ドルアーガの塔【ラストリゾート】第10話分析
まずは「ラストリゾート」というサブタイトルだが、この「resort」は行楽地ではなく、「手段」という意味。ラストリゾートは「最後の手段」「奥の手」という雰囲気。
黒ギルがカーヤに対して自らの目指すものが神であると言い、カーヤはそれが悪魔だと言う。原作世界では「神」と「悪魔」には明確な基準がない。「秩序の神」が狭義に神と呼ばれ、「混沌の神」が「邪神=悪魔」と呼ばれるのだろう。「中立の神」もいるが、その存在は神とも悪魔とも認識されないのか、ちなみにサキュバスがそれに当たる。
カイもここでは中立の神と見ていいだろう。未来を見通す力は人間のそれではないし、その能力や存在も明らかに生身ではない。遠藤創作では、既にこの時点でのカイは神としての名前を持っているのだが、ヤボなのでそれを明かすのは当分先にする。もちろん、ギルも神となっているわけだが、この辺りはアニメとの整合性がない。
いずれにせよカイは、未来を変えるためにニーバへの影響力が強いジルを幻の塔へ持ち込んだ。これがどのように働くのかは、残り2話で語られることになるのだろうか?スペキュラを倒した辺りからジルの力を認めつつあるように見えるニーバが、最後はジルとの共闘で黒ギルに対抗することになるのか?それによってニーバが死ぬ未来は変わるのだろうか?
怖い話をするのではなく、真面目にファティナにジルとカーヤのことを聞くウトゥ。「カッコ悪い女になりたくない」というファティナらしい答えに、「ふーん」と返すのだが、塔を登る意味が希薄なウトゥだけに、何かの迷いを持っているのかも知れない。かといって、ウトゥが裏切って黒ギルに付くとか考えられないけどね。はっ・・・ひょっとしてちびカイが黒ギルについたら、ウトゥも・・・あっちにはヘナロもいるし・・・。
ジルに囮になってもらうというグレミカは、明らかに黒ギルを倒す以上の目的がニーバを倒すことになっていそうだ。カイとアクラを失って戦力はダウンしているのだから、奇襲による直接攻撃以外は考えていないだろう。
抜け駆けしてロッドを手に入れるという線もあるが、距離的に幻の塔にいる人間たちの中で、最もロッドから遠いところにいそうなので、現実感はない。ニーバの弟だから殺してもよかったとジルの事を評しているが、殺さないのは正義がないからだろう、それとも、まだ使い道があるからという打算か?
クーパに火事だと言われて、ノコノコとやってきてしまうギルの兵。黒ギルの宮殿にいる兵士たちは、ウルクの兵とは異なっている。人間らしさもないし、四騎士のような戦闘機械とも思えない。上の画像の青いのと、緑の2種類がいるが、黒ギル=ドルアーガが作り出したモンスターなのだろう。
クーパを逃がすためとはいえ、実に間抜けな役回りだね。
素足を伸ばして鍵を取ろうとするクーパ。これだけ足が出るんだったら、檻の隙間から出られそうに思えるのだが・・・生足が見せたかっただけかな。
アニメ雑誌選抜のキャラクター、最後を飾ったのがイグラ。パイロテクニシャンらしいけど、ファンタジーには似合わなそうな装備だったのが、割りと溶け込んでいる。でも登場シーンはここだけかな?
アミナの副官として登場したシエラだが、メルトと同じラマン神の雷撃魔法の使い手だったね。この一派は魔法の威力だけは強いという決まりでもあるのだろうか、エタナも窮地に追い込まれる。
ウラーゴンがヘナロと合流するシーン。ここはヘナロというキャラを立てるために、アフレコの時に台本からセリフが2度も変わったのを覚えている。
ヘナロからウラーゴンへの呼びかけ部分が、台本では「ウラーゴン様」となっていて、同じアミナ配下で階級的にはヘナロが下というニュアンスだった。それがテストしたところ、妙に弱々しくなってしまったため、同じアミナ配下だけどヘナロはアミナ直属だから上から行こうと、「ウラーゴン!」と呼びつける形で本番を録った。しかし、花澤さんの命令口調はヘナロらしさが失われてしまい、だったら最もヘナロらしい言葉を選ぼうということで「ウラーゴンさん」という立ち位置に落ち着いた。
想像してもらうとわかると思うけど、「ウラーゴン様」や「ウラーゴン!」でははっきりヘナロにならないんだな、これが。
ジルに指摘されて、アイスに殲滅を命じるヘナロ。アイス単体で3人を充分に葬れると考えたのか、アイスを単なる時間稼ぎとして捨て駒にしたのかは分からない。3人が殲滅されるところを見たくなかったのか先を急ぐが、ヘナロが共闘していれば確実にジル達を殲滅できただろう。それを考えると、ヘナロはジル達にチャンスを与えたようにも思えるのだ。
細かなことだけど、ヘナロがジルたちにエタナの姿を見せる。黒ギルと老ギルの一体化に伴って、塔内と塔外の時間の流れも完全に同調していると見ていいだろう。
ケルブの登場シーン、涙出るほどカッコいい。1期の冒頭では、てらそまさんがケルブという役にハマっていなかった感じもあったけど、1期7話の「片羽と踊れ」辺りですっかりケルブになって、今回の「洗い残しもし~ない~」など自信を持ってやってた。だからこそ、ケルブが大軍を連れてくるほどのカリスマ性を発揮するのだ。
人間の器という観点から見ると、ケルブこそが次のウルク王に相応しいのではないか?とすら思える。きっといい王様になることだろう。
