突然の出来事に、勇示は開いた口がふさがらない。
なにがどうなっているのかサッパリな勇示は混乱の中、無理やり声を発する。
「えーっと、どちら様ですか?」
勇示は引きつった顔のまま恐る恐る尋ねてみる。
「・・・・・・」
少女は無言のまま、真っ直ぐな瞳で勇示を見つめている。相変わらず少女はダンボールの中に足を突っ込んでいる。
「あのー。聞こえていますでしょうか?」
勇示は再びぎこちなく尋ねる。
「・・・・・・」
少女は無言のままだ。しかし、勇示の問いかけに応じるように少女の瞳にはうっすらと涙が浮かんだ。
少女はそんな涙を隠すように顔を下へ向ける。
勇示はそんな少女を見るなり
「えっと・・・、もしかして俺は何か気の障ることでも言いましたでしょうか?」
勇示の顔は引きつったまま+申し訳なさそうな顔だ。
「・・じ・・・の・・・カ」
少女は下を向きながら、ボソリと呟いた。余りにも小さな声のため、上手くは聞き取れない。
「いま、何とおっしゃいましたか?」
勇示はたどたどしく尋ねる。
すると少女は下を向いていた顔を上にあげ、潤んだ瞳を勇示の目と合わせるなり、今度はちゃんと聞こえるような声で
「ゆーじのバカ・・・」と言った。
バカと言うのが慣れていないせいか、どこか恥ずかしそうな感じで、発した言葉の語尾に行くにしたがって声がだんだん小さくなっていく。
・・・・・・・・・
勇示の頭の中は現状況を整理する事でいっぱいだ。そんな中、『初対面の人と仲良くなるためには』と言う本があるとすれば、その本には「初対面の人への挨拶は相手を見ながら罵倒しよう!」と言うアドバイスは絶対に載ってはいないはずであろう言葉を浴びせられた勇示は、聞き間違いかと思い、再び少女に尋ねてみる。
「もしかして俺は今、バカと言わたのですか?」
少女はコクリと頷く。
「ナンデ、バカなの?」勇示は何故かカタコトに言葉を発する。未だに頭の中では状況整理中のようだ。
「ずっと無視してた。」少女は小さな声で即答した。
勇示の頭の中は、
(なんで俺の名前知ってるんだ?一体、目の前の少女は誰なんだ?なんでダンボールに足を突っ込んでいる?なんで俺の部屋はきれいなんだ?そもそも、いつの間に俺の後ろにいた?)
などのように、疑問文でいっぱいだ。そしてその疑問のどれから尋ねればいいのかも整理が付かない。
勇示がどれから尋ねるか考えている少しの沈黙の後、勇示が少女に尋ねることを決め、口を開けたそのとき・・・
♪チャチャチャ♪ラララ~♪チャララ~♪
不意に勇示の携帯が鳴り出す。
勇示は気まずそうに少女を見る。
「でてもいいよ。」少女は優しく言う。
勇示は自分の左にある腰の高さ程のタンスの上に置いてある携帯を取ると、少女を見ながら携帯にでる。
声は一方的に聞こえてきた
『もしもし~ゆうちゃ~ん♪ダンボールの中身は見た~?♪母さん腕によりをかけて作ったんだよ~♪』
電話の相手は静香だった。聴きなれた声を聞いて少し落ち着く勇示。
「うん。ありがとう。」勇示は贈り物+この状況で電話を掛けて来てくれた母に感謝する。
『ね~ね~どれがおいしそうだった~?♪』
静香は電話越しでも分かるワクワクした様子で勇示に尋ねる。
「えーっと・・・」
勇示は贈り物(ダンボール)の中身を知らない。なぜならば、ダンボールの中身にはゴミしか入っておらず、その中に本当は静香の手作り料理が入っていたことも知らなかった。
しかし、正直にダンボールの中には何も無かったと言うと、電話越しからでも分かる静香のワクワク度を察するに、とてつもなく悪い気がする。
勇示は少女の足が突っ込んであるダンボールを見ながら、実家にいた時に食べていた静香の得意料理を考え、何が入っていたのかを考える。
「めかぶ汁かな?」勇示は自信なさ気に言う。
『・・・・・・・・・・・』
電話越からは何も反応がない。
(ヤベーどうしよう!母さん黙っちゃいましたよ。めかぶ汁じゃなかったの?てか、汁物を送ってくる訳ないよね?俺のバカーーーー!!!!)
