色々水質については本やネットで語られているので
敢えて取り上げることもないかとないかと思ったのですが,
敢えて取り上げましたのは,
なかなか難しいので感覚では分かっていても頭では・・・
という方もいらっしゃると思うからです.
僕が説明したところで結局難しいかもしれませんが・・・
ホントに目に見えない世界で様々な現象が起き,
一見綺麗に見える水には数え切れないほどの
微生物(バクテリア=細菌など)がいます.
魚や水草だけを飼育していると思っている方は
ちょっと考え直した方がいいです.
そんな世界をちょっと覗いてみたくないですか?
僕なりに少し分かり易く解説してみますので
お時間のある方はお付き合いくださいね!
まず,水槽の中で起きていること.
魚の体からウロコなどが剥がれます.
さらにエサを与えると食べ残しが生じます.
↓
これらはタンパク質でありN(窒素分)を含みます.
↓
さあ,ここで微生物が活躍します.
微生物がタンパク質を分解すると
アンモニア(NH4+)が発生します.
さらに魚の排泄物にもアンモニアが含まれています.
↓
このアンモニアは魚の鰓を通り抜けて濃度が高くなると
アンモニア中毒を起こして最悪☆になります.
☆ポイント☆
ここで小さな狭い水槽で飼育していると
すぐにアンモニア濃度があがります.
(自然の川ではそんなの微々たる量ですが,狭い水槽では・・・)
また魚の数が多いとアンモニアの量が増えますね.
さらにエサをやりすぎるとアンモニアの量も増えます.
ですから水槽の大きさに合わせた飼育数,
水槽の大きさに合わせてエサの量を調整しなければいけません.
さもないとアンモニアがいっぱいの水槽になりますよ!
らんちゅうの世界でも「エサは魚にやるのではなく池にやれ」
という苦言があるようです.
さてアンモニアは増え続けるのでしょうか?
ここで初めてろ過の出番となります.
ろ過には「物理ろ過」と「生物ろ過」があります.
一般に「物理ろ過」と呼ばれるものは
ウールで大きなゴミを濾しとり,
活性炭などで有害な物質を吸着させます.
活性炭ではアンモニアを吸着しないという意見もありますが,
吸着される形である程度は吸着されると思います.
(↑これはちょっと難しいので今回はこの説明は省略です~)
しかしながら活性炭の寿命は短いので頼りすぎるとよくないと思います.
また活性炭が吸着したものを放出するという見解もありますが,
あまり気にしなくて良いと思います.
ですので水槽の立ち上げ初期には活性炭はオススメです.
値段の高い活性炭はそれなりに性能も良いです.
オススメは「キョーリンのカーボンパック」です.
もちろん,換水のいよって水槽内のアンモニアを減らすのは
もっとも効果が高いので換水も忘れずに~
そうこうするうちにアンモニアを分解する微生物が現れます.
ここから「生物ろ過」が重要になってくるんですね!
生物ろ過とはバクテリアなどの微生物を利用して
有害物質を減らすことです.
生物ろ過をするためには少しでも多くの微生物を
棲まわせる必要があります.
この住処となるのが底砂であったり濾過槽の中のスポンジであったり,
濾過材と呼ばれるセラミックやガラス材質のものです.
これらは表面に部屋がたくさんあるので住処が多く,
とくに多孔質濾材と呼ばれます.
↑洗車スポンジはよく使われる安価で効果の高い濾材です♪
それでアンモニアを分解するのが
「硝化細菌=亜硝酸菌」と呼ばれるものです.
アンモニアを毒性の低い亜硝酸塩にしてくれます.
NH4+→NO2 -
亜硝酸菌はどこにいるの?
この亜硝酸菌は空気中にいて自然に発生します.
エアレーションなどで積極的に水中に取り込めます.
ただし,発生するのが遅いか早いかが重要ですね!
新しい水槽の場合,亜硝酸菌が増殖するのに
20日くらいかかるとも言われています.
この亜硝酸菌は酸素をたくさん必要としますから
濾過槽に直接空気を送り込んでやるか
水槽内にエアレーションを十分に施してやります.
亜硝酸塩が殖えてくると水はやや酸性に傾きます.
また亜硝酸塩もまだ毒性があります.
そこで換水をして亜硝酸塩を減らすわけですが,
ここでは底砂の掃除や濾過槽の掃除は控えます.
せっかく繁殖した亜硝酸菌を減らしてしまいます.
そして最後に現れるのが「硝酸菌」です.
いよいよ亜硝酸塩を硝酸塩にしてくれます.
NO2 - →NO3-
これで毒性はかなり低くなりました.
この硝酸塩も水を酸性に傾けます.
よって換水をしないと酸性になりすぎて
☆になることもあります.
しかしながら,水草に吸収されやすいので
水草が多いと換水のサイクルが長くなります.
硝酸菌も亜硝酸菌同様,
多くの酸素を必要としますから,
積極的に酸素を送り込んだ方が早く増殖します.
今までの分解する微生物の中で最も増殖が遅く,
新規立ち上げの場合,十分活躍するのに
1ヶ月以上かかるでしょう.
硝酸菌も自然に発生します.
ここで一連の分解が終了となります.
アンモニア→亜硝酸→硝酸
これで一般に言われている通りとなりました.
