先月の日経ビジネスに、宇宙飛行士の若田光一さんのインタビューが載っていました。

いろんな訓練があったが、なかでも集団で話し合って対策を立て、サバイバルする訓練が面白かったという話がありました。

リーダーを日替わりで務めるのですが、リーダーと部下両方を務めることで、自分の適性や特徴、直すべき点も非常によくわかったと。

話を聞きすぎても決められないし、聞かなくて情報収集が不十分でもよくない。当たり前なんだけど、閉鎖空間での小グループだと、能力がより明確になるのかもしれません。
援軍の期待できない宇宙空間なんかだと、専門分野ではリーダーとして指揮し、専門外ではいい歯車として従い、各自が自分を役割に適応させるしかないわけです。まさにその柔軟な適応力が宇宙飛行士に必須能力だ、ということのようです。

ところで能力試験、と言えば受験。花粉で目が痒くなりだすと、受験シーズンだなあ、と懐かしくなります。

試験内容が役に立つか、といえばほとんど立ちませんでしたが、制限時間内に課題をクリアするゲームと思うと、あれもいい訓練かなと思います。ま、終わったから言えるんだけど。

僕らの世代は第二次ベビーブームとかで、競争率は史上最高で、狭き門を通った合格者は余計に賛美されていました。親世代も一次ブームだから、そういう価値観で育てられたんですね。

最近、二つの話を耳にしました。一つは、激戦区を勝ち抜いたはずのベビーブーマーから、他の世代のような傑出した人材がいないということ。もう一つは、10年前の同年代と較べて、年収が200万少ない「貧乏籤世代」であること。

・・ええとこ無しやん。

期待に応えて激戦に身を投じたら、そんなだから画一的でつまらない「世代」なんだよ、とひとくくりで言うなんて、あんまりですぜ。

先日、北村一輝主演のドラマを見てたら、学生運動を懐かしがる登場人物が出てきて、「あーまだこういう人が実在するのかもなー、と違和感を覚えました。

学生運動で、納税せぬまま大人に好き放題言っていた世代は、エライのかい?従順世代はダメですか?ただ彼らももはや還暦前後で、今は各業界のトップにいます。世代論でいうなら、貧乏籤=景気低迷を作った世代はまさしく彼らなのではないかしらん。

十羽ヒトカラゲの世代論が起こるのは、まさに自身の世代を誇る「全共闘世代」が元凶じゃないかと、貧乏籤世代の一人としては、思うわけです。

従順で受験戦争やってても、嫌な奴になるかといったら、そりゃ別ですよ。体育会系にも陰湿な奴はいるし、文化系にも骨っぽい奴はいる。

今の中高生だって、礼儀や男女関係で色々いわれてるけど、テレビで騒ぐほどは昔と変わらないんじゃあないかな。
通勤してると、優しい子も結構いますからね。
閉幕したバンクーバー五輪で、事後談をみていると「こんな厳しい世界でやってる人がいるんだ」と、自分の甘さを痛感しました。

例えば、長島・加藤選手がメダルをとったスケート500m。

優勝は伏兵モ・テボンでしたが、もともとこの種目は、第三の男及川祐選手を含め八人が横一線だとは聞いていました。

今回銅メダルだった加藤選手は天才肌で、ポカも多いとみられてたのですが、タイムをみるとそれがトンでもない誤解だと知れます。

確か最終コーナーで足が滑ってロスしたのだと思いますが、それでも二本走った合計が二位と0.03秒差。ミスと呼ぶのか、それを・・
モ・テボン選手は二本とも34秒9台にまとめた唯一の選手で、その精密さ、精神力は称賛に値します。
戦前に期待してた及川選手も、13位といっても二本の合計でメダルに0秒4差。

もっともトリノ五輪でも岡崎選手が二本合計が0秒03差の4位、皆川選手も0秒03差の4位だったから、珍しくはないんでしょうが・・

結果しか残らない過酷さで、単なるギャラリーがコメントできる余地ないですね。
皆川選手、今回は残念だったけど、それだけリスクを負わなきゃ勝てないということですよね。
(アルペンて陸上でいったらボルトの100mみたいなもんだから、世界トップクラス、てだけでスーパースターですよ)

4年も待ったんだし、攻めていくのは怖いと思うんですよね。でも攻めた人だけが勝つ。そこを、思い切れるかどうか。

自分はつくづく気楽に暮らしてるな~、と厳粛になります。
噂には聞いていた「虐殺器官」、ついに文庫がでた。

まだ読み始めたばかりだけど、僻地に潜伏するターゲットを極秘に暗殺しに行く主人公、ってまんまコンラッドの「闇の奥」、というよりコッポラの黙示録じゃないか。でもより現代的で読みやすい。

それより驚いたのが、伊藤計画、という作者が34にして既に亡くなっていることなのです。
長編は三作、活動は僅か4年。魂と引き換えに遺した作品、しかも感傷にながれないハードボイルドな作風とくれば、もう読むしかない。

主人公が日記を付けていたりして、モノローグで話が進行するSFには名作が多いですね。黙示録もそうだし、エイリアンや、そういえばアバターも
。(アバターは本当にエイリアンに似ている)

ところで、ジェリコという海外ドラマ。
人気にかかわらずシーズン1で打ちきりになったんですが、何故だー

経済不況でドラマ制作者が大量リストラされ、人気にもかかわらず、作り手がなくなったそうなんです。

地震とともに山の向こうで突然キノコ雲が上がり、その後ライフラインが途絶する。戦争か事故か?田舎町ジェリコには何の情報も来ず、電力も食料も乏しいなか住民たちは何とか打開策を探すが、町の外はさらに予想を越える過酷な状況だった・・

主に活躍するのは、市長の息子グリーン兄弟だけど、脇を固める1人1人のキャラがたっていて、わかりやすい悪役は少ない。特に、素性のわからない男ホーキンスがいいんですよ。

二時間映画では、わかりやすい善悪二項対立でもかまわないけど、長尺の連ドラは込み入ってる方がいいですね。悪人がふと見せる弱さや仁義、善人からこぼれるズルさ。

どちらにも自分を投影できるから、燃えます。