今年の春、ぼくは”社会人”になった。
ご飯の炊き方も、洗濯機のまわし方も、生活費の支払いも、
これまで”誰か”がやってくれていた事を、ひとつひとつ、覚えていった。
自分の稼いだお金で自分の面倒を見て、自分の生活を自分でコントロールして、
僕はもう、十分にいちにんまえになった気でいた。
ちょろいもんだ、とも思った。
今年の秋、母さんに電話した。
ぼくは、情けないお願いをした。
母さんの声を聞きながら、泣きたい気分になった。
情けないやら、ふがいないやら、悔しいやら、嬉しいやら、いろんな気持ちになった。
いちにんまえになんて、まだまだなれていなかった。
23年前の冬、ぼくが生まれたときから、母さんはいちにんまえだった。
いやそんなもんじゃない。
母さんは、この道30年以上のベテランいちにんまえだった。
そうだったんだ。
母さんぼくは、一日でも早くいちにんまえになれるよう頑張ります。
いちにんまえになったら、過剰なくらいに、親孝行します。
あなたがひいてしまうくらいに、親孝行します。
それがぼくの人生の目標のひとつなのです。
今日ぼくは、ごめんなさいを言えませんでした。
だけどありがとうはたくさん言えました。
今のぼくはそんなもんです。
今日のことは忘れません。
ありがとう。ありがとう。
