新年明けましておめでとうございます。
皆様、初詣行かれましたか? どんなお願い事をされたのでしょうか? 本年が、皆様にとって良い年になりますように・・・
さて、本日の稽古場日記は、年末eva忘年会で実際にあった感動秘話を、ディケンズのクリスマス・キャロルばりの筆致で皆様に贈りたいと思います。
「さて、どうしようかしら?」
evaの新人女優Yは、自販機からタバコを取り出すと、白い息を吐き出しながら悩んでいた。
「どうしようって? もう、タバコは買ったんだから、早くパーティーの席にもどらないと」
私はYが何を悩んでいるのかに思い当たらず、ただ、当然のことを答えた。
「だって、養田おじさんが私のためにタスポを貸してくれたのよ、何かお礼をしないと」
なぜ、ここだけイニシャルじゃなくて実名なんだ? まずそんな疑問も浮かんだが、私はいつもと変わらぬ
Yの優しさに胸を打たれ、その提案に乗ることにした。
「おお、そうだねY。じゃあ、何を買ってあげよう?」
「どうしようかしら・・・ 」
「しかし、これほど悩む問題も世界に少ないよ、なにせ、養田おじさんは急欲の無趣味人間だからね・・・」
かじかむ手を揉みながら自販機の前で悩む二人。
「そうだ! ○ロ本がいいわ、エ○本! 最近、PCの無料動画ばかりで、ネタがワンパターンだって言ってたもの」
Yはなんて機転の効く娘なんだろう!
こんなに素晴らしい娘が、我が劇団に参加してくれていいることを神に感謝しつつ、私はそのアイデアに大いに賛意を示し、二人でコンビニに向かった。
「コレがいいんじゃないかしら?」
「え? ああ・・・コレは無理だよ」
「どうして? おじさん?」
「ほら、値段を見てご覧・・・ コレは私達に買える値段じゃないよ」
「そうか、残念。『キレイな熟女のちらリズム、ぬれる瞬間』 養田おじさん好きだと思ったのにな」
とにかくYはお目が高く、Yが選ぶものは、高額品ばかりだ。
年末の我々庶民は決して裕福ではない。悲しいが「アサヒ芸能」が関の山かと思った時だった。
「小林おじさん、コレは?」
「おお、コレなら買えそうだ! よし、レジに持っていこう」
なんとなくうらぶれた感じの表紙。キャッチコピーのフォントのがさつな感じ。コレはきっと高くはないが、コピーのフレーズは確実に養田さんが喜びそうなフレーズが・・・。
「1000円になります」
1000円! 結局高いじゃん! ちゃんと値段見てからレジに持ってくればよかった・・・。
「おじさん? 無理そう?」
不安げな目で見上げるY。
せっかくのYの提案である。ここで、駄目になったらこの娘の優しさを無にしてしまうことになる・・・。
「大丈夫だ」
私は明日の朝のパンを我慢することに決めた。
「え? なにこれ!? お!スゲーじゃん! DVDも付いてる! コレで1週間いけるよ! どうしよう、まじ、超嬉しい!・・・」
案の定、養田さんは大喜びだった。私も、エロ本をプレゼントして、こんなに喜ばれたことはない。
少し照れ笑いをしながら、養田さんに、その本の見所を説明しているYを見ながら、私は思った。
こいつ、何考えてるんだろう・・・・?