勇示は心の中で叫びながら困った表情で再びダンボールを見ながら考え直す。
相変わらず少女の足はダンボールの中・・・・・のはずだった?
勇示はダンボールをずっと見ていた。静香の電話が掛かってきたときは少女の足はダンボールの中にあったはずだ。そこから移動するのであれば、足を一度ダンボールの中から出さなければならないはずだ。
しかし、少女はダンボールの横で床に正座しながら、どこから取り出したのか左手に筆のような物を持ち、右手に俳句を詠むときの短冊(たんざく)のような紙を構えて、何かを書いている。その様はまるで今にでも「ここで一句」と言わんばかりの俳人のようだ。
勇示は少女の足がダンボールから出る所を一度も見ていない・・・。
しかし少女はいつの間にかダンボールの横にいる。
勇示が頭の中で静香の得意料理を考えながら俳人のような少女を見ていると、一句でもできたのか、少女はスーっと滑らかに立ち上がった。
「!!!!!!!!!!!!」
勇示は片手に携帯電話を持ち、少女の足元を見るなり、あまりの驚きからその場で固まってしまった。携帯を持っている方の勇示の手が震える。
少女には足がなかった・・・・・・・。
スカートの様な白装束から覗かせる膝から下が、下に行くに従って徐々に消えており、普通の人間であれば足であろう部分が足首から下が全く見えないのである。
『ゆうちゃ~ん♪どうしたの~♪』
電話越しから、静香ののんびりとした声が聞こえてくる。
勇示が唖然として少女を見ていると、少女はまるで床から浮いている感じで、氷を滑るように勇示に近づいて来ると、勇
示に向けて右手を出した。その手には少女が先程何か書いたであろう短冊が握られていた。
「これを読めって事なのか?」勇示は電話越しの静香に聞こえないように電話の話す所を指で押さえながら、少女に恐る恐る尋ねる。
少女はコクリと頷く。
勇示は少女から短冊を受け取ると、そこに書いてある文字を黙読する。
【すっぱいピンク、あまじょっぱいオレンジ、ぐるぐるミドリ、もちもちちゃいろ、ふさふさブラック】
と、可愛らしい字で書いてある。
(どこの5レンジャー?しかも弱そう・・・)と勇示は心の中で思う。
しかし、勇示はすぐに電話の向こうの静香に
「イカの寿司が美味しそうだね。あれ、婆ちゃんが作ってたやつだよね?母さんも作れたんだ。」
と言った。
『それに目を付けるとは~♪うれしいな~♪挑戦してみたんだ~♪』
静香はとても嬉しそうだ。
『それじゃ~♪食べたら感想きかせてね♪』
そう言うと静香は一方的に電話を切ってしまった。
勇示は何とか答えられてホットした。そして少女を見るなり
「助かったよありがとう」と言った。
少女は笑顔でコクリと頷いた。
そう。。。。少女が勇示に渡したものは静香の送ってくれた手作り料理の内容だったのだ。
勇示の推理だと、
酸っぱいピンク→イカの胴体にシソの葉と人参を入れ、酢につけたピンクのイカ
あまじょっぱいオレンジ→バターと鮭とキャベツをいっしょに炒めたシャケのちゃんちゃ焼き
ぐるぐるミドリ→ロールキャベツかハモの昆布巻き
もちもちちゃいろ→炊き込み御飯
ふさふさブラック→おやじの願望
我ながら素晴らしい推理だと頭の中で思う勇示だった・・・。
なにがどうなっているのかサッパリな勇示は混乱の中、無理やり声を発する。
「えーっと、どちら様ですか?」
勇示は引きつった顔のまま恐る恐る尋ねてみる。
「・・・・・・」
少女は無言のまま、真っ直ぐな瞳で勇示を見つめている。相変わらず少女はダンボールの中に足を突っ込んでいる。
