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前回に続いてボブ・ディランのバラッド・ソング(物語)
「リリー、ローズマリーとハートのジャック」

75年リリースの「血の轍」に収録しています。

歌詞の通りにこの曲を聴き終えた頃にはハートのジャックが一番気になりますよ。
本当にディランはこういう作品を書くのも歌うのも抜群ですね。

今年もノーベル文学賞受賞はなりませんでしたが、本人は全く気にすることなく
今日も元気にライブをやっています。

10月中旬からはマーク・ノップラーが参加して全米アリーナ・ツアーをやるそうです。

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馬鹿騒ぎしていた不良たちが秋の仕事の相談を始めた
キャバレーの壁にドリルの音が響いていた
看板が下がりルーレットは休業中
分別ある人たちは町を去った
戸口に立った男は似ていた ハートのジャックに

大広間を歩いて「おれのおごりだ」と言う
男たちは振り向きまたもとの知らぬ顔
ひとりの男に近寄りにこやかに尋ねた
教えてくれ ショーは何時に始まる
その場を離れ顔を傾げる表情は ハートのジャックのようだ

楽屋の踊り場で女たちのポーカー
クイーン2枚のリリーは3枚目を待ってる
人混みの表通りに窓を開け放ち
部屋に流れ込む柔らかい風
リリーがコール 開けた札はハートのジャック

大物ジムはお大尽 町にひとつのダイヤモンド鉱山の持ち主
ここでは常連 身なりも申し分ない
ボディーガードに銀のステッキ 隙はない
欲しいものは手に入れる 置いておくだけなのに
ボディーガードもステッキも敵わない ハートのジャックには

ローズマリーは髪を整え 街にご登場
車から降りる様子はまるで冠を脱いだ女王
まつげが揺れそっと囁く
ごめんなさい 遅れたかしら 男の耳には入らない
見つめている先には ハートのジャック

どこかで見た顔だ 大物ジムは考える
メキシコでだったか それともどこかの壁の写真
足を踏みならして 照明は落とされ
暗屋の暗がりには ジムともうひとりの男
二人が見ている蝶々は引き当てた ハートのジャックを

リリーは王女様 色白で子供のように可愛い
苦労はいとわず ほほえみは口元だけ
不幸な育ちを逃れ めぐりあっては別れて
いろんな男といろんな場所で暮らした
過去のどの男にも似ていない ハートのジャックは

いつの間にか死刑好きの判事 豪華なお食事に来店
壁のドリルが続いても気にする客はない
みんな知っている リリーの指輪はジムがくれた
リリーと鉱山王の仲は公然の事実
きっと分かるはずはない ハートのジャックには

ローズマリーはグイグイ飲んでは自分をナイフに映して眺め始めた
注目を浴びるのに飽き 大物ジムの女房の役割にうんざりしていた
分別のないことばかりした 自殺しかけたこともある
一生一度の善い行いに何ができるか考えていた
あの人となら未来が開ける ハートのジャックなら

リリーはドレスを脱ぎ放ち話し始めた
笑いながら 運は尽きてはいないみたい そんな日がいつかは来るのだけれど
壁には触らないで 塗り立てのペンキがついてしまうから
まだいてくれて嬉しいわ あなた聖者みたい
そろそろお迎えの時間だ ハートのジャック

舞台裏でマネージャーは椅子のまわりを行ったり来たり
不穏な気配だ 予感がする と言う
死刑好きの判事に話しに行くと酔っぱらっている
主演俳優は修道僧の衣装で舞台の上
気の利いた役者といえば ハートのジャック

リリーは強く抱きしめる 心から好きな男を
つきまとういやな男のことはもう忘れている
ごぶさただったわ の言葉には誰でもほだされる
でもドアの外に待っているのは嫉妬と敵意
でもそんなのは毎日のこと ハートのジャックにとっては

始まりはどうだったのか 突然起こったとみんなは言う
化粧室のドアが打ち抜かれ 非情なリボルバーが音を立てた
大物ジムがそこにいた びっくりして何も言えず
そばのローズマリーの目をじっと見つめていた
大物ジムのそばで心はなびいている ハートのジャックに

2軒隣りではとうとう壁に穴が空いた
銀行の金庫が空になった大仕事
町はずれの川岸の暗闇にじっとひそんだ奴ら
仲間がひと仕事済ますのを待っていた
奴らがうまくいったのは ハートのジャックのおかげだ

夜が明けると処刑の日 一面の雲 暗い空
覆いの下横たわる大物ジム 背中にナイフの痕
絞首台にはローズマリー 瞬きもしない
死刑好きの判事 今日は大まじめ さすがにしらふ
あいつはどこに行ったんだろう ハートのジャックは

キャバレーは空き家 改装中の札が出ている
髪を染めるのをやめたリリー
考えるのは父親のこと 昔会ったきりの
そしてローズマリーのこと 法律のこと
一番考えるのは ハートのジャックのこと

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Lily, Rosemary And The Jack Of Hearts Bob Dylan
New York Session

こちらは差し替えられたニューヨークでのレコーディング・ヴァージョン。
聴き比べてみればディランが納得いかずに、発売直前にミネアポリスで
レコーディングをやり直した、アルバム収録テイクが抜群に素晴らしい
ヴァージョンになったかわかります。


こちらでアルバム収録ヴァージョンが聴けます。
Lily, Rosemary And The Jack Of Hearts
聴き終わったら血の轍を買いに行くか、bobdylan.comへGO