Q 個人資産はどのように運用されていますか?
A 財産の大部分は、広い意味でグループに投資しています。残りは、長年の取引関係がある大手銀行の投資専門家のアドバイスに従っています。残りの資産の一部は彼らに任せ、一部は自分で直接運用しています。相場に惑わされず、評価の高い20社に絞って投資するのが私の流儀です。それ以上になると目が行き届きませんからね。自分が熟知している企業分野や、有望なビジネス分野、株式市場での評価が実態を下回っていると思われる企業に投資します。相場とは主観的な数値であり、その企業自体の価値だけでなく、買付価格や市場の需要によって左右されます。その結果、ある企業の株式市場での評価と、実際の価値との間に大きな落差が生じることもしばしばです。株を買う前に、株式市場での「主観的な」評価が「実際の」評価よりも低い企業を見つけることです。その落差が大きいほど、勝ちも大きくなります。
金融経済誌のトップも務める立場上、私がこんなことを言うべきではないのかもしれませんが、アナリストや銀行家の短期予測はしばしば不正確で信用できません。
株式市場での投資で成功するためには、長期的なビジョンを持ち、業種ではなく会社に興味を持つことが必要です。そして経営が信頼でき、相場が手頃だと思われる企業に投資することです。それから2、3年は株式相場を気にしないことですね。さもないとかっかすることになりますよ。投資直後に企業の相場が上がることはめったにありませんからね。あなたの選択が正しければ、景気の変動がどうであれ長い目で見れば利益を得ることができます。株式市場の動向がおもわしくないときでも、伸びる会社は伸びますからね。これが最良の投資法だと思います。反対に、あなたが投資顧問業者のやり方を真似て、9月にダノン街の株を買い、ll月にこれを売ってネスレ働の株を買ったりしたら、結局は利益を上げるどころかプローカーを儲けさせるだけだと思いますよ。