都会では信じられないかも知れないが

春の田舎にはそこらじゅうに…

食材が転がっているのだ。

いや『生えている』と言った方がいいな(笑)

或る春の日曜日。

タラの芽を見つけたから狩りに行こうと

父親に誘われて僕らは春の田舎の狩場に

繰り出したのだった。


まずはタラの芽。

高枝切り鋏を使って採取させて頂く。

身長が縮んで来ている父は高い場所にある

ものが苦手になって来ているので…

高所の獲物は私の出番である。


次はワラビ。

一昔前は父親が


『息子であっても採取場所は秘密』


と言って教えてくれなかった狩場(笑)

田舎の民は各々、人に言えない秘密の狩場を

持っているものである…(笑)


原っぱでひととおり採取したら我が家の

持ち山に潜る。

頭が出る前の柔らかい筍は、随分とイノシシ

先輩が食べていらっしゃったが、ここまで

出て来た筍は我々に分がある。


丁寧に筍の発掘調査を行う。

この調査で根の位置や、筍の生えて

いる向きを確認する。

根の位置と生えている向きで鍬を撃ち込む

方向を決めるのだ。

鍬の撃ち込み方はもちろんだが、根っこから

綺麗に上げようとするならばこの発掘調査

が極めて重要なのだ。


今年の1本目。

謂わゆる初モノ。

本体を傷つけるコトもなく、根から綺麗に

上がった。

初モノとしては会心の一本。


タラの芽を筆頭に、ワラビ、椎茸、筍と

小一時間で夕食一食分の食材が揃った。


家に戻り、採取してきた獲物達の下処理を

始める。

筍は皮を剥いて下茹で。

採れたてなので糠や研ぎ汁などは不要。

唐辛子のみ投入し下茹でする。

ワラビは重曹を入れ茹でてアク抜きする。


その日の夕食。


筍は炊き込みご飯に。

具材は筍のみ。

味付けもシンプルに出汁とお酒と塩のみ。

裏庭に生えてる山椒の葉をあしらって完成。


春の山菜、天麩羅祭りな夕食。

裏の菜園で採れたブロッコリーも揚げてみた。

今日の天麩羅メンバーは…


筍、椎茸、タラの芽、ワラビ、ブロッコリー


そして…

なんと夕食にかかった費用。


ほぼほぼ0円!

…調味料代とかがあるからね(笑)


春の田舎は、お財布と胃袋に優しい。

私はこんな田舎暮らしを密かに愉しんでいます。