字架につき、イスラエル民族だけではなく、信じるすべての民族を新しい神の民とし、神の国に導く。それは、汚れているはずの異邦人、それも忌み嫌われる姦淫の女さえキリストの系図の中に入れられ、アブラハムの子孫によって、すべての国民が救いの祝福に与るためであった。
私たちはユダのように不敬虔で、兄弟を愛さない者かもしれない。しかし、主は人生のあらゆる出来事を通して、御霊によって、神の国に入るにふさわしい、神の似姿に私たちを造りかえてくださる。