※ネタバレ有り。
少女マンガなのに男性(20代後半)が主人公。
なのに、乙女の生き様が、女性が演じるよりも的確に表現されているという稀有な恋物語。
恋といっても、依存しちゃったりするようなダメな恋愛じゃなくて、
運命の人と出会えてハッピーエンドというのでもなくて、
恋によって自分が成長できるような側面をベースとして描いています。
仕事にプロ意識を持ちたい女性の願望を反映していて、
現代の恋する乙女は、チョコレート職人・ショコラティエだったのかと!
まさにビター&スイート。素晴らしくマッチした設定だと思います。
仕事がうまくいく=恋がうまくいく
これは錯覚。(ですよね?)
恋がうまくいく⇔仕事がうまくいく
相互作用があったりなかったりしますよ、という方が近いと思う。
がんばったから、報われる。
仕事はある程度は、応えてくれたりもするけど、
恋愛に関していえばそうは問屋が卸さない。
がんばったから、報われるというものでもない。
物語は失恋から始まります。
チョコレート好きの彼女にフラれた主人公はフランスで修行し、
一流のショコラティエとなって凱旋帰国。自分のお店をオープンします。
すでに人妻であるにもかかわらず、ミーハーなところがある彼女。
主人公のお店に目を付け常連になります。
なので、主人公は頑張っちゃいます。
彼女が喜ぶチョコを作って食べてもらえば、モニター調査にもなって一石二鳥だし。
「いいチョコ作ってお店の評判を上げて、手が届かない存在になってやる!」
憧れさせて彼女を翻弄しようと主人公は誓うのであります。
(でも、彼女が店に来ると翻弄させるどころか、とても平静ではいられないという……。)
女性が演じれば、「きれいになって見返してやる!」「振ったこと後悔させてやるわ!」
みたいな流れになっちゃうんだと思うんですが。
男性の方が、フラれた→仕事に打ち込むの流れが、スンナリ納得いくような気が。
なんか潔さが男らしいからですかね。
ラストは始まりと同じく、失恋に終わります。
でも、いい恋のエネルギーは、また別の目的や動機を呼び寄せる。
脇役に主人公を慕う女性もいるんですが、
彼女は待っているだけで、ほとんどアクションを起こさないのです。
主人公の周りをウロウロし、毒を吐くだけっていう。
だからこそ、そうではない主人公を好きになったわけですが。
(後半の主人公の本命彼女とこの彼女のやり取りは、必見です。
恋愛得意な人とそうでない人の違いがよくわかります。)
ドラマが収束した後もなお、主人公に湧き上がる飢餓感と渇望。
思わず熱くならずにいられない瞬間が味わえます。
報われないけど、いい話。
あと、主人公が作るチョコレートがどれも本当に美味しそう!
チョコといっても、こんなにたくさんのバリエーションがあるなんて!
デパートのスイーツ売り場や専門店に直行したくなる。
読んで感動、チョコも旨い。
一読で二度おいしい、素敵なマンガです。
ぜひご賞味を。
『失恋ショコラティエ』水城せとな(著)