生かされる地獄
殺してくれッ!
あの夏の日から俺は叫び続けた…。
◆殺人鬼なる隣人◆
1974年、昭和49年8月28日、蝉が煩い(うるさい)蒸し暑さからくる動悸・汗…
毎日の様に神奈川県平塚市県営団地—3階の奥村家からは長女のピアノレッスンが響いていた。バイエルだろうか—アップライトアップテンポに軽やかに蝉が煩い!というのを掻き消す様にピアノの音色は響き渡る。
『気が狂う—』
愉快にピアノを弾く長女の頭上 —
頭上 —、 刺身包丁を抱き
タンタラ~ランラン♪
刺身包丁を握り締めて息を殺して失業保険で暮らす大浜松三(46)
は頭を抱えていた。
—午前9時—
凶暴なる殺人鬼は奥村家の両親が出勤・ゴミ出しに出た隙間をかい潜り侵入、長女に襲い掛かる『ぎゃあぎゃあ!!』まず
ピアノを弾いていた長女(8)を包丁で刺して殺害、続いて次女(4)を刺し、とどめに絞殺。黒いマジックを血まみれの手で襖(ふすま)に書いた—…
◆《迷惑なんだから
《スミマセンの一言位言え 《気分の
《問題だ 》《来た時挨拶《にもこない《し、《馬鹿面して《ガン飛ばすとは何事だ?
《人間殺人鬼にはなれないものだ —》◆
「きゃああ—?アアア嗚呼!!」
ここまで書いた時奥村さんの奥さんが帰宅・胸に包丁を刺して絶命させた。
大浜はそのまま逃亡するが3日後に自首。『俺は音には敏感なんた、足音・生活音・日曜大工・鳥の鳴き声に至るまで—…』
神経質な迄に神経質故、
《知らない隣人》に対する恐怖感は世間に与えた衝撃は大きく、生活圏でのリアリスティックな事件が起こりこの事件は【ピアノ騒音殺人事件】と言われている。
神経質な自分は生きていけない、殺してくれッ!
◇1審判 死刑
然しながら、【騒音被害者の会】等の支援があり控訴となり、今度は拘置所の物音に耐えられなくなり自ら死刑を確定させた。
だが…—、大浜は皮肉な事に今現在も生きている。
『防音性快適な獄舎』
これこそが俺が死刑を(自殺)に選んで尚且つ生かされている矛盾点の形。
雨美夜 雫



