最近どうしても頭を離れないことの一つが、安倍政権のもとで暴かれるスキャンダルである。文科省前事務次官の前川喜平氏が出会い系のバーに出入りしているという読売新聞の記事。山尾志桜里議員の不倫騒動。野田聖子議員の夫が元暴力団員だったという文春の報道…。
 いずれも一つ一つ取り上げれば、そういう事実が取材の結果、判明するということはあると思う。だから確信があるわけではないが、これが今の政権による情報収集と意図的なリークである可能性はないのか。
 仮定の話として、もしそんなことがあれば、情報収集を任務とする警察や内調などの組織が集めた情報を、政敵を追い落とすのに使ったことになる。折しも、安倍首相の覚えめでたい元TBS記者山口宣之の準強姦事件が検察審査会で不起訴相当という結論が出た。この事件では!逆にスキャンダルの隠蔽に警察官僚が動いたとされる。
 どうも何もかもが臭い。
 だが証拠はない以上、責任者を公に断罪することはできない。ただ、これがこの政権の特徴的な行動様式だとすれば、周りにいる政治家やマスコミ人は、その餌食にならないよう心してかからねばならない。
 まず電話や電子メールのやりとり、少なくともメタデータと呼ばれる日時、発信元、着信先などはすべて筒抜けになっていると考えた方がよい。米国の愛国的ホイッスルプロワー、スノーデン氏が暴露しているように、そういう情報を集めるためのソフトウエアが日本に提供され、運用されていると考えられるからである。
 次にそうした情報をもとに、情報機関員による尾行がつく可能性があるということだ。逆に言えば、それを前提に行動すること。それがまずいときは、細心の注意を払って情報のやり取りや行動を秘匿することである。こんなことは、かつての日本共産党や過激派が公安警察を相手に学習したことで、普通の社会人は気にも留めないことだった。
 もちろん杞憂に終わってくれればいいのだが、攻撃を受けてからでは遅い。それだけこの政権は悪質でどんな非道義的な手段も使うことに躊躇しないと私は見ている。十分な警戒をお勧めする。
 北朝鮮の李容浩外相が「太平洋で水爆実験を行うことになるのでは」と不気味なことを言っている。
 たしか大気圏内核実験は条約で禁止されているのでなかったか、と思ってWikiを引くと、それは勘違い。大気圏内核実験を禁止した部分的核実験停止条約は米国とソ連の間の条約でよその国をしばることはない。
 1990年代に成立した包括的核実験は地下核実験まで禁止しているが、なんとまだ発効していない。「アメリカ合衆国イスラエルイランエジプト中華人民共和国の5か国)が署名のみで批准せず、朝鮮民主主義人民共和国インドパキスタンの3か国」は署名すらまだ。発効に必要とされる国々のうち、以上8か国が未批准であるため、2014年現在、発効していない。
 さて、核兵器禁止条約に参加しようともしなかった日本政府は、太平洋上の水爆実験という予想される北朝鮮の暴挙に対して、説得できる論理を持っているだろうか? 
 その論理が空っぽだから対話は無意味と自覚しているのなら、それはよくわかるが、唯一の被爆国日本という看板はおろすっきゃないね。
 2017年9月、安倍首相がニューヨークの国連本部で行った演説を聴いている他国代表の数が少なかったと話題になっている。たしかに写真を見ると、埋まっている座席は数えるほどしかなく、首相演説は国際社会から完ぺきに無視されたと言ってよいだろう。
 トランプ米大統領の演説は、北朝鮮が挑発をやめなければ「完全に破壊する」という超大国のリーダーとは思えぬ過激な言葉づかいで議場をどよめかせた。初の国連演説でもあり、何を言うのか、と各国の代表団が興味津々で聞いていたのは間違いない。
 それと比べ安倍首相は初めてでもなく、言うことも米国べったりであることがわかっているので、さほど興味を持たれなかったということはあろう。詳しい事情は知らないが、あるいは事前のテキスト配布で内容がわかっていたのかもしれない(安倍首相がテキスト以外のことを言えるはずがない!)。それにしても、世界第3位のGDPをもつ国のリーダーの演説がここまで無視されるのは尋常でない気がする。
 ここで私の心に疑念が生まれてくる。ひょっとして、これは単に聞く必要がない、無視しても仕事に差し支えない、という判断ではなく、聞きたくない、誰が聞くもんか、という忌避反応だったのではないか。
 国連では人類の悲願ともいうべき核兵器禁止条約がまとまり、署名もすでに50カ国に達している。しかし、この条約を作るのに貢献したのは非核保有国であり、核クラブの国々はボイコットした。核戦争の唯一の被害国である日本は、トランプの米国におもねって条約づくりの交渉にも参加しなかった。その日本が、北朝鮮の核だけには文句を言う。対話は無用、圧力、圧力と。それに北朝鮮と同じく核兵器を持つインドに対しては、原発を売り込む交渉までしている。核兵器の非人道性、核廃絶の悲願はもはや日本外交の中心課題ではなく、核兵器の存在も前提とした力のバランスのみが関心事になっている。要するに、日本は核兵器を持っていないにもかかわらず、すでに核クラブの一員になったとしか思えない行動を取っているのである。
 私が非核保有国の代表で核兵器禁止条約づくりに参加していたとしたら、退席どころか何が何でも議場に残りヤジを飛ばして妨害したいくらいだ。とはいっても各国代表が退席した理由が被爆国日本の変節に対する軽蔑にあると言い切る自信まではない。安倍首相のあの下手な英語を17分間聞かされることは拷問に近いのは事実だ。内容にかかわらず退席したいという理由にも十分納得してしまうのだ。