これでバランスがとれているのに
魚を急激に増やしたりエサを急に多くすると
一連の分解のバランスが崩れ,
アンモニアや亜硝酸が増大する結果とな
魚を☆にしてしまう原因になりますね.
(菌が分解するよりも多くのアンモニアや
亜硝酸があるということです)
重要なことは立ち上げに時間がかかるということです.
パイロットフィッシュをなぜ使うか?
アンモニアの発生源をまず入れることから始まるからですね!
ここで丈夫な種類を入れておけば多少水質が悪くても
☆になりにくいということです.
また広い水槽で少ない数の魚を飼い,
バクテリアの住処を提供し,水草をたくさん植えろというのが
何故なのかも分かったと思います.
また早く立ち上げるためにそれら一連の菌を
既に立ち上がっている水槽からもってくることも可能です.
濾材の一部,水の一部,底砂の一部など・・・
さて,では実際のろ過装置はどうでしょうか?
各社様々なタイプが出ていますが・・・
亜硝酸菌や硝酸菌などの酸素を多く利用できる微生物が
殖えやすいので立ち上がりは最も早い方に入るでしょう.
ただし,住処がすくないので生物ろ過能力が低めです.
しかし,多孔質系濾材を多く入れたり多少の工夫で
ろ過能力がUPします.
45~60cm以上の水槽でメインとして活躍してくれます.
ニッソー,GEX,KOTOBUKIなどどこでも大きな差はありませんね.
こちらは外部ろ過で密閉式ですので
上部とは大きく異なります.
CO2が出て行きにくいので水草水槽でとくに使用されます.
ただし,酸素との接触がないため,
酸素を多く消費する微生物は
繁殖しにくい環境となります.
水槽内の酸素供給を多くしてやると
立ち上がりが早くなります.
多孔質濾材等をたくさん入れることが出来ますので
微生物の住処が多く確保できます.
ろ過能力がやや弱いと言われますが,
適合水槽より少し大きい
サイズを用いればいいと思います.
エーハイムはさすがです.
近年,小型水槽がブームとなり外掛けフィルターが
多く使われるようになりました.
以前よりもかなり使い勝手がよくなっています.
うちでも40cm以下の水槽ではメインとして使用します.
酸素と多く触れるため立ち上がりは早く,
直接ろ過層に酸素を供給できるものもあります.
標準のままでは生物ろ過が働きにくいです.
濾過槽いっぱいにスポンジ濾材などを
詰め込む必要ありです.
そうすると流れが悪くなり
オーバーフローしやすいのですが,
各社のものを試した結果,
GEXのは最もオーバーフローし難く,
濾過槽も大きいのでスポンジがたっぷり入ります.
オススメはGEX簡単ラクラクeフィルターです.
外掛けフィルターは水流が問題でしたが,
テトラやGEXは水流を弱める工夫したものに
切り替えてきています.
こちらも有名なフィルターで価格も安いです.
この上に粗めの砂やセラミックサンドなどを敷いて
底面全てを濾過槽とします.
よって生物ろ過が中心で能力も高めと言われます.
エアーリフト式ですので強力なエアーポンプが必要です.
また,ポンプが付いているものや
上部や外掛けフィルターに連結して
使用できるものもあります.
ビーシュリンプの水槽では
かなりの効果を上げているようです.
ショップなどでもメインで使っているところも多いです.
しかし,大型魚などの水を汚す種類や
コリドラスやプレコのような
底棲魚には不向きとも言えます.
ゴミが底にどんどん溜まっていくため
定期的に掃除をしなければ
病気になりやすくなったり,
病気が蔓延する可能性が高くなります.
また,水草をたくさん植える場合にも
掃除が出来ないので不向きです.
使い方によっては効果の高いろ過方法ではありますので
自分の飼育スタイルを考慮して検討する必要があります.
こちらは小型水槽ではメインとして使えます.
テトラのスポンジフィルターがオススメです.
というかテトラ以外は考えられません.
ダブルで使うと効果が高く,ディスカス水槽でも
昔から使用されてきました.
エアーリフト式ですので適切なエアーポンプが必要です.
スポンジのみですので生物ろ過がメインとなります.
ろ過を上手く働かせるにはスポンジの管理が重要です.
*その他フィルター*
こちらも定番のエアーリフト式です.
意外とろ過能力が高いのですが,
水槽内では結構邪魔になるのと景観もよくありません.
しかし,ポリプ水槽のサブフィルターや
金魚水槽で活躍してくれるでしょう.
こういったフィッシュレットは糞の多いプレコ水槽で
糞を効率よく回収してくれると評判があります.
その他,各社多種多様なフィルターが出ていますので
最も自分の水槽にあったフィルターはどれか模索するのも
また楽しいのではないでしょうか.
今回のまとめです.
とにかく水質を維持するコツは水槽内のバランスを
いかにうまく保つかということです.
慣れてくると感覚で分かってくると思いますが・・・
壱、水槽はできるだけ広く,大きく,魚は少なく.
弐、餌は決まった量を決まった回数,決まった時間に.
参、水質に異常を感じたらまず換水.
四、魚と水草だけを飼育していると思うな,
微生物も飼っていると思え!
以上のことを念頭においていれば
安定した水質が得られるでしょう.
さて,パート1はこれにて終了です.
パート2は今回省略した硝酸塩についてと
換水についてをテーマにした記事になると思います.
それでは,また来週!?