キネマ旬報(2020年9月上旬号 No. 1847) 相田冬二氏による

「適切な距離感で、映画と、女優と対峙した」という記事を読んで

観てみたくなったわけですが、なるほど観(み)終わって、

ほのぼのとする佳作といえる作品だと思いました。

 

彼は21才。カメラマン志望の大学生役で、年齢的にもキャラクター的にも

いわば等身大で、すんなりと光司になっている感じがし、他のキャスト、

父の再婚相手の連れ子、すなわち義理の姉の小西真奈美さん、

幼馴染で、光司の先輩ヒロ(幽霊)の元彼女の榮倉奈々さん。

公園で家族写真を撮っているときに被写体として引き付けられ、

その後その夫に彼女の写真を撮り続けることを依頼されるという、

その妻の井川遥さんなど、みなピタリと役柄にはまっていて、

見ていて心地良いのでした。

 

相田氏は「適切な距離感で、映画と、女優と対峙した」と彼の側から

表現しましたが、キャストのみなさんすべてが立ち位置を心得ていた、

とも言えそうです。とりたてて説明のないまま、そのキャストの距離感で

関係性を巧みに伝えています。

 

ストーリーは、何気ない日常の風景の中で、それぞれが抱えている

心情や感情が淡々と綴られていくというものです。

 

義理の姉、小西真奈美さんとのラブシーンでは、小西さんの心の内を

現わにした表情がとても良かったです。

 

「三浦春馬は、女性を翻弄する男ではない。女性(たち)に翻弄される

男がしっくりくる。」と相田冬二氏は書いていますが、これすなわち

彼自身が常に女性に対しリスペクトして接し、優しい人柄であった

ということではないかしら。

 

この前年2010年には、映画『君に届け』という青春物を撮っていたので

この映画で確実に大人の世界にステップアップしたといえるのでは。

すなわち彼にとって良い作品であったと思います。

 

▼6/18(土)公開 『東京公園』 完成披露記者会見にメインキャスト全員が集合!(11/06/02)