テレビがないせいか、世相に疎くて
薬剤混入事件の事を知らなかったのだが、
電車の中吊りで、薬剤混入事件の犯人とされている人の顔写真を見て、
涙がこぼれそうになった。
視覚的なゆがみは、
心に通じることがほとんどだと思う。
触れられる物質と触れられない精神は、
ひとつの世界で繋がっているからだ。
視覚的に私がゆがみを感じずにいられなかったその人が、
何をしたのかは、当人にしかわからないだろう。
もしくは当人にも、それを受け止める許容がないかも知れない。
私の胸を掻きむしるのは、
その人の闇だ。
生き物は、憎むためだけには、生まれてこない。
殺すためだけには、生まれて来れない。
結果として、人を殺めたならば、
その過程で人の愛に触れているはずなのだ。
愛に触れもしないのに、孤独は感じられない。
なぜか、悔しい。
