仕事場へ向かう電車の中でのこと。
そこそこ電車が混んできた頃、
私が座っている横の通路に、
男子高校生とおぼしき三人組が。
こちらは座っているので、顔はよく見えません。
しばらくすると、男の子たちが、何やら女子の名前を順番に言い始めました。
「○○ノって発音しにくい」
「○○なら言いやすいのに」
「△△も言いにくね?」
女の子の下の名前を順に挙げてます。
最近の子の名前は本当にキラキラネーム!
と、感動していると、さらに別の子の名前が。
「あ、そう言えば、□□もいた」
「うんうん、おまえ、どうなの?」
と、突然、一番前にいた、背の高い男の子に対する質問に。
え? どうなのって、何?
思わず耳が。
すると、二人の男の子が
「おまえ、いい加減決めろ」
「そーだよ、一人にさあ」
と次々に。
おおお!
先頭の男の子はもしや
モテモテ⁉️
顔を見たいけど、ここで私が顔を上げるわけにはいきません。
ぜひ、話の続きを聞きたいので、無関心なフリを続けます。
モテモテらしき男の子、
「え? 彼女ってこと?」
と、やや当惑気味です。
そうだよね!
そーだよねー‼️
もう、ワクワクが止まりません。
素敵。
青春だわっ!
モテるのね?
君はモテるのね⁉️(心の叫び)
二人組の追及は続きます。
「だれが好き?」
「好きな子いる?」
先頭の少年、やや間を置いて、
「うん」
と小声で答えます。
二人組は「誰?」「○○? △△?」と
盛り上がります。
すると、先頭のモテモテ少年、
「●●さん」
と、
名字に、しかも「さん」付け。
さっきまで、女の子の下の名前を呼び捨てで口にしていた子と同一人物とはとても思えません。
半ば冷やかし気味だった二人組の空気も変わります。
「え? ●●さん?」
「え? あの●●さん?」
「ほんとに好きだったんだ・・・」
と、なぜかやや反省モードに。
そして三人は無言に。
・・・
一体、モテモテ少年と●●さんの間に、
何があったのでしょうか。
謎です。
次の駅で二人組が降りて行き、先頭の少年だけが残っていたので、さりげなく(のつもりで)顔を見てみることに。
横顔でしたが、聡明そうな、涼しげな目をした男の子でした。
話を聞いてしまったこともありますが、
相手の子の名字を口にするときの、
ためらうような嬉しげな声の調子が思い出されて
ああ、恋をしているんだな
と、横顔を見ながら思ってしまいました。
美しい季節ですね。