「あのー。聞こえていますでしょうか?」
勇示は再びぎこちなく尋ねる。
「・・・・・・」
少女は無言のままだ。しかし、勇示の問いかけに応じるように少女の瞳にはうっすらと涙が浮かんだ。
少女はそんな涙を隠すように顔を下へ向ける。
勇示はそんな少女を見るなり
「えっと・・・、もしかして俺は何か気の障ることでも言いましたでしょうか?」
勇示の顔は引きつったまま+申し訳なさそうな顔だ。
「・・じ・・・の・・・カ」
少女は下を向きながら、ボソリと呟いた。余りにも小さな声のため、上手くは聞き取れない。
「いま、何とおっしゃいましたか?」
勇示はたどたどしく尋ねる。
すると少女は下を向いていた顔を上にあげ、潤んだ瞳を勇示の目と合わせるなり、今度はちゃんと聞こえるような声で
「ゆーじのバカ・・・」と言った。
バカと言うのが慣れていないせいか、どこか恥ずかしそうな感じで、発した言葉の語尾に行くにしたがって声がだんだん小さくなっていく。
・・・・・・・・・
勇示の頭の中は現状況を整理する事でいっぱいだ。そんな中、『初対面の人と仲良くなるためには』と言う本があるとすれば、その本には「初対面の人への挨拶は相手を見ながら罵倒しよう!」と言うアドバイスは絶対に載ってはいないはずであろう言葉を浴びせられた勇示は、聞き間違いかと思い、再び少女に尋ねてみる。
「もしかして俺は今、バカと言わたのですか?」
少女はコクリと頷く。
「ナンデ、バカなの?」勇示は何故かカタコトに言葉を発する。未だに頭の中では状況整理中のようだ。
「ずっと無視してた。」少女は小さな声で即答した。
勇示の頭の中は、
(なんで俺の名前知ってるんだ?一体、目の前の少女は誰なんだ?なんでダンボールに足を突っ込んでいる?なんで俺の部屋はきれいなんだ?そもそも、いつの間に俺の後ろにいた?)
などのように、疑問文でいっぱいだ。そしてその疑問のどれから尋ねればいいのかも整理が付かない。
勇示がどれから尋ねるか考えている少しの沈黙の後、勇示が少女に尋ねることを決め、口を開けたそのとき・・・
♪チャチャチャ♪ラララ~♪チャララ~♪
不意に勇示の携帯が鳴り出す。
勇示は気まずそうに少女を見る。
「でてもいいよ。」少女は優しく言う。
勇示は自分の左にある腰の高さ程のタンスの上に置いてある携帯を取ると、少女を見ながら携帯にでる。
声は一方的に聞こえてきた
『もしもし~ゆうちゃ~ん♪ダンボールの中身は見た~?♪母さん腕によりをかけて作ったんだよ~♪』
電話の相手は静香だった。聴きなれた声を聞いて少し落ち着く勇示。
「うん。ありがとう。」勇示は贈り物+この状況で電話を掛けて来てくれた母に感謝する。
『ね~ね~どれがおいしそうだった~?♪』
静香は電話越しでも分かるワクワクした様子で勇示に尋ねる。
「えーっと・・・」
勇示は贈り物(ダンボール)の中身を知らない。なぜならば、ダンボールの中身にはゴミしか入っておらず、その中に本当は静香の手作り料理が入っていたことも知らなかった。
しかし、正直にダンボールの中には何も無かったと言うと、電話越しからでも分かる静香のワクワク度を察するに、とてつもなく悪い気がする。
勇示は少女の足が突っ込んであるダンボールを見ながら、実家にいた時に食べていた静香の得意料理を考え、何が入っていたのかを考える。
「めかぶ汁かな?」勇示は自信なさ気に言う。
『・・・・・・・・・・・』
電話越からは何も反応がない。
(ヤベーどうしよう!母さん黙っちゃいましたよ。めかぶ汁じゃなかったの?てか、汁物を送ってくる訳ないよね?俺のバカーーーー!!!!)
