満月が昇る夢を見た。
とても大きく、明るく、美しい満月だった。
夢の中の私は、満月を見ながらしばらく何かを考えていた。
三日月、下弦の月、半月――さまざまな形の月がある中で、
なぜ満月が最も美しく感じられるのだろう?
他の月の形は左右対称で、一ヶ月に二度見ることができるのに、満月はたった一度しか見られないから?
月が完全な形だからこそ、最も明るく輝くから?
最も調和がとれていて、安定感を与える円の形だから?
この疑問について深く考えてみた。
満月が最も美しいと感じる理由は、それが完全な瞬間であると同時に、消えていくことが約束された瞬間でもあるからかもしれない。月は常に形を変え続け、満月はその頂点に達した直後、すぐに欠け始める。私たちはそれを知りながらも、満月を見て感嘆する。なぜなら、完璧な瞬間は常に一瞬であり、その一瞬こそが最も強く心に刻まれるものだからだ。
完璧な姿になった瞬間に、すでに次の変化が始まっているからこそ、より印象的な存在となるのだ。
満月の美しさは、単なる「完全さ」にあるのではない。
その完全さが永遠ではないから、私たちはより切なく感じる。
もし満月がずっとその形を保ち続けるならば、私たちはそれを特別なものとは思わず、今のように心を動かされることもないかもしれない。
しかし、満月はたった一日しか存在せず、翌日から少しずつ欠け始めるため、「この瞬間を逃したくない」という思いが生まれるのだ。
これは、私たちが生きる中で感じる多くの感情と似ている。
最も幸せな瞬間ほど、時間があっという間に過ぎ去るように感じられ、最も大切なものほど、手放したくないという気持ちが強くなる。
満月が昇る瞬間は、頂点であると同時に、消滅の始まりでもある。
言い換えれば、満月は完全さの終わりであり、欠けていく運命の始まりなのだ。
この矛盾こそが、満月をより特別な存在にしている。
こう考えると、私たちは満月を見て単に「きれいだな」と感じるのではなく、
何かを成し遂げる瞬間と、それが過ぎ去ってしまう時間の流れを、本能的に感じ取っているのかもしれない。