レオン達が、スカイライト魔法学校に入学して約2ヶ月の月日が経った。
今は6月。天気予報によるともうじき梅雨が来る。
レオンはいつも通り、リブと談笑していた。
「レーオン。リーブ。良いお知らせだよっ。」
ジェミーがレオンとリブの間に割り込んで言った。
「良いお知らせって?」
リブが訊ねる。
「なーんと。このクラスに、美少女転校生が来るらしいよ。しかも、二人も。」
ジェミーはカメラ機能も兼ねてる電子生徒手帳を取り出すと、職員室前の様子が写ってる写真を見せた。
そこには、このクラスの担任のヴィーナス先生と向かい合うように、2人の女の子が写っていた。
奥の方に居る子は良く見えなかったが、前の方の子はある程度特徴がわかった。
オレンジ色のうさぎの耳みたいなものが頭に生えていて、同色の短めの髪が特徴的だ。
「この子は、前授業で習った『ラパン』っていう種族だね。」
リブがオレンジ色の髪の子を指さしながら言った。
この学校は、様々な種族を受け入れている。
「あー!いたー!ジェミーさん!」
リトがジェミーの元へ来た。
「なーに?リトくん。」
「みてみて~。転校生の写真撮れたよー。」
リトが出した写真は、転校生二人がしっかり写っている。
顔など、細かいところは分からないが。
「あれ、この人どこかで・・・。」
レオンが写真に写っている茶髪の子を見た。
「転校生、4番室に来るといいね。」
ジェミーが写真を見ながら言った。
寮の部屋数は6部屋あり、男子と女子で部屋が分けられている。
女子の部屋は3部屋で、4番室と5番室に5人ずつ、6番室に4人という部屋割りである。
今回、転校生が2人いるので、1人は確実に6番室に行き、後一人は5番室か4番室に行くことになる。
チャイムが鳴り、皆があわただしく席についた。
先生が出席をとる。
「皆さんに良いお知らせがあります。」
先生がそういった時、「おおっ?」というざわめきが起こった。
「今日、このクラスに転校生が二人きます!」
「ええ?マジ?」
「やっぱ?」
「だれだれー?」
という声があちこちから聞こえる。
「6時間目の学活で紹介しますね。」
という先生の言葉で朝学活が終わった。
そして、6時間目・・・。
始まりの号令からずっと転校生コールが絶えない。
先生が転校生を連れて来た。
そして、レオンが見覚えのあった___ないとおかしい茶髪の子に自己紹介するよう促した。
「はじまして。マリーバ国から来ました。カプーン・レインです・・・。」
さっという音とともにクラスメイトのほとんどの視線がレオンに向いた。
そして、またカプーンに向く。
その繰り返し。
魔法界で赤の他人と苗字がかぶることはない。
つまり、レオンは親族以外のレインと魔法界で会うことないということだ。
逆に言えばレオンがレインという人に会ったらその人が偽名を使っている、あるいは人間界の人である場合は話は別だが___親族である。
「ちなみに、レオン・レインの妹です。」
とカプーンは言った。
「ウソ!?マジ!?」
「似てなーい!」
という声があちこちから聞こえる。
「本当は皆さんと一緒に入学する予定だったのですが、入学前日に事故に会い入学が遅れてしまいました。皆さんに追いつけるように頑張ります。よろしくお願いします!」
といい、カプーンはお辞儀をした。
次に、ラパンの少女が前に出た。
「ラキ・アクリコーンです。私は、シンフォリーヌ学院に通っていたのですが、なくなってしまって・・・。でも、勉強がしたかったのでこの学校に来ました。よろしくお願いします。」
ラキもカプーンと同じようにお辞儀した。
「では、開いてる席に座ってください。カプーンさんはあの男の人の隣です。そして、そのとなりがラキさんですよ。あの人はコスモ・ワイバーさんといって、このクラスの中で一番年上です。コスモさん、いろいろ教えてあげてくださいね。」
と先生が説明した。
二人は先生の言葉通りに席についた。
それから、校外学習の説明などで学活が終わった。

「シンフォりーヌ学院も学校ツブシの餌食になったのか・・・。んー。ルボール魔法学校、アルテミス医学校・・・。一体何でだろうね。レオン。」
帰り道、ジェミーがノートを見ながら言った。
「そんなことあたしに言われても知らん。」
とレオンは返した。
なぜかレオンがスカイライト魔法学校に通い始めてから私立校を中心に黒い鎧の軍隊が攻め込み、男子生徒を誘拐し、学校の財産を根こそぎ奪い校舎などに火をつけ船で逃げていく___という事件が起こっているのだ。
このような行為を行っている黒い鎧の集団、あるいはその首謀者を皆は『学校ツブシ』と呼んでいる。
その被害にあってもまだ学び続けたい。という人がラキのように他校に転校するのである。
なぜ、学校ツブシが学校を襲撃するのかは、検討がつかない。と皆言っている。
「最も疑問なのは、男子生徒の誘拐。学校ツブシは兵士が結構多いのに何で誘拐するんだよ。って話。まさか黒幕、同性愛者・・・?気持ちわるっ。」
とアリエラが言った。
「でも、黒幕が男って決まったわけじゃないから。」
とレオンは突っ込んだ。
「でもでもレオンちゃん。一番心配なことは、この学校がターゲットにされないかだよ。ああ、ヤダ。何でこんな時に限って狙われる確率大の学校に入っちゃったんだろう。」
とリブが言った。
確かに、この学校は私立で、財産もかなりある。さらに海は近いところにある。おまけにいい感じの男子生徒もいる。あっちに対しては好都合の条件が揃っている。
「そんな縁起の悪いこと言わないでー。本当にそうなっちゃうから。」
とジェミーが笑った。
「そうだね。大丈夫だよね。」
とリブが頷きながら言った。
「あ、お姉ちゃん。」
とカプーンがレオンに声をかけた。
「何?カプーン。」
「あのさ、4番室って誰が居るの?」
とカプーンが4と書かれたキーホルダーが付いているアンティーク調の鍵を見せた。
「誰も何も、うちらだよっ。」
とジェミーが同じ鍵(しかし、4のキーホルダーはなく代わりに色んなモノがあるが。)を見せた。
「あたしもそうだよ。」
とレオンも言った。
「本当?」
カプーンが目を輝かせながら言った。
「本当本当。」
レオンが言い終わるのと同時に
「よっしゃーっ!!」
カプーンはその場で飛び跳ねた。
「あーあ。食事の量が増える。」
とアリエラがうんざりした口調で言った。
4番室では、たまに、アリエラが手料理を振る舞ってくれる。
勿論、バルゴラの分はない。
部屋に帰ると、自分の部屋に居たバルゴラを妹(ピース)の協力を得て引っ張りだし、自己紹介タイムを設けた。
自己紹介が終わると、レオンはカプーンを部屋に案内した。
そしてしばらく世間話をしていた。
「ところで、お姉ちゃんってさぁ。」
「何?」
「サージアさんって人が好きなんでしょ?」
「はぁ!?」
突然、恋の話を持ちだされてレオンの声はまるで別人の声のように裏返った。
「ジェミーさんが言ってたよ!」
とカプーンが笑顔で言った。
「ばっバカっ。私がアルタイル以外の男を好きになると思ったの!?ジェミーの話を鵜呑みにしちゃダメッ!!」
レオンは全力で否定した。
「えー。でも、気になってんでしょー。」
「うっ・・・。」
言い返す言葉が見つからないレオンだった。

この会話が合った頃だろうか。
熱く情熱的な恋戦が始まったのは。