勇示は心の中で叫びながら困った表情で再びダンボールを見ながら考え直す。
相変わらず少女の足はダンボールの中・・・・・のはずだった?
勇示はダンボールをずっと見ていた。静香の電話が掛かってきたときは少女の足はダンボールの中にあったはずだ。そこから移動するのであれば、足を一度ダンボールの中から出さなければならないはずだ。
しかし、少女はダンボールの横で床に正座しながら、どこから取り出したのか左手に筆のような物を持ち、右手に俳句を詠むときの短冊(たんざく)のような紙を構えて、何かを書いている。その様はまるで今にでも「ここで一句」と言わんばかりの俳人のようだ。
勇示は少女の足がダンボールから出る所を一度も見ていない・・・。
しかし少女はいつの間にかダンボールの横にいる。
勇示が頭の中で静香の得意料理を考えながら俳人のような少女を見ていると、一句でもできたのか、少女はスーっと滑らかに立ち上がった。
「!!!!!!!!!!!!」
勇示は片手に携帯電話を持ち、少女の足元を見るなり、あまりの驚きからその場で固まってしまった。携帯を持っている方の勇示の手が震える。
少女には足がなかった・・・・・・・。
スカートの様な白装束から覗かせる膝から下が、下に行くに従って徐々に消えており、普通の人間であれば足であろう部分が足首から下が全く見えないのである。
『ゆうちゃ~ん♪どうしたの~♪』
電話越しから、静香ののんびりとした声が聞こえてくる。
勇示が唖然として少女を見ていると、少女はまるで床から浮いている感じで、氷を滑るように勇示に近づいて来ると、勇
示に向けて右手を出した。その手には少女が先程何か書いたであろう短冊が握られていた。
「これを読めって事なのか?」勇示は電話越しの静香に聞こえないように電話の話す所を指で押さえながら、少女に恐る恐る尋ねる。
少女はコクリと頷く。
勇示は少女から短冊を受け取ると、そこに書いてある文字を黙読する。
【すっぱいピンク、あまじょっぱいオレンジ、ぐるぐるミドリ、もちもちちゃいろ、ふさふさブラック】
と、可愛らしい字で書いてある。
(どこの5レンジャー?しかも弱そう・・・)と勇示は心の中で思う。
しかし、勇示はすぐに電話の向こうの静香に
「イカの寿司が美味しそうだね。あれ、婆ちゃんが作ってたやつだよね?母さんも作れたんだ。」
と言った。
『それに目を付けるとは~♪うれしいな~♪挑戦してみたんだ~♪』
静香はとても嬉しそうだ。
『それじゃ~♪食べたら感想きかせてね♪』
そう言うと静香は一方的に電話を切ってしまった。
勇示は何とか答えられてホットした。そして少女を見るなり
「助かったよありがとう」と言った。
少女は笑顔でコクリと頷いた。
そう。。。。少女が勇示に渡したものは静香の送ってくれた手作り料理の内容だったのだ。
勇示の推理だと、
酸っぱいピンク→イカの胴体にシソの葉と人参を入れ、酢につけたピンクのイカ
あまじょっぱいオレンジ→バターと鮭とキャベツをいっしょに炒めたシャケのちゃんちゃ焼き
ぐるぐるミドリ→ロールキャベツかハモの昆布巻き
もちもちちゃいろ→炊き込み御飯
ふさふさブラック→おやじの願望
我ながら素晴らしい推理だと頭の中で思う勇示だった・・・。