Reality is not what it seems by Carlo Rovelli (英語版タイトル)
原語のイタリア語では2014年に発売、その後イギリスでの英語版は2016年に発売なので、遅ればせながら読んでいるこの本がかなりお勧めだ。理系は全く持って苦手だ(イギリスの大学の学位がBioscience系なことは置いておいて)。高校の時なんかは数学が赤点ぎりぎりなんてこともあったので、日本での大学受験は数学のないところだけ受けたりもした。しかし、著者は数学や力学を少し知っている、もしくは無知な読者向けのこの本を書いているので、とても読みやすい。数学と力学の歴史を紀元前からひも解いて、今日までの流れを説明してくれている。ドライになりやすいサブジェクトだが、イタリア人らしい口調なのか、わくわく語りかけてくれるような感じである。しかも、いわゆる専門用語ももちろん出てくるのだが、それらはどちらかというと注釈に書いてあって、本文では本当に砕けた書き方をしてくれている。しかし、現在進行形である”ループ量子重力理論”が出てきた時点で、その後の内容にかなり重要な点だと思うので、混乱を防ぐためにここにメモをしておく。
Wikipediaで”ループ量子重力理論”も読んでみたりした。しかし、私には漢字でこういう内容を読んだ時のほうがよくわからない。英語が理解出来る出来ない、ということは二の次だと考えたとしても、こういう複雑になりがちな内容については英語のほうが実にシンプルにわかりやすく表現できているような気がする。もしかして、英語で普段本を読んでいないとしても、今では翻訳ソフトなんかもあるし、サブジェクトによっては日本語よりも頭に入りやすいかもしれない?、と思った。
さて、”ループ量子重力理論”である。これは80年代に数人の物理学者が、それまでバラバラに存在していた量子力学(Quantum mechanics)と一般相対性理論(General relativity)をくっつけたものである。
量子力学は分子・原子、またそれを構成する電子などの微視的な物理現象を表す力学である。
一般相対性理論は時間と空間の考え方について。時間と空間は立場によって変わる・重力は空間の曲がりから生まれる・重力で光が曲がるなどなど。イメージ的には、狭い口の瓶に水を入れる時に使う”漏斗(ろうと、じょうご・funnel)”。水が瓶の中に落ちていく中心部は動きが速く、重力も強くなっている(下に引かれる力が強い)。時空のゆがみはこの漏斗のような曲線などで表すこともあるらしい(実際はいろいろなパターンがあるが)。ブラックホールはまさにこの漏斗のような曲線であるらしい。UFOが普通の飛行機のような動きではなく、突然高速に、またじっと止まっていたりなど、この一般相対性理論に表されているような現象を熟知している者たちが作ったからなのか。
世界は無限なのか有限なのか、についてたくさんの物理学者が考えてきた。ループ量子重力理論では、”世界は有限”なのだそうだ。宇宙は無限ではないのだそう。しかし、それらは全てつながっているわっか(ループ)なようなものらしい。なので、有限だが直線のように突然プツンと切れるものでもない。そして、宇宙は常に広がっているが、それでも無限ではなく、ループしているので有限ということだ。そして、登場人物としての分子・原子・電子たちがこのループにいるということ。ループ量子重力理論はまだまだ未知の部分がたくさんあり、現在進行形の物理学なのだそう。これが熟知できるようになったら、この世あの世の謎などというものが全て明確にわかってしまうのかもしれない。古代にはもっと人間の身近にいたと言われる高次の存在(宇宙人と言ってしまえばそうなのであろう)。古代遺跡などにその跡は見られるそう。それらの者たちは、今人間が地球で研究を重ねているループ量子重力理論の答えなど、とっくの昔から知っているのかしら、なんて思った。
この本、近所の図書館に子供の本を返しに行った時に目の隅に止まった本である。何だかすごく呼ばれているような感じがして手に取った。未だ購入せずに借りた本を読んでいるが、購入リストに入れようと思っている。