3DCGだと、こんなシーンを入れることができて素敵だ。やはり、大軍をちゃんと大軍で描けるのはCGの威力だね。ちなみに、青・赤・緑は原作でドルアーガを倒すために手に入れなければならないロッドの色と同じ。ここで3色揃ったことで、何となく黒ギルを倒せそうな予感がするのだが・・・。
ケルブとエタナの再会を見守る美肌パーティーの面々。この場面では、エタナとオロのセリフが続いたりするのだが、両方とも水野さんがやっている。テストの時は一発で録っていたけど、本番ではエタナのセリフだけ入れた後にオロのセリフを別録りしたよ。
「たいへんだから、オロは別録りにしましょう」という優しい郷田さんと、「今のところ、ちょっと勿体なかったな、もう一度行ってみようか」と言い続ける厳しい郷田さん。そんないい雰囲気の収録も、もうすぐ終わりなんだよね。名残り惜しい。
緊迫した中にもギャグテイストは忘れない。「私を見捨てるな!」ではなく「私もラブシーン見たい」ってそっちかよ!とコンテ見て笑ったけど、絵になった時のアーラの顔が、完全にギャグアニメになってる(^_^;)
良く見ると、黒ギルの居場所から上に螺旋状の何かが伸びている。これは!さらに上があるのではないのか?ひょっとしてこのアニメ、3期もあり?と勘ぐりたくなるんだけど、ちゃんと後2回で終わります。その後はドラマCDでお楽しみくださいです。
ここでカイの思惑が明らかになる。カイはかなりの犠牲を出しても、塔を消滅させることを優先する気らしい。確かに塔の存在がドルアーガの力の源泉になっているのかも知れない。だとすると、カイの存在自体が同じ力で作られてる可能性もあるのでは?何せ、この2人は塔の亡霊という位置づけみたいだしね。
つまりカイが目指していたのは、全てを消し去ってしまう結末なのだろう。だが、未だサキュバスの目的はハッキリとしていない。ニーバを使ってサキュバスが何をしたいのか?2人が対極の位置にあるのなら、サキュバスの目的はドルアーガ復活の線が濃厚だ。
クーパの怪力と、それを信じるメルトだからこそのコンビネーション。まさかこんな敵の倒し方があったとは(笑)
メルトに抱きつくクーパ。この2人はこのまま幸せになってほしいよね。メルトが公称の通り、本当に21歳というのなら、クーパとは11歳違い・・・あると思います!
しかし、上の画像のシーンは見方によってはエロい(笑)
今回妙に作画に力が入っていたと思うのは、ファティナがアイスを倒すシーン。
この火炎魔法だけど、多分最強火炎呪文のビッグバーンだと思われる。
ビッグバーンはヒートボディと同じく、その使い手にも相当のダメージを与える。各個撃破されるより、一人一殺を選んだファティナ、カッコいい、上の画像とか、超美人だと思うよ。全編の中で、最も奇麗なファティナなんじゃないかな。
ウトゥの素顔は塔へ入ってからは初めてだ。死者の館に居ても鎧を脱ごうとはしなかったウトゥがなぜ?
それはジルへの質問が本気だったからだと思う。ウトゥを本気にさせたのは、ファティナだったかも知れないし、「殲滅せよ」と命じたヘナロだったかも知れない。いずれにせよ、ウトゥは自分の目的をはっきりさせることで、これからの局面に納得して当たりたいのだろう。ジルに聞いたって、まともな答えが返ってこないことくらい、いい加減に気付け!
ニーバはブラッドと対峙するにあたり、予めサキュバスの力を借りた罠を仕掛けたようだ。そりゃサキュバスに触っちゃったら、エネルギー失っちゃうよな。というわけで、動けなくなった一瞬にニーバの爆裂矢がブラッドを仕留める。
戦闘に先駆けて、ブラッドがニーバに問い掛けたセリフは「応じよ!」だったのだが、これを「皇子よ!」と言ったと強引に解釈すると、ニーバがスーマール皇帝の血筋で、闇の鎧はスーマール製だけにそれを見抜いた。という読み方もできる。ただし、スーマール皇帝は世襲制ではないので、皇子であることには何も価値がないのだが・・・、やけに武帝バララントに拘るグレミカみたいなのもいるから、旧スーマール派の象徴として皇子が必要だったなんてのはどうかな。
最後の矢と渡されたものを、黒ギルに手づかみされてしまう。この時詠唱していたのが
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覇者の戦いも
清らかな愛もここにはない
秩序と混沌の相克
太古より続いた狂える嬌声も
今ははるか
郷愁の彼方へと消え去った
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という詩だが、これはキシュア伝の第7章からの引用。キシュア伝はドルアーガとイシターの戦いによって終焉を迎えた、混沌の神と秩序の神の争いに参加した神軍イルサカールの盛衰を伝えた伝承で、第7章は最終章。
黒ギルと老ギルとの一体化は、黒ギルの鎧が金に輝くことで完成に至った。カーヤがなぜ磔にされているのかはわからないが、何かの儀式の生け贄だろうね。
ニーバのことを話すファティナ。ここからのBGMがいい雰囲気なんだよね。
必要以上の昂揚感を与えることもなく、パーティーメンバーが全員揃って、いよいよ次回から最後の戦いという決意みたいなものまで感じられる。後2回、泣ける話が続きます。
ヒートボディ状態のニーバ、ギルと戦うマイト、ジルが鉢巻にしていた髪飾りを付けているカーヤ、何かにショックを受けるジル、風呂に入るヘナロ。この物語における不動の最強戦士は、やはりギルガメスなのか?次回もお楽しみに!